文化芸能編  Vol.42
下田 恵玲奈さん
サンフランシスコ在住の水中ポートレート写真家。スキューバダイブマスター。東京生まれ。ニューメディアとファインアートの経験を生かして、さまざまなメディアで独特の作品を創造している。父親を亡くし、自らも重傷を負った交通事故の後、水中ヒーリングセラピーの実践を開拓。米がん協会の「ルックグッド・フィールベター」でのボランティア活動でインスパイアされ、水中写真への関心とがん克服者援助を組み合わせることを決意。パワフルで変革を促す水中ポートレートセッションは、被写体にヒーリングとそれを超越する経験をもたらしている。 www.underwaterhealer.com / www.erenashimoda.com
水中ポートレート写真家として 伝えたい想い
自らが開拓した水中ヒーリングセラピーの一環として、水中で心を開いた人々の表情を撮影している下田さん。写真家として、またデザイナーとしてサンフランシスコをベースに活動する暮らしぶりなどについて伺いました。
下田 恵玲奈さん

(Erena Shimoda)BaySpo 1348号(2014/09/26)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 89年に父親の転勤で家族で永住しました。父は英語が出来ましたが、はじめの何カ月は家族でモントレーに住み、Monterey Institute of International Studiesの語学学校に通いました。ベイエリアに移った直後、89年の大地震を経験。東京で地震と避難訓練には慣れていましたが、橋が崩れた大きな地震にはびっくりしました。

ベイエリアの印象
 当時は14歳で、すべての物が巨大化されているように見え、まるで『不思議の国のアリス』の世界に入りこんだような気持ちでしたが、数年もたつと食べきれなかったケーキもパクリと食べ、自分も巨大化しているのに気づきました(泣)。ベイエリアは住みやすく、気候も良く、食べ物といろいろな国の文化が豊富だと思います。健康に気をつけている人も多く、ヘルシーなオーガニック食品がたくさんあるので食べ物には困りません。

自分の専門分野について
 水中ヒーリング・ポートレート写真家として、様々なクライアントとお仕事をしています。ゴールは私が撮った写真を喜んでもらえ、撮影を一生の思い出にしていただくことです。クライアントの信頼を得ることが毎回のチャレンジで、一人ひとり違うことを頭に入れ、その人のレベルにあわせて無理のない撮影をします。がん克服者には、水中のヒーリング効果を経験してもらって、仕上がったポートレートで自分の美しさを再び感じてもらう手助けをします。マタニティ撮影は、生涯の思い出になるよう、温かい水中でのリラックス感、水中で身体が軽くなった自由さを感じてもらえるようにします。婚約・結婚記念日の撮影では、結婚式の招待や披露宴でバックグラウンドムービー等に使うものを撮影します。

その道に進むことになったきっかけ
 10年以上のスキューバダイビング経験と、8年以上前にダイブマスター資格を取り、写真も同時に始めました。5年ほど前に、魚から人間のポートレートに転向して、色々なクライアントに会いながら経験を積み重ねています。2年前から米がん協会の「ルックグッド・フィールベター」プログラムでボランティアを始め、治療による脱毛や肌の変化に悩むがん患者たちが自信を取り戻せるよう、メイクアップ、ウィッグや帽子の付け方を教えるクラスでアシスタントをしています。ボランティアをしているうちに、「写真を撮ることで自分に自信をつけたい」という多くのクライアントの思いは、がん患者にもあてはまると思ったことが、2013年7月に行ったキャンペーン、「Underwater Healer About Face」のきっかけとなりました。このキャンペーンではサポートされた寄付金で西海岸(ベイエリア5人、シアトル2人)のがん克服者7人の撮影を実現、年末には合計13人(ニューヨーク3人、ハワイ1人、ベイエリア1人、カナダ1人)を撮影、本も自己出版しました。キャンペーンはヘルス関連やスキューバダイビング雑誌など色々なメディアに取り上げられ、医学関連カンファレンスで発表させてもらったり、東京で個展を開かせてもらったりしました。

英語で仕事をするということ
 デザインの仕事に使う英語と、クライアントと対面して信頼と尊敬を得るための英語力は全く違うということを学びました。

英語で失敗したエピソード
 クライアントと会うまでテキストやメールで会話しますが、ミスコミュニケーションが多いことです。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 同じ方向に進んでいると思いますが、英語を教えながら世界を周り、デザインの経験も重ねながら水中ヒーリング写真も撮っていたと思います。

あなたにとって仕事とは?
 デザインも写真もパッションです。自分の持っているクリエイティブなスキルで人を助けることが出来たとき、クライアントのスマイルが見れたときに幸せを感じます。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 スキューバダイブマスター。

いまの仕事に就いていなかったら
 ダイブマスターとして世界中で働きながら潜りまくっているでしょう。両親が世界でも通用するようにと、恵玲奈(えれな)という名前を付けてくれたので、妹がフライトアテンダントとして世界中を行き来しているように、私も同じく水中ヒーリング写真で世界に羽ばたけたらと思っています。

現在、住んでいる家
 サンフランシスコのビクトリアン・フラットに20年間住んでいます。もう引っ越せません(汗)。

休日の過ごし方
 スポーツジム、お友達とのランチやディナー、映画、アートショー、母親の家に戻りゆっくり、などして過ごします。

好きな場所
 アウトドア席のあるコーヒーショップ、バー、レストラン。

1億円当たったとして、その使い道
 2分の1は母に、4分の1は妹に。残りはヨーロッパで、Underwater Healer Projectで、がん克服者たちと行う写真撮影費に使いたいです。

最もお気に入りのレストラン
 「Millennium」

よく利用する日本食レストラン
 「Sushi Time」

;最近日本に戻って驚いたこと
 ビーガンの食べ物、レストランが東京にあったこと。

日本に持って行くお土産
 Trader Joe'sで買うものが多いです。ナッツ、フリーズドライフルーツ、日本には無い変わったチョコレートなど。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 この間は私の大好物、銀ダラの粕漬けをもって来ちゃいました! 

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 パーキングスペースを見つけるのがさらに難しくなったことです。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 時代の変化、物価の変動の早さに不安を感じます。サンフランシスコのオリジナルな所が無くなり、多くの人がオークランドに移ってしまったのではないでしょうか。

お勧めの観光地
 水辺が好きなので、Russian River・Yuba River・Big Sur・Cozumel・Bonaire・Maui

永住したい都市
 ロンドン、東京、サンフランシスコを行き来しながらたまには海の綺麗な島で休日を過ごしたいです。

5年後の自分に期待すること
 今までのデザイン、写真、マーケティングの経験をグレードアップして、Underwater Healer Projectがもっと世界中に広がっていること。そしてスポンサーがいっぱいついてくれていたらとても嬉しいです。

最も印象に残っている本
 『The Diving Bell and the Butterfly』この本は映画を見てから買いました。主人公が脳梗塞になった後、片目でアルファベットをなぞりながら書いた本です。

最も印象に残っている映画
 『The Diving Bell and the Butterfly』

最近観た映画
 『Edge of Tomorrow』。VIZ Mediaから出版している、小説『All You Need Is Kill』(桜坂洋)の英語版をベースにした映画です。

自分を動物にたとえると?なぜ?
 堂々としていると良く言われるからホホジロザメ(Great White Shark)。

座右の銘は?
 「ビッグハート」。海の様に広くあたたかい心を持つことが 生きていて一番大切だと思うから。

(BaySpo 2014/09/26号 掲載)

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