皆様ご存知のWAZE(ウェイズ)は、「渋滞状況」と優先ルート等を教えてくれるアプリケーションです。2009年に搭載されて以来、手軽で、割りと正確で、重宝されている方も多いのではないかと思います。主要ハイウェイにおける混雑パターン、またその情報を使って最も混雑の少ない優先ルートといくつかの代替ルートを提供してくれることは、大都市圏部、そしてシリコンバレーのような交通渋滞が頭痛の種になっている地域で運転する人にとって、非常に助かるツールです。また、事故などが起きても、思った以上にタイムリーにマップに反映され、どのルートをつかえば最短で到着できるか、迂回路まで提示してくれます。
さて、このように重宝されるサービスではありますが、一方、最近ロサンゼルスタイムズなどでも取り上げられましたが、近頃この機能が新たな問題を起こしていると話題になっています。例えば混雑時に事故が発生し、WAZEが迂回路を提案します。それにより大量の車がフリーウェイから降りて迂回路とされる住宅地になだれ込み、そこで渋滞を引き起こすというものです。具体的には、迂回した住宅地で、特に朝の時間の生活道路を麻痺させたり、Speed Bumps(自動車を減速させるために路面に作られた段差)や、右折左折禁止があってもお構いなしの無謀運転が目を引き、安全対策に向けて住民が自主的な対策に乗り出すところまで出て来ているようです。
UC BerkeleyのAlexandre M. Bayen教授は、この問題に関して具体的な課題を指摘しています。マップに表示される迂回指示は、ある期間の車両の総数量のボリュームや時間当たりの混雑の変化指数を考慮できておらず、渋滞がひどくなるまで、同じルートを同時にたどるよう指示しているところに課題があるとのことです。また、ドライバーごとへの個別の対応は十分に考慮されていないともしています。つまり、迂回先も混雑してどうにもならなくなったところで、やっと次の迂回の指示を提供することになります。これが先に述べた、住宅地で道路が混雑・渋滞し地元住民の生活に支障をきたせているという問題を引き起こしているとのことです。
それでは、解決に向けてどのような案があるのでしょうか。そこでは、衛星利用測位システム(GPS)や、市内の交通量と車の流れを追跡する交通データ・プラットフォームを活用し、車の総数量や混雑の時間変化など様々な追加の要因をより分析すること、通勤者のフローをパラレルルートに沿って最適に分配するトラフィックフローモデルの導入、アプリの利用者同士で情報を交換し高速道路や街の渋滞を防ぐような機能の向上に取り組むことだそうです。 「渋滞を回避するために道を拓くわけにもいかない。唯一の解決策は、ソフトウェアを活用して多様なルートに沿って人々を舵取りすることです」とも言っています。現在は様々な仮定を想定しシミュレーションを行っているとのこと。このような研究や取り組みの成果が早期に反映され、少しでも渋滞の緩和に役立ってくれることを切に期待しています。
【参考】
http://news.berkeley.edu/story_jump/why-traffic-apps-make-congestion-worse
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