BaySpo 1565号(2018/11/23)掲載

スマートシティでより快適な生活

ジェトロ・サンフランシスコ ディレクター 冨田 裕司

冨田 裕司 (とみた ひろし)
米国シリコンバレーに駐在17年半にわたり、日本企業のR&D会社の代表を務める。2017年5月日本貿易振興会(ジェトロ)と国立情報学研究所(NII)の共同事務所・シリコンバレーオフィス設立に伴い、NIIオフィスRepresentative、ジェトロ/Directorに就任。熊本県出身。

 ITとインターネットの普及により様々なサービスが生まれ、個人の生活を大きく変化させてきました。このITの最新機技術を使った新しい都市構想として、スマートシティが話題になっています。今回は、このスマートシティについて、ご紹介してみたいと思います。

@スマートシティとその背景
 スマートシティとは、具体的にどんな構想でしょうか。いろいろ定義はあるようですが、「スマートシティは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の先端技術を利用し、エネルギーや生活インフラやサービスを効率的に管理したり、新たなサービスを提供することで、人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を可能とする構想」 と要約されると思います。世界で、スマートシティプロジェクトが取り組まれる背景が様々あります。主なものとしては、
●今後も予想される人口の増加に伴い、消費するエネルギーを抑える必要
●各国における超高齢化社会への対応
●基礎のインフラの老朽化
などの課題の解決が急がれることです。最先端の技術革新によるこれらの課題の解決、さらには、人々の生活の質を向上させていくことをも、期待されている背景もあります。  この課題を解決していくスマートシティプロジェクトは、様々な構想があり、世界中で取り組まれていますが、新興国と先進国では状況が異なるようです。新興国では、急激な都市の拡大に、新しい都市型プロジェクトが構想されるのに対し、先進国では、上記の「基礎のインフラの老朽化」が課題であり、現インフラ、都市構成を活用した再開発的な構想が主になっているようです。

Aスマートシティの実現に向けて
 スマートシティの実現に向けては、
@不動産開発
A基礎インフラ開発:道路、上下水道、エネルギー、通信などの整備
B基礎インフラの上に、プラットフォーム開発:基礎インフラにセンシングなどを追加してデータ処理機能を向上」
C生活サービス分野のソリューション開発:生活の質を向上させるサービスの提供
と段階があります。先進国では、A〜Cが中心になります。



B米国内での取り組み
  例えば、水道インフラ管理、スマートパーキング、バスのリアルタイム追跡や利用者の待ち時間の削減を目指したバス運行管理、オンライン授業の活用や医療機関とのネットワーク化によるバイオ関連の研究促進といった教育関係など。また、その他の身近な例としては、防犯カメラ、音声マイク、センサーなどを活用して安全な都市環境を提供したり、公共スペースの環境向上をめざしてごみ収集管理をしたりなどもあります。  
具体的な都市の例としては、2015年以来、ニューヨークでは、街中に情報端末や無料WiーFiホットスポットを設置したり、サンフランシスコでは、利用しやすい都市データのオープン化、ボストンでは、交通渋滞を緩和するためにスマートパーキングや交通渋滞回避情報テストを進めています。ヘルスケアに特化したスマートシティであるフロリダ州レイクノナや、都市全体で超高ブロードバンドを敷設したテネシー州チャタヌーガなどの事例もあります。

C 最近のConferenceからの話題
   10月23日(火)から25日(木)まで開催されたSmart City Fall Conferenceでは、通信インフラとしての5Gやスマートシティに関連するデータ解析やサービス、AI、ドローン、ロボットなどがテーマでした。今回のキーワードの一つは、Connectivityであると感じました。2020年の商用サービス開始に向けて、各社が開発している次世代通信規格「5G」。この5Gを想定したつながりをキーワードにしたインフラ整備が話題に上っていました。様々なサービスの提供(コネクティドカー、駐車場のサービス、ひいては渋滞の解消)の前に、まずは、情報を結びつけるインフラを提供するということです。一例ですが、Ubicquia社は、2018年3月にカンザスシティで、既存の街灯にギガスイッチやセンサーを搭載し、交通量などのデータを取集し、解析するサービスを発表しています。スマートシティネットワークとIoTアプリケーション用に特別に設計された次世代のギガビットスイッチは、世界中の3億以上の街灯のNEMAソケットと互換性があり、既存の街灯に大きな変更をせずに搭載ができるということです。  一般消費者向けの会議やショーではなく、それほど多くの入場者があるわけではありませんでしたが、この会議には、150社の企業や大学、研究機関に加えて、11の州、20都市からプレゼンターとしての出席・発表があり、スマートシティーへの関心の高さが伺える内容でした。


 

 以上、簡単に、スマートシティについてご紹介してまいりました。スマートシティーに関しては、各種の発表もありますので、ご興味のある方は、そちらをご参照いただければと思います。(本稿では、ジェトロ・ニューヨークの2015年10月米国におけるスマートシティーの取り組みの現状を参照いたしております)



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