皆さんは日本茶は飲みますか? ジェトロでは、米国のローカル市場での日本茶の取り扱いを増やすべく、そして米国の消費者にもっとたくさん日本茶を飲んでもらえるための取り組みを始めているところです。
米国の緑茶輸入の3分の1を占めるカリフォルニア
日本茶はどのくらい米国に入っているのでしょうか? 日本の貿易統計を見ると、2017年の日本茶の輸出額は、前年比20・2%増の約1億2800万ドルで、米国はその41・1%を占め、最大の輸出先です。米国のなかでも、西海岸エリアの緑茶市場は大きいです。米国統計局によると、2017年米国の緑茶輸入額1億4397万ドルのうち、多い順からカリフォルニア州(5010万ドル)が全体の3分の1を占め、ニュージャージー州(1501万ドル)、イリノイ州(1325万ドル)と続き、西海岸エリアに入る緑茶が多いです。
日本企業にとってチャンスが広がる一方で、中国産の緑茶などの競合も見られます。緑茶に絞って見ると、カリフォルニア州の2017年海上貨物の緑茶輸入量553万kgのうち、中国産46・9%、日本産16・6%と中国茶の西海岸エリアでの存在感が強いです。
ベイエリアの実店舗を覗いてみると、日本食材を扱うスーパーマーケットでは、日本茶の多くの商品が置かれていますが、ローカルのスーパーマーケットなどでは、まだ取り扱いは限られていると言えます。昨年11月、「SF International Tea Festival」という一般消費者向けのお茶のイベントにジェトロでブースを構えて、プロモーションを行いました。イベントの来場者に話を聞いてみると、「リラックスするために日本茶も飲む」という声があった一方で、「中国茶との違いが分からない」、「茶葉とお湯のバランスが分からない」といった声も聞かれ、日本茶が広く普及するには、エデュケーションが必要だと感じたところです。
デジタル広告を通じた情報発信
ローカル市場へいかに日本茶を普及させるか。J-FOODO(日本食品海外プロモーションセンター)という日本産の農林水産物・食品のブランディングのためにオールジャパンでの消費者向けのプロモーションを担う組織がジェトロ内にあります。このJ-FOODOが中心になって、米国のミレニアム世代向けを念頭に、プロモーションのためのデジタル広告を実施しています。デジタル広告を通じて、米国における日本茶のポジショニングを確立するともに、実際に米国に住んでいる方が日本茶を購入できる仕組みを作ることが目的です。
成分比較をすると、日本茶は精神機能性を支えるテアニンを中国茶よりも多く含んでおり、精神機能性が高いと言われています。日本茶を「マインドフルネス・ビバレッジ」として、現地の消費者に理解してもらうための情報発信を行っています。そのための日本茶の特設サイトがあります(写真1参照)。こちらのサイトでは、インフルエンサーを活用した動画で「マインドフルネス・ビバレッジ」を発信しているほか、煎茶、抹茶、玉露などの各種日本茶の情報も掲載しています。また、Amazon内に日本茶の特集ページ(写真2参照)があります。消費者に分かりやすい売り場を提供して販売を伸ばすことが目的です。私たちの支援企業様の商品をEコマースを通じて、米国に住んでいる消費者が日本茶を直接購入できる仕組みを作っています。
レストランや小売り向けの
イベント開催
他方で、J-FOODOが米国の消費者向けに実施したサンプル調査によると、緑茶の購入者の半数がEコマースと実店舗を併用しているという結果です。そのため、実店舗への取り扱いを増やしていく取り組みも必要だと考えています。今年、ジェトロサンフランシスコでは、西海岸でレストランや小売り関係者などを対象にした日本茶プロモーションイベントを開催する予定です。イベントを通じて、日本茶の精神機能性の高さを理解いただき、レストランや小売り店舗での新規での取り扱いや取り扱い量が少しでも増えることを期待しています。