しかし、雇用に関しては、海外アウトソーシングの動きは政治的な意味も含めて引き続き要注意です。元々、高コストなシリコンバレーから、ソフトエンジニアのような労働集約な職種が流出するのは不思議ではないのですが、結果として、中高生の理科教育やエンジニア育成の弱体化にまで及びかねません。こうなってくると、将来的にシリコンバレーの足腰が弱まってくるのではないかと不安になります。
また、中堅のハイテク職が州外、海外に流出し、代わりに産み出される雇用が比較的低賃金のサービス部門ではないかとの見方もあり、注視していく必要がありそうです。
【身近になった新技術】
こうしたマクロ経済的な動きを離れてこの3年間の技術のトレンドを振り返ると、ワイヤレス、セキュリティ、オープンソースなどのキーワードが目につきましたが、爆発的なブームとなって需要を大きく牽引するというところまでは行かなかったように思います。また、何か大変に目新しい技術が注目されるということもありませんでした。むしろ、バブルの頃から口にされていた技術が本当の意味で実用化され、身近になったというのが特徴だったのではないでしょうか。
ワイヤレスの分野では、この3年間で携帯電話が劇的に普及し、端末も高度化しました。カラーになり、カメラが付き、着メロが鳴るようになりました。また、コーヒーショップやホテルの部屋からワイヤレスでインターネットに接続できるようになりました。
日本と同じようにデジカメ、携帯電話、DVDの新三種の神器がエレクトロニクス産業の回復を牽引し、これらのデジタル家電用の半導体を設計するようなベンチャー企業が注目を集めています。
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