ナパ・ワインの産地として
ナパは世界的にも有名なワイン産地の一つであり、観光業、ワイン醸造などで人気の高い場所である。カリフォルニアのワインを世界に広げた情報発信地としても名高い。ナパ・バレー・ワイナリー協会によると、1万8200ヘクタールの土地にナパには約700の葡萄栽培家と約500の実店舗型のワイナリーが存在し、そのうち約95%が家族経営である。ナパ・バレーのワインの収穫量はカリフォルニア全体の4%に過ぎない。また、ナパ・バレーは世界のワイン生産量の0・4%を占めている。
ナパのワインの作付け
種類について
ナパでは、34種類以上の葡萄を育てており、そのうち、作付け面積の23%が白ワインの葡萄で77%が赤ワインの葡萄の割合になっている。主な葡萄の種類と作付け割合は以下の通りである。
・カベルネ・ソービニヨン:47%(8232ヘクタール)
・シャルドネ:15%(2588ヘクタール)
・メルロー: 11%(1905ヘクタール)
・ソービニヨン・ブラン:6%(1122ヘクタール)
・ピノ・ノワール: 6%(1113ヘクタール)
・ジンファンデル:3%(525ヘクタール)
ナパの経済効果について
同協会によるとナパの経済的な効果は、地元では130億ドル(USD)を生み出しており、更に米国国内では500億ドル(USD)にも達する。ナパ郡の中だけでは4万6000もの仕事を生み出しており、全国的には30万3000にも及ぶ。
ナパで活躍する日本人醸造家兼
起業家:中村倫久氏
2010年にナカムラ・セラーズを立ち上げ、カスタム・クラッシュによって独自のブランド「ノリア(Noria)」を製造している。中村氏は日本食に合うワインを醸造することに熱意と情熱を注いでいる。日本でも高級料亭(吉兆など)で味わえる。醸造家としての経歴は、1999年に日本企業の駐在員としてサンフランシスコに赴任し、駐在中にナパ・バレーで飲んだワインに感銘を受けたことから起業家としての道が始まったそうである。駐在員の任期終了後に農業系(葡萄栽培、ワイン醸造)で有名なカリフォルニア州立大学デイビス校に入学して醸造学を学ばれた。
醸造方法:カスタム・クラッシュ
ワイン作りの一つの方法として、カスタム・クラッシュがある。ワイナリーを個人で所有するのではなく、独自で葡萄を持ち込んでプレス、醸造、貯蔵やボトリングまで施設などの製造工程や人材を借りて醸造をおこなう手法である。この手法を利用すればコストが抑えられ、独自でワイン生産を始めることができる。因みに、米国ではこのようなワインの製造スタイルが1970年代から始まったようである。
情熱のワイン
ナパで活躍する数少ない日本人の一人であり、試行錯誤した結果ではないだろうか。毎回同じものを作ることが難しく、葡萄の種類の配合や温度管理や状況に応じて味も変わる。その中で、普遍的に同じものをもしくは更なるものを生み出す努力と情熱を注いでいる。
挑戦者への称賛
挑戦者を受け入れるベイエリアの風土に挑んでいる姿勢に対して、同じ日本人として誇りに思える。今度ワインを飲む機会がある時には、情熱を持ち続けている果敢な挑戦者の努力に対して、Noriaワインで乾杯してみてはいかがだろうか。
【参考資料】
・Nakamura Cellars, LLC (www.noriawines.com)
・JETRO海外農林水産・食品ニュース(Food & Agriculture)「ワイナリー所有せずに醸造を可能に ‐施設と人材を借りて醸造する「カスタム・クラッシュ」
・ナパ・バレーワイナリ―協会「Napa Valley Fast Facts」
・中川ワイン(www.nakagawa-wine.co.jp)(https://napavintners.com)