カリフォルニア州、第2段階への移行を開始
米国各地で経済再開の動きが出始めている。カリフォルニア州は5月8日、自宅退避令の内容を変更し、一部経済活動を再開した。5月8日から事業を再開できる業種は、書店、玩具店、衣料品店、靴店、日用品・家具店、スポーツ用品店、生花店などの小売り<カーブサイド・ピックアップ(店舗前受け取り)およびデリバリーでの営業のみや同ビジネスに関連する製造業と物流業である。再開に先立ち、4月28日に、同州は4段階の経済再開計画「再開へのロードマップ(Update on California’s Pandemic Roadmap)」を発表していたが、今回の措置はその第2段階にあたる。4段階の計画は表1のとおりである。
レストランでの店内飲食などは第2段階の後半に再開される予定。バー、ナイトクラブ、ネイルサロンなどは、高リスクなビジネス活動に分類され、再開はさらに先となる。レストランでの店内飲食に関しては、5月12日、カリフォルニア州は再開に向けたガイドラインを発表した。ガイドラインでは、最大限のソーシャルディスタンス(例:屋内で囲まれた環境のなかで、お客が交差する流れを最小限にするため、屋外の座席や店舗前の受け取りを優先すること)、フェイスカバー着用(例:雇用者は従業員へフェイスカバーや手袋を含めて個人用防護具を提供すること、頻繁な手洗い、定期的な清掃(行き来が多いエリアは徹底的に清掃を実行すること)と消毒、従業員への訓練などが示されている。今回のガイドラインのなかでは、収容制限のパーセンテージ(例:容量の〇%)や再開に向けた具体的なタイムラインは示されていなかった。
エリアによっても異なる
再開状況
また、カリフォルニア州内でも地域によって経済再開の状況は異なる。南カリフォルニアのロサンゼルス市・郡では、州のビジネス再開の動きに歩調を合わせ、5月8日から段階的な再開に動き始めた(※5月15日期限の自宅退避命令は延長された。期限明記なし)。北カリフォルニアのベイエリアでも、ソノマ、ソラノ、ナパの各郡では、それぞれ自宅退避命が修正され、5月8日から一部ビジネスの再開が可能になった。
5月31日まで屋内退避令が発令されているサンフランシスコ市・郡は5月7日、新型コロナウイルスの感染者数が低下し続けた場合、早ければ5月18日から一部の小売業に対し、店舗前で商品を受け渡しする方法での営業を認めると発表した。対象は、書店や生花店、化粧品・美容品店など。その後、最新のロンドン・ブリード市長の5月13日の自身のツィッターによると、月曜日(5月18日)に店舗前受け取りなどが再開予定とツイートしており、サンフランシスコも一部経済再開が現実的になりつつある。日系企業が集積するサンタクララ郡は5月7日、不要不急のビジネスのカーブサイド・ピックアップ・サービスを認めない慎重な姿勢を示した。
ジェトロの取り組み
ジェトロでは、新型コロナウイルスに関する特設ページを開設している。そのなかで、連邦や州などの最新の発表、事業者向けの支援措置、日系企業向けに実施したアンケート結果、これまで全米でジェトロで開催したウェビナーの動画などを掲載している。また、ジェトロの各北米事務所に、日系企業や現地で起業された日本人の皆様などを対象に、コロナウィルスに関係する労務・法務・税務の個別相談窓口を4月から設置した。同サービスでは、専門家(弁護士、会計士など)が事業者からの相談に対応している。ジェトロサンフランシスコでは、これまで、例えば、PPP(Paycheck Protection Program)の申込書の書き方や使い方の留意点、個別の労務関係の相談に対応した。
(参考)
●ジェトロ、ビジネス短信(5月13日)「米カリフォルニア州、小売業などで一部経済活動再開」
www.jetro.go.jp/biznews/2020/05/43dd975724a8043b.html
●ジェトロ、新型コロナウィルス、北米特設ページ
www.jetro.go.jp/world/covid-19/us/
●ジェトロ、新型コロナウィルスに関連する労務・法務・税務相談窓口
www.jetro.go.jp/jetro/overseas/us_newyork/info/20200403.html