一般編  Vol.135
木村キャサリンさん
 イギリス・カンブリア生まれ。1969年にベイエリアに渡り、以後さまざまなボランティア活動に参加するなどしてローカルコミュニティに貢献。Japan Society of Northern California会長、British American Business Council Northern California会長、British Benevolent Society Northern California会長、ミルブレー日本文化祭実行委員などを歴任。2006年、イギリス、エリザベス女王より大英帝国勲章を授与された。
常にコミュニティーと関わっていたい
 毎年10月に行われるミルブレー日本文化祭の実行委員を務める木村キャサリンさん。他にもサンフランシスコ桜祭りやさつき会、Japan Society of Northern Californiaの委員でもあるキャサリンさんは、2006年、イギリスのエリザベス女王から表彰された経歴を持つ。今回はそんな輝かしい業績を持つキャサリンさんにベイエリアでの暮らしぶりについて伺った。
木村キャサリンさん

(Kathleen Kimura)BaySpo 1208号(2012/01/20)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1969年の1月にサンフランシスコに来ました。もともとは、イギリスに住んでいた時からニューヨークにある国連本部や、スイスのジュネーブにある国連関係の機関で働いてみたいと思っていて、その最初のステップとして、文化的に開けたカリフォルニアに来てみようと思ったのがきっかけです。はじめの頃はサンフランシスコにあるローファームで2、3年秘書として働いていました。当時はイギリス人であればアメリカのワーキングビザを取得するのは簡単でしたから、仕事を見つけるのも今ほど大変ではありませんでした。しかし、実際は、サンフランシスコで今の夫に出会い、結婚・出産、子育てをしたので、国連関係で働くことはなかったのですけれどね。

旦那様は日本人の方ですね
 はい、夫は日本人なのですが、実は私がサンフランシスコに来て、レジデンスクラブに宿泊していた頃、ちょうど夫もそのレジデンスクラブにいたんです。今はもうないのですが、そこには20代前半の若い人たちが主に宿泊していて、みんなでよく遊んでいました。夫とはそこで一緒に卓球をしたのが出会いです。

ベイエリアの印象
 やはり、Diversity(多様性)を感じますね。ニューヨークのマンハッタンも好きですが、ベイエリアのほうがコンパクトですよね。それから、家庭をもっている人にとってもとても住みやすいところだと思います。また、当時は今ほど国際結婚がポピュラーではなかったのですが、カリフォルニアではみなとても寛容でした。

さまざまなボランティアワークをされていますね
 もともと秘書のような仕事や事務職に向いているとは思うんですけれどね。私が若かった頃、イギリスの女性が就く仕事といえば、教師か看護士で、私はそのどちらにもなりたくありませんでした。私は幼いころから、両親や叔母が地元のコミュニティーにたくさん関わり、楽しんでいるのをみていたので、なんとなく自然に私自身もボランティアワークに興味を持ち始めたのだと思います。今の仕事もそうですが、私自身の国(イギリス)、私の夫の国(日本)、そして、今住んでいるベイエリアというコミュニティー、すべての場所に対して何か貢献したい、何か関わっていたい、そういう風に考えています。

現在はどんなことを?
 今年はサンフランシスコ市ー大阪市の姉妹都市が提携されて55周年の記念の年になります。ですので、それに関する仕事がたくさん舞い込んできています。また、毎年秋に行われているミルブレー日本文化祭ですが、今年の文化祭のためのミーティングがもうすぐ行われるので、その準備も忙しいです。今年は文化祭には日本食の出店などをもっとたくさん出したいと考えています。

仕事で日本語を使うことは
 ボランティアの仕事をしつつ、実は夫の仕事も少し手伝っています。夫は貿易のビジネスをしているので、日英の翻訳の仕事などを手伝っています。

もし日本語がネイティブだったら
 もし日本語を流暢に話すことができたら、もっと国際的にいろいろなことに関わっていきたいですね。

仕事とは
 My Life。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 特に「これになりたい」といった具体的な職業はなかったですが、幼い頃からいつも世界のいろいろな国に旅行に行き、いろいろな国で仕事がしたいと思っていました。

今の職業についていなかったら
 難しい質問ですが、私の人生、私がどのように生きてきたか、これから生きていくか、といったことはもう運命によって定められているものなのでしょうね。

現在住んでいる家
 私の家にはイギリス的な要素と日本的な要素が両方とも少しずつあるんですよ。

乗っている車
 SUBARU Forester

一日の睡眠時間
 夜はだいたい10時から11時くらいには寝て、朝は6時くらいに起きます。ちゃんと7、8時間は寝るようにしています。

休日の過ごし方
 リラックスしたり、散歩に出かけたり、本を読んだり、友達と会ったりしていますね。

好きな場所
 私の実家はイギリスの北の方にあるのですが、その近くにある、English Lake Districtという場所はバケーションの時によく行きます。あのピーターラビットの作者で有名な、ビアトリックス・ポッターが晩年に過ごした場所としても有名な場所です。

よく利用する日本食レストラン
 実はあまり外食しないんです。家で作ることが多いですね。夫が日本人なので、みそ汁などの日本食も作りますよ。

一億円あたったら?
 家のローン返済にあてたり、子ども達と分けたり、あとは寄付したいですね。

日本に行く頻度
 2年に一度くらいでしょうか。

最近日本に帰って驚いたこと
 最近東京に行ったのですが、東京の人たちは去年3月に起きた東日本大震災の影響を全く感じさせない、いたって普通の生活を送っていて驚きました。

日本に持って行くお土産
 たいていコーヒーやチョコレートなど、アメリカで作られたギフトアイテムを持って行くことが多いです。

イギリスからベイエリアに持って帰ってくるもの
 クッキー、お茶、あとはバッキンガム宮殿からのおみやげは、もって帰ってくるとすごく喜ばれますね。

ベイエリアの生活で不便を感じるとき
 清潔感が足りないところでしょうかね。安全な公共交通機関もあったほうがいいですね。

永住したい都市
 今は家族がベイエリアにいるので、これからもアメリカに住み続けたいですが、ときどきはイギリスで過ごす時間もほしいですね。

5年後の自分に期待すること
 健康な状態であれば、おそらく今と同じことをしているでしょうね。ずっと続けて行きたいと思っています。

最近読んだ本
 『World without End』by Ken Follet

最近観た映画
 『The King's Speech』

自分を動物に例えると?
 さぁ何でしょうねぇ、わかりませんが、私は動物でしたら猫が好きです。

座右の銘は
 「Manners make men」この言葉がどこから来たのかはわかりませんが、私の父はいつもこの言葉を私に言っていて、印象に残っています。マナーをちゃんと知らない人は、人間としてできていない、ということですが、本当にそうだと思います。私は日本とイギリスという二つの国は、とても似ている国だと思います。二つの国とも、長い歴史をもつ島国で、ロイヤルファミリー(皇室)があります。そして、この「マナー」を大事にするという点も、二つの国における共通点だとすごく感じます。日本に行くたびに、日本人と会うたびに、日本人はきちんとマナーをわかっていて、他人に対する気遣い、思いやりのある人たちだと感じます。

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取材を終えて
 いろいろな方面で活躍されるキャスリンさん。「日本語は少しだけ・・・」とはおっしゃるものの、実はたいへん流暢に日本語を話されていて驚きました。イギリスで表彰されたという経歴をお持ちなだけあって、とても洗練された雰囲気をお持ちの方でしたが、今年は大阪ーサンフランシスコの姉妹都市提携50周年を迎えるにあたり、関連行事に向け、現在大変お忙しくされているとのこと。今後のご活躍が楽しみです。

(BaySpo 2012/01/20号 掲載)

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