【米国勢も日本企業とのパートナーに多大な意欲】
一方、米国企業からは、世界最大のグラフィックチップメーカーであるエヌビディアのタナー・オズセリック・ゼネラル・マネージャーが、様々な情報家電製品に搭載される自社のグラフィックチップの位置付け(映像を綺麗に映し出す技術)や、日米の情報家電製品の差異について触れた。特に日米の製品の違いについては、次世代DVDレコーダー(ソニーのブルーレイ)、携帯電話のアプリ、カーナビなど日本製品の方が、米国製品より一歩先を行った製品が主流となっていると説明した。また、ソニーと次世代ゲーム機の「プレイステーション3」に搭載される次世代グラフィックチップの開発を共同で進めていることを披露した。
また、半導体のパッケ―ジング技術のライセンス供与を行っているテセラのデビッド・タッカーマン・上級副社長兼最高技術責任者(CTO)は、半導体のSiP(システム・イン・パッケージ)における微細化実現に向けた、ライセンスの供与先である半導体会社との共同デザインの重要性や課題に言及した。特に、IP(知的財産)だけあっても、実際に作動する商品の実現には結び付かず、それ故に(高い生産技術を持つ)日本メーカーとの共同開発は大変重要であるとの見解を示した。
【日本企業に対する認識ギャップの是正に貢献】
続いて行われたパネル・ディスカッションでは、まず、「日本企業はソフトウェアの開発力が弱く、iPodのような商品開発がなぜできないのか」との質問が寄せられた。これに対して、2001年までソニー・エレクトロニクスにいたエヌビディアのタナー氏が、「ソニーも(iPod発売前の)99年には、既に"ネットワークウォークマン"と呼ばれるポータブルプレイヤーを発売し、音楽もダウンロードできる機能を有していたが、パソコン周りの使い勝手が悪かった(結果、あまり普及しなかった)。一方、iPodはすべてを簡素化し、使い勝手が良い。日本はソフトウェアをいかに使うかを知らないという問いに対しては、iPodの例だけを挙げて論じることは賛同できない」との考えを示した。
次いで、NECの福間氏に対して、「ハードウェアとソフトウェアの垂直統合が大事であると主張しているが、そうであれば、ソフトウェアのIPも自社のものでなければいけないのでは」との質問があった。これに対して同氏は、この考えに賛同しつつ、「素晴らしいIPを持つパートナーがおり、そのIPを顧客にディストリビューションしてもよければ他者のIPをライセンスインすることは有り得る。要は契約の問題であろう」との考えを示した。
また、富士通の八木氏に対しては、「日本の垂直統合型企業(IDM)は、外部のベンダーから戦略的IPをライセンスインせずに、インハウスで行うと理解しているが」との質問が寄せられた。この質問に対して八木氏は、「1企業がすべてを自社で行う時代は去った。当社はいつでも最高のIPがあればライセンスインする構え」だとし、「この議論は過去の話」と一蹴した。
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