それでは、シリコンバレーの活力の源泉である、ベンチャー企業の動向はどうでしょう。興味深いことに、シリコンバレーではITバブル後も新規起業数は増加し続け、過去四年間の起業数は約二万件、シリコンバレーの企業の四十六%が最近五年間に創設された企業となっています。この間、廃業した企業より起業した企業数の方が多く、ネットの企業数も増加しています。そして昨年は、急成長企業(最低百万ドル以上の売上高の企業で、最近四年間に二十%以上の収入増加を示した「ガゼル」企業(注:ガゼルとは、アフリカやインドに生息する駆け足の速いレイヨウという動物。)の数が十三社(昨年は九社)になり、バブル崩壊以降初めて前年比増となりました。
ベンチャー・キャピタルのシリコンバレーへの投資額も、これまでバブルをピークに激減し三年連続で対前年比マイナスとなっていましたが、昨年はITバブル崩壊後初めて増加に転じ、前年度比十五%増となりました。分野別シェアでは、ソフトウェア、半導体関連が大きくシェアを伸ばしています。今のシリコンバレーを人間に例えれば、これまで運動能力とともに体格も成長してきた十代のトップアスリーツが、いよいよ二十代を迎えて身長の伸びこそ止まったものの、一層の新陳代謝で古い細胞を常に新しい細胞に置き換えつつ更に自己の持つ世界記録を伸ばしていく、といった姿を連想します。
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