また、先月には、米国政府が、呉儀副首相兼衛生相宛に、エバンズ商務長官、パウエル国務長官、ゼーリック通商代表部(USTR)代表の連名で、独自規格の導入を再考するよう要望書を提出していました。一方、後者の知的財産権の保護強化については、米国の考えに基づくアクション・プランを作成することで合意。中国は、2004年末までに知的財産権の侵害に対する罰則規定の強化を図るとともに、輸出入など水際での摘発・監視強化、全国レベルでの普及啓蒙活動など行うことを決めました。
この他、米国企業の小売業への参入許可や、農業では、米国産遺伝子組み換え作物に対する安全承認をより多くの産品に発行するなどの面で合意がなされました。
【積み残された案件】
一方、以前から米中間の通商問題となっていた、・繊維製品の貿易格差問題、・人民元制度の見直し問題、・中国の労働環境問題等については、21日発表のアジェンダには盛り込まれず、協議は先送りされることになりました。
第1の繊維製品の貿易格差問題とは、中国のWTO加盟を契機に、米国は2001年末、中国からの繊維製品の輸入割当枠を拡大しており、その結果、米国の対中繊維貿易が米国側の大幅な輸入超過が続いていることです。言うまでもなく、問題視しているのは米国の繊維業界ですが、今や国内市場の50%以上が中国産アパレルといった見積もりもあるほどです。また、米国側は、中国への輸出が思ったように増加しないのは、中国側の高関税、不適切な関税評価、恣意的な輸入税の徴収、輸入ライセンスの不透明な発行手続き、国営企業への補助金交付、人民元の過小評価など、不公正な貿易障壁によるものであると主張しています。
第2の人民元制度の見直しについては、中国の輸出を幇助する実態より過小評価された固定相場レートの堅持が問題となっています。
第3の中国の労働環境については、米国側の主張として、中国の輸出増加は、低賃金かつ劣悪な労働環境によって支えられており、労働者の権利を侵害していると見ています。なお、この問題について、呉儀副首相は、会議後の記者会見で、「事実無根である。仮にそう主張するのならば、米国の労働界のリーダーは中国を訪問し、現状を調査してはどうか」と提案を行っています。
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