JETROサンフランシスコは、「2018年ベイエリア日系企業実態調査」の速報を発表しました。日系企業の総数は913社に達したことが分かりました。(5月16日付け速報結果公表)。
今回の調査でベイエリアの日系企業数について個別に電話等で調べたうち、操業を確認できた企業数の総数で、2年前の2016年調査時点の770社から約2割増の水準になります。
地域別にみますと、都市単体ではサンフランシスコの立地企業が175社と最も多く、郡別ではサンタクララ郡が406社と全体の4割以上を占めています。さらにサンマテオ郡(166社)、アラメダ郡(102社)と続き、この4郡市で全体の93パーセントに相当する849社が立地しています。
都市別では、サンフランシスコの他、サンノゼ市159社、サンタクララ市86社、サニーベール63社とシリコンバレーの中心部への立地が大きいですが、サンマテオ市やレッウッド市への立地も拡大し、フリーモント市への立地も増えています。全体でみると、サウスベイからサンフランシスコに向かって立地地点が北上してきている様子が見て取れます。
913社のうち、個票に回答いただいた企業は320社でした。これらの企業の回答を集計すると、業況について概ね好調が続いているデータが見られます。
直近の売上高増減動向では、増加企業が全体の51・1パーセント、減少企業が11・5パーセントとなっており、増加企業が大幅超となっています。直近の営業利益を見ても、黒字企業が62・3パーセント、赤字企業が14・4パーセントとなっており、黒字企業が大幅超になっています。また、今後1〜2年間の営業利益の見通しを聞いたところ、増加見込が53・4パーセント、減少見込が7・5パーセントと、ここでも好調との見通しの企業が大幅超となっています。
ベイエリアの魅力をどこに感じているかという質問に対する回答(複数回答可)では、市場規模との回答が56・2パーセント、物流拠点との回答が54・0パーセントと過半数が回答したほか、産業集積44・2パーセント、労働力32・1パーセントと続きました。
一方、今後の不安要素についての質問(複数回答可)では、4社に3社が景気動向に対する不安を指摘(75・7パーセント)。その他、雇用コスト上昇が62・1パーセント、為替動向が43・8パーセントと続きました。
日系企業実態調査は1992年からJCCNCの協力を得つつ、隔年で実施し、今回で14回目になります。この間の企業数の推移をたどったグラフを参照すると一目瞭然であるのは、シリコンバレーの盛衰に併せて日系企業の数も変化してきたことです。2001年のITバブル崩壊後は日系企業数も急減し、回復基調にあったものの、リーマンショック時には一時後退。その後、本年の調査に至るまで上昇を続けてきました。
今回の調査では、このほか、業種別動向、雇用動向、州政府への要望事項などへの回答もいただいています。これらについては、現在集計、内容確認、分析作業を行っているところです。さらに分析を加え、調査結果最終版を2018年8月末目途に公表する予定です。
【参考】
(調査対象地域)サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、アラメダ、コントラコスタ、マリン、ナパ、ソノマ、ソラノ、サクラメントの従来からの10郡に加え、今回調査では、サンマテオ市から100マイル圏にあるアマドア、エルドラド、キャラベラス、コルーサ、サッター、サンベニート、サンホアキン、スタニスラウス、プレイサー、フレズノ、マーセッド、メンドシーノ、モントレー、ヨロ、レイク、を加えた合計25郡を対象とした(追加15郡内に立地企業は合計10社未満)。
(調査対象企業)日本企業が51パーセント以上出資(間接出資を含む)している現地法人、日本に本社のある企業の支店・駐在員事務所、日本国籍保持者または日系米国市民がが設立し運営している企業。
(注)調査においては、従来と同様、操業の確認ができた企業数を集計したものであり、操業時点を特定していない。したがって、前回調査からの増加分がこの間に新規に進出したということを意味しない。
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