朝出勤して立体駐車場に向い、毎日の習慣で必ずこのフロアと決めている5階(赴任早々、駐車フロアを暗記し間違えて大変な目にあったので)に当たり前のように車を走らせると、何と空きスペースが無い!大イベントの日でもないし、そういえば確かにいつもよりちょっと到着が遅れたけれど、家を出る時間はいつもと同じだったのに・・・・。最近は気のせいか高速で頻繁に渋滞にぶつかる気がするし、馴染みのお店の予約も時々取れないことがある。日本からの訪問のお客さんの数が最近は半端じゃない。当地の仕事関係の方々に連絡を取ろうとしても、皆さん日本やアジアに出張中で音信不通。一方で当方への仕事依頼のメールの数はどんどん増えており、いよいよバブル再来か?と、地元ならではの直感が働くこの頃です。
そんな中、先月下旬のサンノゼマーキュリー紙に、第3四半期のVC投資が回復基調へ本格的にリバウンドし、投資レベルは2001年時まで回復しているとの記事を目にしました。ハイテク投資が復活していることは既に何度か本誌でも御紹介申し上げている通りですが、Moneytreeの最新データを見ると、年間で最も投資規模の下がる3Qの速報値で全米のVC投資額が六十億ドルを超えましたから相当なものです。バブル崩壊直後の2001年水準まで回復というのはちょっと未だ言い過ぎですが、勢いは間違いありません。日常生活の景気感の方が早めなのは、恐らくは投資の実態として個人投資家の統計上に乗り難い資金が既に流れ込みはじめており、これが報道や統計よりかなり前倒しで水面下で景気を押し上げてきた影響があったからでしょう。シリコンバレー失業率(Santa Clara郡、San Benito郡)の方も別の報道によれば4.7%から4.5%へ改善され、雇用件数は1,900件増加しているとのこと。身近な景況感と統計がかなり一致してきています。
最近の傾向の1つであるシード段階や初期段階のステージへの投資回帰についても、投資件数で比較すると、バブル崩壊直後とは言え未だ熱の冷めやらぬ2001年水準にあります。もっとも最近はバブル期やそれ以前と違い、中国・インド等へのアウトソーシングの積極活用により初期段階に必要な開発費用がぐんと低減しており小規模資金でも起業可能になったそうですから一概に単純比較はできませんが、Web2.0に代表される新潮流が起業マインドを再び刺激しているのでしょう。でも、インターネットそのものを革新とした時代からウェブに革新の場が移ったことで、「Webが凄い」ことは周知されたものの、実は未だどのモデルが王道なのか見当が付かず、しかし一方でWeb2.0の波にの乗らないと時代に取り残されかねないという気にもさせられます。気持ち先行ではバブルになりかねません。しかし前回のバブル期と様相が異なるのは、スタートアップ企業の初期投資額が小さくて済むようになったが故に、当面は自己資金や身内からの借金で賄う傾向もあり、VC側も有望なスタートアップ企業をしっかり見極めハンズオンしていく姿勢を強めていますから、Web2.0がやや注目度先行の感はあってもバブル再来にはならないでしょう。ただ、First Compassの外村さんの解説によれば、Web2.0企業は、難しいことはあまり考えずまずはやってみよう、他力本願大いに結構で最初から完璧など目指さず皆で知恵を出し合い付加価値を付けていこう、という従来のビジネスマインドとは随分異なるモードなのだそうで、この時代の目利役を務めるVCはさぞ大変でしょう。
今やライバルのYahoo!を横目に独走状態に入りつつあるグーグル。iTunesで大復活しつつも収益ではハード(iPod、Mac)が絶好調のApple。「現物」と「情報」の双方を並列に扱える巨人Amazon.com。彼らをターゲットに次々と生まれるベンチャー企業。グーグルは既に終わったと平然と言い切ってしまうWeb企業。こんなに家賃も食費も人件費も高いのに、世界中から起業家達が続々と挑戦してくるシリコンバレーの、尽きることのないゴールド・ラッシュ。次の大金鉱を掘り当てるのは是非、日本ベンチャー企業であって欲しいものです。日本ベンチャー企業はと言えば、こうしたWeb新時代を敏感に感じ取り、いよいよシリコンバレーに攻勢をかけつつあるようです。私たちJETRO・BICへの入居企業数もここ数ヶ月でぐんと増加。これに伴って、受入施設を少し拡張することを決定したところです。日本のプレゼンス拡大に、みんなで気合い入れて頑張りましょう。
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