近年、日本では、ビジネスや企業のグローバル化とともに、学生のグローバル化が注目されています。しかし、諸外国と比べると、まだ日本人学生のグローバル水準は低いです。今回は、日本人学生の留学の現状についてお話したいと思います。
減り続ける日本人留学生(グラフ1参照)
文部科学省によると、日本人の海外留学者数(学部生、院生、語学留学生などを含む)は、2004年の8万2945人をピークに、2013年には5万5350人にまで減少しています。日本人の一番の留学先は昔も今も、世界のトップ校を多数有するアメリカです。そのアメリカへの留学生の数も2001年は4万6497人だったのに対し、2014年には1万9064人にまでなりました。
カリフォルニア州は、アメリカの中でも日本人に人気のある留学先でありますが、当然ながら、その留学者数も減少しています。2004年、カリフォルニア州に留学していた日本人は1万1681人いましたが、2015年にはその半数の5135人となっています。(米国国務省教育文化局調べ2015年)
アジア人留学生と日本人留学生の違い(グラフ2参照)
近年の日本人留学生の特徴としては、@学部留学生が大学院留学生より多い、ANon-Degree(短期留学など、学位を取得しない)で留学する学生の割合が諸外国と比べ圧倒的に多い、BOPT(Optional Practical Training: 単位取得後、1年間有給でアメリカで勤務できる資格)の取得率が低いことがあげられます。
一方、インド、中国、韓国の留学生は、日本人留学生に比べ、@大学院への留学率が高い、AOPT取得率が高いことがあげられます。
語学や異文化を体験するのが日本の留学のあり方であるのに対し、キャリアを視野に入れた上でより高い専門性と職業経験をするのが他のアジア人の留学であると言えるでしょう。
日本人留学生への期待
今後益々グローバル競争が激しくなり、日本企業は海外市場でのビジネス展開が必要不可欠になります。この留学生の現状が続くのであれば、日本企業/経済の国際競争力の相対的低下につながるのは言うまでもありません。日本政府はスーパーグローバル大学創成支援プログラムなど、日本の大学や学生のグローバル化を支援することにより、将来的な日本の国際競争力の強化を目指しています。近い将来、高いレベルを目指す日本人留学生が増え、国際社会を牽引してくれることを期待したいと思います。
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