【激化する価格引き下げ競争】
CESでは、とかくハイエンドで最先端製品に注目が集まりがちですが、その中で、TCLや長虹電器などの中国の大手家電メーカーも数多く出展参加しており、液晶やプラズマなどの大画面薄型テレビを堂々と展示しておりました。特にTCLは、2004年7月、フランスの大手家電メーカーであるトムソンとTTE(株式保有はTCL67%、トムソン33%)という合弁会社を立ち上げており、今回のCESでは、2005年には家庭で手頃な価格で購入できる大画面ワイドスクリーンテレビ(RCAブランド)を北米市場に本格投入すると発表しています。それによると、52インチの液晶パネルが1100ドル、44インチのDLPテレビが2000ドル以下で売り出されるといいます。
また、シンセンのSCTオプトロニクス社も、今後、本格的に米国進出を果たしたいとしており、46インチのプラズマテレビを、シンセンの工場出荷価格で、1台1990ドルで出したいといいます(交渉による引き下げの余地あり)。
このように、わずか1〜2年前までは、1インチ1万円(あるいは1インチ100ドル)を目標に各日本メーカーなどは大画面薄型テレビの技術開発を進めてきましたが、SCTオプトロニクスの提示価格からも分かるように、今後ますます価格の引き下げ競争が激しくなることは必至で、プラズマテレビなどがコモディティ化するのも、時間の問題だと考えられます。
前述の業界の相場感からは、北米市場でデジタル・ホームが定着するにはあと1年半から2年かかりますが、一般家庭で手頃な価格で大画面薄型テレビが購入できるようになるにはさらなる価格の引き下げが必要で、こうした価格引き下げ競争の中、北米市場でそのように市場シェアを伸ばしていくかが、日本企業のみならず、米国企業の間でも大きな課題となっているのです。
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