世界最大の家電製品展示会インターナショナル・コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が1月5〜8日ラスベガスで開催された。今年の展示会は、パソコン(PC)やテレビなどハード機器と、音楽や映画などのオン・デマンド・コンテンツとの融合が強調されたのが特徴で、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長やインテルのポール・オッテリー二最高経営責任者(CEO)などがそれぞれの新製品を発表した。一方、次世代DVD規格をめぐる争いは激しさを増し、日本企業を中心にDVD機器の製造各社は、自社の規格の優位性をアピールする動きが活発だった。
【ゲイツ会長、PCの将来像を語る】
CESは世界最大の家電製品展示会で、ハイテク企業のCEOなどが次世代のテクノロジー・トレンドや業界のビジョンを語る場として知られ、毎年多くの業界関係者が集まる。今年で39回目となる06年のCESには世界110ヵ国・地域から160万人以上の関係者が来場した。出展企業数は2,500社に上り、過去最高の規模となった。
ショーの前夜(4日)は毎年恒例となっているマイクロソフトのビル・ゲイツ会長の基調講演で始まった。ゲイツ会長によると、PCは将来、自分の机に置いた巨大なモニターに指でタッチしコマンドを送り、音楽鑑賞やテレビ会議、メールのやりとりなどが行われるようになる。また、モニターに名刺を置くと、その情報が携帯電話に自動送信され、自動的に入力されるようになるという。同社は現在、実用化に向け研究開発中だという。
次にゲイツ会長は、06年後半に発売予定の次世代オペレーション・システム(OS)「ウインドウズ・ビスタ」を紹介した。ビスタの新機能の特徴は、現在のウインドウズXPと比べ、ユーザー・インターフェースが大幅に変わるほか、同時に複数のアプリケーションを見ることができる。また、ビスタのメディア・センター・エディション版では次世代DVD規格のHD‐DVDに対応させるという。
一方、インテルのポール・オッテリー二CEOは、同社の新しいプラットフォーム「インテル・ヴィーブ(Viiv)」とモバイル市場向けの「インテル・セントリーノ・ジュオ・プロセッサ」などを紹介した。同氏は、いずれのテクノロジーもデジタル・エンターテイメントやデジタル情報を快適に実行できる性能を目指し開発したとしている。
【ネット系企業の情報家電ビジョン】
また基調講演には、CESが始まって以来初めて、インターネット企業(ヤフーとグーグル)のCEOらが加わった。家電製品の展示会にインターネット企業が登場したとあって、マスコミも大きく取り上げ、グーグルがPCを発売するのではないかといった憶測記事まで流れた。
ヤフーのテリー・セメル会長は新サービス「ヤフー・ゴー」のデモンストレーションと、ティーボのDVRセットにヤフーの検索エンジン機能などを付加することを発表した。特にヤフー・ゴー・TVは、家庭用のテレビに情報装置(HPのメディア・センターなど)をつなげることで、テレビがパソコン端末のように使えるようになる。新サービスの開始は、今年第1四半期中となる見込み。
また、セメル会長は、音楽や映画等の検索サービスと配信事業に注力していると述べ、ITと家電の融合が今後の大きなトレンドであることを強調した。
一方、グーグルのラリー・ページ創立者兼製品担当社長も、同社の新サービス「グーグル・ビデオ・ストア」や、これまでばらばらに提供していた各種アプリケーション・ソフトを1つにまとめた「グーグル・パック」を紹介した。ビデオ・ストアでは、全米ネットワーク局のCBSやプロバスケットボール「NBA」のコンテンツなどを有料で配信する予定。
【存在感を増すサムスン】
家電メーカーでは日本企業と韓国企業が圧倒的な存在感を示していた。特にサムスンの存在感は米国でも年々高まっており、05年の米国のテレビ市場では、ソニーに次ぐ、第2位の市場シェアを占める。サムスンの展示ブースでは、a)82インチのLEDベースのLCDテレビ、b)82インチのLCDテレビ、c)102インチのプラズマ・テレビ、d)80インチの商用化されたプラズマ・テレビなど世界最大の大きさを銘打って、テレビの展示に力を入れていた。
また、世界最大といえば、松下電器産業の展示ブースでは、世界最大の103インチのHDプラズマ・テレビを展示し、家電の雄、松下の実力を世界にまじまじと見せ付け、聴衆の目を釘付けにしていた。
また、超次世代製品の変わったところでは、東芝が3Dメガネをかけず、3D映像が見れるモニターの展示を行い長蛇の列が連日できていた。
【激しさ増す次世代DVDをめぐる争い】
次世代DVD規格をめぐる主導権争いも今展示会の特徴であった。ソニー、松下電器産業などが率いるブルーレイ陣営と、東芝などのHD‐DVD陣営がそれぞれの機能の特徴やサポート陣営の紹介を繰り広げた。
ウインテルはHD‐DVD陣営を支援し、次世代パソコン規格ではHD‐DVDに最適な製品設計を表明している。一方、ブルーレイ陣営はソニー傘下の米ソニー・ピクチャーズ・ホーム・エンタテインメント(SPHE)、20世紀フォックス、パラマウント・ピクチャーズ、ライオンズゲートといったハリウッドの映画会社や、デルやアップル・コンピュータなどパソコンメーカーの支援を取り付けている。そうした中で、ブルーレイ陣営に名を連ねていたヒューレット・パッカードがHD‐DVD陣営の支援を表明するなど、規格争いはますます
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