2020年は、コロナウイルスの影響で、3月以降、各種イベント、ショーも軒並み中止もしくは、オンラインでの開催と様変わりしました。。毎年ラスベガスで開催される北米最大の電子機器の見本市CES(Consumer Electronics Show)もその例外ではなく、来年1月は、初のオンライン開催となります。今回、オンライン開催ではありますが、国立情報学研究所(NII)は、ジェトロのジャパンパビリオンの1社として、今まで製品化した商品と今後に事業化に向けた最新情報を、初めて出展をします。ここでは、その内容を簡単に、紹介してまいりたいと思います。 NIIでは、研究成果を共同開発、ライセンスを通じ、事業化してきました。その一例が、カメラの写りこみによるプライバシー問題を解決するPrivacyVisorです。装着するだけでプライバシーを保護: カメラやGPSなどのセンサを内蔵した携帯端末の普及や、顔認識技術の進展により、撮影された写真や、意図せず写り込んだ写真が、いつ・どこに誰といたかというプライバシー情報が容易に開示されるということが懸念され、カメラの写り込みによるプライバシー侵害を防止する本質的な対策が求められています。このような背景から、顔認識を妨げる『Priv acyVisor(R)』を開発しました。このPrivacyVisorをプライバシー保護モードで着用すると、カメラやSNSの顔認識機能を妨害することが可能になり、意図しないプライバシーの侵害防止することが可能になります。この技術は、ライセンスされ、2016年から商品化。チタンを使ったバージョンなど順次、最新バージョンが、販売されています。
今後の事業化に向けた 最新研究開発 @ディープフェイクビデオの 解析検出 まず、ディープフェイクとは何でしょうか? AIで活用される「ディープラーニング」と「フェイク」を組み合わせた用語で、ディープラーニング技術を利用して作成された合成メディアのことを言います。 ・どのような市場の要望が あるのでしょうか AIの進展により、人間由来のデータを大量にAIに学習させることで、本物と見紛う映像、声、文章といった「フェイクメディア」の大量生成が技術的に可能です。フェイクメディアによる詐欺や詐称、フェイクメディアによる情報操作が現実の脅威となっており、フェイクメディアであるか否かの真贋判定の必要性が高まっています。以前、オバマ元大統領になりすまして、オバマ氏の口と顎の動きが合成され、音声と合わせて作られたディープフェイク動画も話題になったり、最近のアメリカの大統領選挙でも、フェイク動画は、大きな懸念として話題になったこともあり、皆様の記憶にも新しいのではないかと思います。 ・NIIの技術展示画像 映像のみならず、音声、自然言語を対象としたAIによる生成技術を活用したフェイクメディアの検出技術を、今CESで展示します。検出方法は、人間による分析等を一切必要としない、大量のデータに基づく自動識別手法です。少々見にくいですが、Aの写真で、左が、正しい画像、右が偽の画像です。動画の一部ですが、圧縮やダウンコンバージョンなどのメディア処理が施されていても、判別が可能です。 Aバーチャル・リアリティー(VR)を活用したロボットシミュレーション ・最近のロボットと市場での要望 近年、ロボットの基本性能は大幅に向上を続けており、工場での部品組み立てのような作業だけでなく、ウェイターロボットとしてお客さんに直接サービスをするロボットや、倉庫での在庫の管理を人間と共同して行うロボットなど、人間との共同作業を目的としたロボットが社会進出し始めています。このようなロボットを開発し、実際の現場に配備するには、ユーザー体験の評価を行う必要があり、工場での物体操作作業タスクを対象とするようなロボットと比較すると、時間的にも人的リソースの側面からも非常に大きいコストが評価に必要になります。 ・NIIの技術展示 ロボットが接客をしたり、人間とロボットが一緒に組み立て作業をするという複雑な作業で、迅速に、人と共同して何らかの作業をするサービスロボットを開発するためには、人の行動やそのリアクション行動をモデル化・自動化し、シミュレーションすることを提案しています。Bの写真は、VRを活用してシミュレーションをしているところです。 以上、簡単に、今までの製品化した商品一例と今後に事業化に向けた最新技術を2例紹介しました。本CESでは、この他にも、高精度インドア位置検出センサー、医療画像ビッグデータクラウドプラットフォーム、そして、5Gの次、将来のワイヤレスシステム、Beyond 5Gでのデータトラフィックなど、ビデオや、資料で展示してまいります。
![](http://www.bayspo.com/html/jetro/images/1631-image.jpg)
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