年初に行われた2004年の景気見通しセミナーで、シリコンバレーの雇用回復の遅れを憂慮する声が相次ぎました。その最大の要因は、創業企業数の減少と海外アウトソーシングの進展だそうです。
1月8日に開催されたこのセミナーは、企業経営者を対象に、シリコンバレー・コモンウエルス・クラブとシリコンバレー・ビズ・インク社が主催したもの。参加者は約500名。パネリストはシリコンバレーで活躍するエコノミストや実務者で構成されました。以下、その発言要旨を紹介します。
【エコノミストの視点:景気上昇は雇用創出に結び付かず】
● ステファン・レビー氏、カリフォルニア経済継続研究センター・シニア・エコノミスト
米国の2003年第3四半期(7〜9月期)の実質GDP成長率は8.5%だった。この高い成長率は、減税と利下げ、さらにはイラク戦争に関連する政府支出が牽引した。2004年の米国経済はさらに良くなり、株式市場や企業業績はより一層の上昇が見込まれる。しかし、これらのプラス面は雇用創出に結び付かない。特に製造業とシリコンバレーの雇用には貢献しない。
なぜなら、生産性の向上で、少数の被雇用者によって経済活動は賄えるようになっているからだ。シリコンバレーに本社を置くインテルやシスコ・システムズ、ヒューレット・パッカードなどの2004年の企業業績は、緩やかだが大変良い成績を残すだろう。これらの企業の雇用は(増やしもせず減らしもせず)安定的に推移するだろう。
90年代のシリコンバレーの新規雇用は、イノベーションや起業家精神を惹きつけるスモール・カンパニーから生まれた。しかし、2004年はそうしたスモール・カンパニーは誕生しない。また、2004年はベンチャー・キャピタル(VC)投資の上昇サイクルは起きない。2006年になれば、多くのスモール・カンパニーが誕生するかもしれないが・・・。
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