ビッグマック指数についてご存知ですか? これは「各国の通貨の価値は長期的に見ると同じものを買うのに同じ値段になるように推移していく」という考え方に基づき、ビッグマックというほぼ全世界で販売されているものの値段で各国の通貨価値が適切かをみる指標です。英国の経済誌「エコノミスト」が1986年に開発し、本来は各通貨の価値を比較するものですが、ビックマックの値段の違いから各国の物価がうかがえます。
ビッグマックは米国では5・06ドルで、最も高いスイス(6・35ドル)と比較すると1・29ドル安いものの、フランス(4・29ドル)、日本(3・25ドル)、中国(2・83ドル)と比べても比較的高くなっています。(2017年1月現在)
ビッグマックに限らずベイエリアでは近年様々なコストが高騰しているといわれています。ジェトロでは世界の主要都市での投資コストを調査し、米ドルで参照・比較できるデータベースを提供しているのですが、これを用いてサンフランシスコと他の都市を比較してみました。
生活コスト比較
表の上半分(3項目まで)は、製造業中間管理職の賃金と、駐在員用住宅の借上料、及びこれらの比率を比較したものです。サンフランシスコ市内だと製造業中間管理職の月額賃金が1万2093ドルに対し2ベッドの部屋を借りると4510ドルかかり、この比率が0・37となります。住宅費が賃金の3割強にのぼるといえます。
社会状況や住宅事情が国や都市によって異なるためこのデータだけで直接の比較はできませんがロスが0・25の一方、上海の1・18、シンガポールの最大1・46など、中間管理職クラスではそもそもこういった物件には住むことができないほど賃料が高い都市ももありました。
ビジネスコスト比較
表の下半分(灰色の項目)は賃金、事務所賃料、ガソリン価格、各種税率を比較したものです。サンフランシスコは賃金や法人所得税率(最高税率)が高い一方、ガソリン価格や付加価値税率など他の都市より比較的安い項目も見受けられます。
表の中で目を引くのはドバイのガソリン価格の安さと税金がないことではないでしょうか。ドバイには所得税がなく、法人税・付加価値税も原則徴収してきませんでした。しかし、2018年1月から付加価値税の導入が予定されており、この背景には原油価格が下落する中での財源確保があるといわれています。
ひとくちに物価といってもそれぞれの国や都市の置かれている状況によって内実はまちまちです。今回参照の元データや各国情報のトピックスなどはジェトロのウェブサイト上で公開されていますので、興味のある方は是非アクセスして、国・都市ごとの違いとその背景に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
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