【失業率の低下は労働力人口の減少が要因か】
それでは、シリコンバレーでは失業率の数値は大幅に低下しているにもかかわらず雇用増となって現れていないのはなぜなのでしょうか。この点について地元のエコノミストらはいくつかの見解をあげています。
1つは、失業率の低下は労働力人口の減少のためとする見解です。失業率は失業者数を労働力人口で除して求められます。ここで労働力人口は就業者数と失業者数の合計です。例えば、現在失業中の人がシリコンバレーで職を探すのをあきらめてシリコンバレーから別の地域に移転すれば、失業者の減とともに労働力人口の減となって計算上は失業率が低下することになります。また、失業中でも求職活動を行わない人が増えているためという見解もあります。統計上は求職活動を行わないと失業者としてカウントされないからです。これらの見解は、表面的には失業率の数値が低下しているが実質的には意義のある失業率の改善とは言えないということを示唆しているようです。
一方で、就業者数調査(payroll survey)の統計処理方法に着目して説明を試みる見解もあります。起業が盛んなシリコンバレーでは最初の雇用は新規に設立されたばかりの企業(start-up companies)で起こるが、こうした企業はこの調査の対象外となっておりその従業員が雇用者数にカウントされてこないという説明です。この説明は、シリコンバレーの労働市場が過小評価されており、実際のシリコンバレーの雇用環境は、統計上の雇用者数で見る以上に改善しているという見方につながります。
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