BaySpo 710号(2005/03/11)掲載
シュワルツェネッガー知事の支持基盤に変化
〜党派を超えた支持が弱まる〜
ジェトロ・サンフランシスコ・センター 村松 洋介
村松 洋介(むらまつ ようすけ)

1964年生まれ、神奈川県出身。1988年国税庁入庁。旧大蔵省国際金融局、高松国税局、旧大蔵省理財局、福岡国税局等に在任し、2003年8月からJETROサンフランシスコに勤務。


 最近、シュワルツェネッガー知事の支持率に関する2つの世論調査結果が公表されました。同知事の支持率は依然として高い水準にあるものの、民主党登録者や無党派からの評価は低下し、これまで知事が誇ってきた超党派の支持は薄らいできています。

【民主党登録者と無党派からの支持が低下】
 サンフランシスコの世論調査会社フィールド・リサーチは、2月23日、シュワルツェネッガー知事(共和党)の支持率などについての調査結果を発表しました(注1)。同知事の支持率は55%で、前回調査(2004年9月)の65%から10ポイント低下しました。登録政党別に見ると、共和党登録者では84%と前回調査(88%)に引き続き8割以上の圧倒的な支持を得る一方で、民主党登録者からの支持は34%にとどまり、前回調査(46%)から12ポイント減少しました。また、無党派の支持も48%と前回調査(64%)から16ポイントの減少となりました(表参照)。同社は今回の調査結果について、「知事の仕事の成果を州民は依然として好意的に受け取っているものの、就任1年目に得た非常に高い水準からは下降している」、また、「これまで同知事の評価を大きく特徴づけてきた、党派を超えた支持が薄らぎ、民主党登録者や無党派からの支持が減ってきている」と指摘しています。なお、この調査は、2月8日〜17日にかけて、カリフォルニア州の有権者800人を対象に行ったもので、誤差は±3.5%としています。

【ブッシュ大統領への応援演説などが影響か】

 それでは、今回の調査結果をどのように見たらよいでしょうか。「サンノゼ・マーキュリー」紙の記事(2月23日)は、シュワルツェネッガー知事の超党派的な支持が弱くなっている理由としていくつかの点を指摘しています。1つは、昨年後半以降、党派的アプローチを取り始めたからではないかというものです。同紙は、知事が大統領選の関係で共和党全国大会に出席しブッシュ大統領の応援演説を行ったほか、激戦州のオハイオに出向きブッシュ大統領支持を訴えたことを挙げています。

もう1つは、特に民主党支持者の間で、「知事こそが特定利益集団(special interests)に迎合している」という不満が高まっているからではないかというものです。同紙は、「知事は民主党員や労働組合を、改革を妨害する特定利益集団だとレッテルを貼って批判しているが、知事自身も特定利益集団であるビジネス団体から多額の献金を得ている」という批判があることを指摘しています。

【支持率低下は改革姿勢の証しとの指摘も】
 しかし、「サンノゼ・マーキュリー」紙は基本的にシュワルツェネッガー知事の姿勢を評価しているようです。同紙は社説(2月24日)で、「統治することは選択を行うことであり、選択を行えばその結果に不満を抱く人も出てくる」ため、「知事の人気に陰りが出ているのは不思議ではない」と知事を擁護しています。そして、「知事が年頭教書で掲げた改革の提案(選挙区割の変更、教員の報酬体系の見直し、州職員の年金制度の見直し、歳出キャップ制度導入)などは、議論するに値する論点だ」と肯定した上で、「支持率は低下するかもしれないが、知事は自ら進んで政治的な資産を使うつもりだ」と分析しています。

【民主党登録者のほぼ半数が不支持】
 さらに別の世論調査として、1月27日に発表されたカリフォルニア公共政策研究所(PPIC)による世論調査結果(注2)を見ると、シュワルツェネッガー知事の支持率は60%を維持していますが、ここでも民主党登録者の支持率が43%と全体の支持率を押し下げる方向に作用しています。調査を担当したマーク・バルダザール(Mark Baldassare)氏は、同研究所のシンポジウム(2月3日)の中で、「1年前と比べて変化したことは、民主党登録者の反応だ」と指摘し、「今年の調査によると、彼らのほぼ半数(49%)が知事の仕事ぶりを評価していない」と説明しました。なお、この調査は、1月11日〜18日にかけて、カリフォルニア州の有権者2002人を対象に行ったもので、誤差は±2%としています。

【改革の今後の展開に注目】
 バルダザール氏は、「サクラメント・ビー」紙の論考(2月6日)で、PPICの調査結果を踏まえた考察を行っています。その骨子は、「これまでシュワルツェネッガー知事は、超党派の支持を背景に、いくつかの提案を住民投票に問うて成功を収めてきたが、今後もこうした手法が有効かどうかは分からない」というものです。

したがって、知事が成功を望むならば、民主党の中にも改めて支持を広げていく必要があると指摘しています。

 いずれにしましても、シュワルツェネッガー知事が取り組もうとしている改革が果たして進展していくのか、今後の展開が注目されると言えましょう。

(注1) 2月23日付リリース(#2152)。
http://field.com/fieldpollonline/subscribers/

(注2)カリフォルニア公共政策研究所(PPIC)の世論調査のURLは以下を参照。
http://www.ppic.org/main/publication.asp?I=584

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