明けましておめでとうございます。2007年が皆様にとって素晴らしい年でありますよう、お祈り申し上げます。
2006年は米国、日本ともに経済情勢が総じて順調であったと言えるでしょう。米国経済は一時、住宅市況の悪化や原油高から先行きが懸念される場面もあったものの、2007年にかけて堅実な成長路線に落ち着くであろうという「軟着陸」を予想する声が主体のようです。日本経済も、企業業績の好調さなどを受けて着実に回復を続けています。
こうした中で、日米関係はかつてないほど良好な状況で推移してきました。両国の経済状況のほか日米首脳同士の緊密な連携なども理由でしょうが、何より、日米にまたがる事業活動から日々の日常生活に至るまで、皆様の地道な積み重ねがあればこそのことと思います。
IT産業の世界的中核地であるシリコンバレーを擁し、バイオ関連産業の一大集積地でもあるここベイエリアの活況は、皆様ご存知のとおりです。ITバブルで落ち込んだシリコンバレーへのハイテク投資額が回復してきていることは、既に本欄でもたびたび紹介されていますが、先日カリフォルニア州が発表した人口の資料でも、この地の勢いがうかがえます。州全体の人口の伸びが近年次第に緩やかになっている一方、サンタクララ郡の伸び率は逆に高まってきており、最新時点では州全体の伸び率を上回りました。近隣の郡の人口も伸び率が上昇傾向にあり、また実人口の増加数でもこれらの郡は州内で上位の部類に入ります。ベイエリアがITバブル崩壊のショックを克服し、世界各地からの人材も含めて新たに人を呼び寄せていることの現われと言えるでしょう。
ベイエリアの日系企業については、2006年に当センターが実施したアンケート調査によると、2000年を頂点に減少してきた日系企業数が久々に増加に転じ、売上高や営業利益の状況も総じて改善傾向にあることがわかりました。また、私どもの身近なところでも、シリコンバレーに進出を希望する日系ベンチャー企業のため、当センターがサンノゼに有しているインキュベーション施設、「ビジネス・イノベーション・センター(BIC)」に入居を希望される中小企業が、最近になって急激に増加しています。
ジェトロ・サンフランシスコは、日本と米国の間のビジネスの結びつき、大きく表現すれば日米間の経済関係のきずなを少しでも深めていけるようにお手伝いをすることを、一番の役目と考えております。本年も、皆様から寄せられる様々なビジネス面でのお問い合わせへの対応はもとより、日米企業間の具体的なパートナリングの場の設定や、BICを中心としたベンチャー企業へのサポート、シリコンバレーでの人的ネットワークの活動支援などに引き続き力を注いでいくつもりでおります。
また、日米間の結びつきを促進するという点からは、様々な面での日本の良さ、素晴らしさを米国側にメッセージとして伝えていくことも大事だと考えています。昨年11月にジェトロ・サンフランシスコがシリコンバレーで開催したシンポジウムでは、パネリストの米国企業関係者から、日本市場が開放的であること、日本企業は高い技術を持っている上に技術開発・ビジネス方法のイノベーションをさらに進めていることなど、日本の魅力、実力を評価する多くの発言がありました。引き続き、こうしたメッセージを効果的に当地で発信していきたいと思います。
日本の良さ、素晴らしさということでは、ものづくり、ハイテクといった面にとどまらず、映画、マンガ、アニメなどのコンテンツ、日本食など、日本独自のセンス、味わいといったものをうまく伝えていくことも大事な観点であると思います。これらがビジネスに直接つながるという側面はもちろん大事ですが、より多くの米国の人々に、これらをきっかけに日本に目を向けてもらうという点も大切ではないかと考えています。このようなことを念頭に、ジェトロの活動においても工夫をしていきたいと思います。
つい最近、ワシントンD.C.のある調査機関が興味深い世論調査結果を発表しました。全米約1200人の成人を対象としたこの調査で、「次のビル・ゲイツはどの国から出ると思うか」という質問に対し、中国に次いで日本が第2位となっているのです。
ビジネスで、また「クール・ジャパン」でと、様々な面で着目される日本、私どもも広い視野を持って、微力ながら日米間の架け橋になりたいと考えております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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