毎年恒例の「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」が1月8日から11日にかけてラスベガス開催され、参加してきました。主催者発表では、2700社14万人の参加で、展示面積は過去最大。特に今年はCES40周年でもあり、第1回が200社2万人弱でスタートしたことを振り返ると、ここまで来たかという感じです。
CESは、毎年世界トップ企業のCEOが軒並み参加し、新技術や新製品、提携等の発表の場として、今年1年の情報家電ビジネストレンドが示される格好の機会です。
【どこまで続くかディスプレイ競争】
昨年同様、会場の主役は薄型テレビの大画面・高画質競争でした。まず注目されるは「今年の世界最大画面」ですが、本年はシャープの108型フルハイビジョン液晶AQUOSでした。昨年が松下(103型プラズマ)、その前がサムソン(102型プラズマ)でしたから、2年連続日本勢の勝利。大画面競争で液晶がプラズマを上回ったこともちょっとした驚きです。ただ、世間が大型画面に見慣れてきたせいか、一昨年頃に比べるとやや落ち着いた感じがあります。今年はむしろ高画質競争により拍車がかかった印象です。とにかく各社とも凄い。私レベルで見ればもうプラズマ、液晶どちらも甲乙付けがたい精細な画面ばかりで、まさに写真が動いているような錯覚を感じるほどでした。松下電器のJazz Clubというコーナーで拝見した縦長に置いた65型プラズマ画面に写し出されたサックス奏者は、照明を落とした中で人混みの隙間から覗いた時、最初はそこに生演奏の奏者自身がいると勘違いしてしまったほどでした。ここまで来ると、さすがに高精細技術も開発の余地はもう残っていないのではと思いつつ、ソニーのコーナーで出会った27型有機EL画面を見て絶句しました。もはや現実よりも精細?なほどで、究極という感じです。以前本誌でも御紹介しましたが、有機ELには寿命と大画面化が困難という課題がありますが、大画面競争とは別に、世の中はモバイルの時代。これから携帯用画面にどんどん採用されていく予感がします。
【ブルーレイ対HD DVD】
ディスプレイ競争を駆り立てるのはそれを使って見るコンテンツ。ホームシアターで大迫力のDVDを、というのは一昨年前あたりからCESの定番ですが、次世代DVDの規格競争は解決されないまま、今となっては両陣営とももはや冷静に営業広報していくという感じの展示でした。もはや規格統一が絶望的になり、映画会社側が両規格で出すと決めてみたり、LGやワーナー等が早くも両規格対応ディスク、プレーヤーを発表したりしています。もっとも、次世代DVDを普及させようというこの時代、映画等のコンテンツはどんどんネット配信になっていくはずですから、今後は録画機としての市場戦略が課題なのでしょう。
【パソコンから携帯へ、モバイル中心の戦略が前面に】
当地屈指のITジャーナリスト、小池良次氏が詳細に解説されていますが、今年のCESの注目点の1つは携帯、スマートフォンへのシフトです。特に、ビスタ発売目前のマイクロソフトは、今年で現役最後の(はずの)ビルゲイツ氏が例年通り登場し、音楽、ゲームや映像等、生活やオフィスでの様々な情報をつなげ幅を広げていくというビスタの宣伝に加え、ウインドウズモバイル5.0も意気揚々と紹介。モトローラもスマートフォンに注力、スマートフォンブームの米国で携帯電話がいよいよIT社会の主役の座を奪いつつあるようです。グーグルやヤフーのサービスも、画像プリントも、パソコンを介さなくてもモバイルで十分対応可能な時代となったのです。
【TVコンテンツを巡る動きが活発に】
一方、これからのネット・ビジネスの焦点の1つがTVコンテンツ。今年のCESでは、ディズニーのアイガーCEOが、TVコンテンツを放送局のみならず他の媒体にもネットで提供する強い意欲を示しました。コンテンツ提供の規模を拡大してコストを下げることで、逆に違法コピーを駆逐できる部分もあると指摘しました。著作権問題で言えば、昨年話題になったYouTubeに対し、敵対から一転して提携関係を結んだCBSムーンベス会長も基調講演に登場、YouTubeのハーレーCEOをゲストに呼んで友好関係をアピールしていました。
【きらりと光る日本の技術】
動画を含め大量のコンテンツを扱う時代を睨み、日立グローバルストーレジテクノロジー社が、CESで何と1Tバイト(1000Gバイト)のHDDを発表していました。価格は未定ですが、市場投入はもうすぐだそうです。テラの時代が目の前にあるというのは凄いことです。華々しい展示とは別に、こうしたキラリと光る日本の世界最高技術を拝見できたのも、今年の印象深い点でした。
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