新年明けましておめでとうございます。本年も、日本とベイエリアのハイテクビジネス交流を更に深めるべく、ジェトロサンフランシスコとしても一層の努力をしてまいります。引き続き宜しくお願い申し上げます。
さて、最近は検索エンジン、音楽・動画配信、SNSやSaaSなど、Web時代のコンテンツやソフト関連のニュースが賑わっていますが、その方面の技術進歩と並行してハードウエアの性能向上も当然のことながら絶え間なく続けられています。ハードの話題と言えば、携帯電話やブラックベリー、iPod、次世代DVD、最近では任天堂Wii対PS3、Xbox360の戦いの行方や、シスコシステムズの絶好調振り、更にはインテル対AMDなどをよく耳にするところです。
ところで、ハードの技術はどれくらいの勢いで進歩しているのでしょうか。コンピュータは、実際のビジネスでは技術のみならず使い勝手やデザイン、価格等様々な点の進歩改善が評価されるわけですが、単純に、過去との客観的な比較で興味深いのがスーパーコンピュータの演算速度世界ランキング(http://www.top500.org)です。テキサス大学の研究者が半年に1度発表している順位表で、昨年11月のものが現時点の最新版です。実は、一昨年暮れにも一度、本誌でスパコン開発競争についてご紹介申し上げたことがあります。再び同じ話題で恐縮ですが、ザ・ベストテン世代を過ごした者としては「ランキング」につい目を向けてしまうDNAを持ってしまっているものですから。
現在の最速コンピュータは、2004年11月に首位の座をNECから奪って以来1位を守り続けているIBMのBlueGene/L(ローレンス・リバモア研究所)。ベンチマーク性能は280.6TFLOPS(1秒間に280兆回の浮動小数点演算を実行)ですが、僅か2年前は同機種の処理速度は70.2TFLOPSでしたから、2年間で4倍以上の高速化という驚異的進歩です。スパコンは軍事利用も多いですから当然とは言え、上位4位を全て米国が独占。他方、首位を奪われた元世界一、NECの地球シミュレータはあっという間に14位に転落です。代わって同社のTUBAMEがぎりぎり第9位にランクイン。日本のベストテン落ちを土俵際でくい止めた感じです。
このサイトはデータベースがしっかり整備されているため、色々なことが客観的に把握できます。ランキングが始まった当初の93年にはスパコンを保有している国は23ヶ国でしたが今は32ヶ国に達し、世界のフラット化が伺われます。93年時点では、中国もインドも順位表外でしたが、今ではスパコンを2桁台以上保有している国は、日米と英仏独、そして中国とインドの7ヶ国。この分野でも中国、インドの勢力は着実に強まっています。日本はと言えば、93年時点では100台以上を保有し、米国に次いで第2位(世界全体の20%のシェア)を誇っておりましたが、その後各国が台頭し、一時期は英独にも抜かれてしまいました。しかし、嬉しいことに昨年になってぐっと盛り返し、現在は再び英国と並んで世界2位まで戻ってきました。それでも前期は、中国が日本に1台差にまで迫り、あわや、というところでしたが。企業別ではIBMがダントツで、HPがそれに続き完全な2強体制。OSはリナックス、チップはインテルですがAMDが猛追という様相でした。ビジネスのトレンドもかなり滲み出ている感じです。
まあまずは、1つ1つの細かい順位よりも、昨年当たりから日本の技術力全体の底力が上がってきたことを前向きに評価しましょう。ゲーム機でも日本のプレゼンスは十分ありますし、厳しい競争の中で、順位自体は何時でも直ぐに変わり得るものです。年初のテニスでは大澤氏、山下氏、八木氏、星野だった順位も、来月にはガラっと入れ替わるわけですから。
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