BaySpo 1526号(2018/02/23)掲載
歴史を感じることができるアメリカの「もぐりの酒場(Speakeasy)」
ジェトロ・サンフランシスコ事務所 鈴木 智也
鈴木 智也(すずき ともや)
2006年日本貿易振興機構(JETRO)入構。東京・大阪本部を経て、2015年10月サンフランシスコ事務所に赴任。東京本部では外国企業の日本進出(対日投資)支援、大阪本部では日本企業の海外進出支援に携わる。サンフランシスコ事務所では米企業の対日投資を中心に担当。

 米国に住んでいると「Speakeasy」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。当初、言葉の意味からは「もぐりの酒場」であると連想はせず、文字通り「こっそりと話をする」という意味で理解している方も多いかと思います。また「Speakeasy」以外にも「blind pig」、「blind tiger」などという言葉でもその意味を示すようです。これらの言葉は米国の禁酒法時代に生まれました。

米国の禁酒法時代(1920 ー1933年)
  禁酒法とは、米国で憲法修正に基づいて制定された法律です。具体的には消費のためのアルコール製造、販売、輸送を禁止する法律であり、数多くの米国の都市にて1920年から1933年の間に施行されたものです。また同時にカナダ等からの密輸、密造等の脱法行為の横行を招き、暗黒街の犯罪を助長しました。その当時のギャングでもっとも有名なのがシカゴのアル・カポネであり、アルカトラズ島刑務所に投獄されていたのは有名な話です。

米国の禁酒主義から禁酒法へ向かう流れ
 なぜこのような法律が施行されたのかは、様々な背景があるようですが、1820年代から30年代にかけて宗教的復興主義者、完全論者などの影響により、禁酒主義の考え方の動きが始まったからと言われます。また、それに加えて女性の社会に対する声も時代の流れとともに重要視され、アルコールが家庭や結婚を破壊に導く可能性があるという捉え方が支持されました。企業の観点からは、工場のオーナーなどは、労働者の業務効率や安全性を考えると労働者に対して禁酒を促す方がよいという動きもあったそうです。このような様々な観点で禁酒活動が盛んになり、禁酒という価値観が社会の規律を守れるのではないかという考え方


 

禁酒法時代のサンフランシスコ
 サンフランシスコ禁酒法時代のサンフランシスコではどのような状況であったかというと、そもそも禁酒法施行に関しては、サンフランシスコの人々の83パーセントが反対票を投じたそうです(Ellen Gorchoff-Feyの記事参照)。ですので、そのような法律であったにも関わらず実際にはSpeakeasyと呼ばれる潜りの酒場が多数存在し、飲酒をすることができました。サンフランシスコだけでも1492店舗(1922年当時)あったと言われます。因みに現在のサンフランシスコのバーの数はYelpでの検索結果で2270店舗ありますので、当時の人口から見ても相当数の酒場の数だったのではないでしょうか。禁酒法といえども盛り場は賑やかであったようです。

Speakeasy(潜りの酒場)
 様々なスタイルのSpeakeasyがありました。基本的に、特定できない隠された場所にあり、看板などであからさまにしたものではなかったそうです。例えば、ホテルに滞在して、バーに行こうとしたら秘密の通路やトンネルを使ってたどりつく場所にあるものや、隠し階(フロアー)のような場所にバーがあったそうです。現在サンフランシスコ市内にあるThe Warfield Theaterと地下でつながるSpeakeasyの痕跡がBART(地下鉄)工事の際に見つかったそうです。

禁酒法時代の面白いエピソード
  現在もサンフランシスコにあるThe Palace Hotelでは、禁酒法時代、デートで同ホテルにて夕食を取る際に花束を注文すると、花に包まれた箱の中にウィスキーが隠されたものが手配できたそうです。

Speakeasy(潜りの酒場)
 様々なスタイルのSpeakeasyがありました。基本的に、特定できない隠された場所にあり、看板などであからさまにしたものではなかったそうです。例えば、ホテルに滞在して、バーに行こうとしたら秘密の通路やトンネルを使ってたどりつく場所にあるものや、隠し階(フロアー)のような場所にバーがあったそうです。現在サンフランシスコ市内にあるThe Warfield Theaterと地下でつながるSpeakeasyの痕跡がBART(地下鉄)工事の際に見つかったそうです。

Speakeasyの現在
  現在、Speakeasyはどのようになっているのかというと、例えば「Bourbon & Brach」は、十分に当時の雰囲気を残しており、店内は外から覗うことができず窓も看板も無く、入り口も通常のアパートの入り口のようです(写真参照)。ただ、年齢制限のことだけの注意書きだけが示されてます。また、夜になるとドアの前には門番がたってますので、IDをお忘れないようにしてください。店内の雰囲気は入ってからのお楽しみですので、アメリカの歴史を味わいつつバーボンなど飲んでみてはいかがでしょうか。

参考・参照サイト
San Francisco City Guides:
www.sfcityguides.org HISTORY: www.history.com

 
 

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