ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年 自分のキャリアアップのため、コンピューターサイエンスの修士号を取ろうと思い、サンフランシスコ大学の入学をきっかけに2002年9月に渡米しました。修士号取得後、バークレーにあったAirSetという小さいスタートアップ会社に就職し、その後2013年に独立、起業しました。現在の会社名Pacific Rim Software Consulting, Inc.はAirSetのCEOに命名してもらったものです。
ベイエリアの印象 いい意味でも悪い意味でも人種のるつぼだと思います。ベイエリアにいる人達は総じて「外人」と関わることになれているため、渡米したばかりの右も左も分からない状態でも、それほど疎外感を感じることなく人と接することが出来ました。しかしながら、その一方でそれに安穏としてしまうと、自分が他文化環境に存在しながら、そこに属さないという状態になってしまいます。日本人に限ったことではありませんが、渡米後数年で馴染んでいる人もいれば、何年経っても自身の育った環境のままの人もいます。生まれも育ちも日本でありながら、既に発想、行動すべてが完全にアメリカ人な友人もいます。どんな生き方の選択も否定されることがないことがベイエリアの良いところではないかと思います。自分としては、ベイエリアにいることと日本人であることの、程よいバランスを保ちたいと思っています。
自分の専門分野について 会社経営をしていますが、根本はソフトウェアエンジニアです。プログラムのコードを書くことに関しては周囲に十分に自慢できるレベルのものが作成出来ます。多くのプログラミング言語を扱い、効果の高いコードを書き、同時に自身の日本語と英語の能力を活かして、言語/文化、技術を理解出来るエンジニアとしてベイエリアと日本の企業の橋渡しを担っています。
その道に進むことになったきっかけ 渡米前は、趣味程度でしかコンピュータのプログラミングを習ったことがなかったのですが、職場で小さいプロジェクトをもらう度に、より正規に学んでみたいと思う興味が強まりました。既に日本では数学で修士号まで取得していたので、ある程度の論理的思考に関しては十分な背景があり、それに上乗せをする形でコンピューターサイエンスの修士号を取得することができました。更に幸運なことに、その後就職した会社は小さなスタートアップであったため、就職早々からプロジェクトをまかされることも多く、自分の技術を何段階もレベルアップさせる結果につながりました。
英語で仕事をするということ 発言は端的でなければならないし、日本では失礼と思われるような形の、いわゆる割り込みをしない限りはいつまで経っても自分に発言の順番は回ってきません。おとなしいことは決して良いことではなく、むしろ発言しないことは、自分の意見がない、ということを意味してしまうので、よい印象を与えません。ところが、私は日本にいたときでさえも、そもそもよく発言をする方ではなかったので、そのような環境にはなかなか慣れることが出来ず、つい最近まで思うように発言が出来ず、後ろから自分を押すような形で参加するように、精神面において苦労しました。
英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に? ネイティブであるかないかで自分の根本は変わらないと思うので、同様の職種に就いていたのではないかと予想します。しかしながら、今の自分は、日本で大学院卒業するまで教育を受けたという背景の上で成り立っていますので、もしアメリカで生まれ育っていたら、興味はもっと他のものに移っていたかもしれません。
あなたにとって仕事とは? 毎日の糧のために仕事をしている、ということは事実ですが、何よりも幸せに思うことは、自分が楽しんでやっていることが仕事になっているということです。日々戦いで、厳しく忙しいですが、自分が楽しめることなので、苦痛を感じることなく取り組み続けることが出来ています。
生まれて初めてなりたいと思った職業 覚えていませんね。中学生のころから数学がずっと好きで、漠然とずっと数学の道で生きていけたらなとは考えていました。
現在、住んでいる家 バークレーの北に接する小さな町ケンジントンに2008年に家を購入して、それ以来そこで暮らしています。ダウンタウンバークレーからも遠くないところでありながら、静かで安全で、近隣の人々の繋がりも強く、住み心地の良い町でとても気に入っています。
乗っている車 学生時代に友人から譲ってもらった1998年のフォルクスワーゲン・ジェッタはまだまだ現役で活躍しています。16年も過ぎそろそろ次の車をと思うのですが、マニュアル車を運転するのが好きなのでなかなか手放すことが出来ません。
睡眠時間・起床時間・就寝時間 睡眠時間はだいたい6〜7時間で、起床時間は、平日は決まって5時半です。そのため、夜は10時半〜11時に寝ています。元々は完全な夜型だったのですが、最近の妻の仕事の関係上、朝型に移行しました。
休日の過ごし方 アメフトのオークランドレイダースの長年のファンなので、日曜日には、オークランドのスタジアムで試合が行われる時には必ず観に行っています。それ以外の時はテレビ観戦をしています。その他の時間は、妻やマラソン仲間とジョギングをしています。
好きな場所 家から車で3時間ほどかかるのですが、ヨセミテ国立公園が好きで、年に5回以上は行っています。キャンプをしたりトレッキングをしたり、公園内を隅から隅まで満喫しています。とはいえ、大変広い国立公園なので、何度行っても新しい発見があり、飽きることがありません。
最近日本に戻って驚いたこと 去年久しぶりに日本に戻った際に、まず第一に人の歩く速度が全体的に遅く感じました。朝夕の新宿駅構内など人が混雑している場所での人の動きが悪くなっているように思いました。
現在のベイエリア生活で不安に感じること 日本に住む両親も高齢になってきたので、両親に突然何か起こっても、すぐに駆けつけられる距離にいないということを近頃不安に思うことが増えています。
日本に郷愁を感じるとき アメリカのスポーツ観戦をしていると、毎回のようにアメリカ国歌を聴き、観客一同奮い立たされている様子がうかがえます。その様子を見る度に、自分のアイデンティティを再確認したくなる気持ちが強まります。
お勧めの観光地 既に上で述べましたが、ヨセミテ国立公園がベイエリアからも近く、お勧めです。特にお勧めは冬です。観光客も少なく、より平穏な雰囲気を楽しむことができます。
永住したい都市 現在住んでいるエリアが大変気に入っていますので、このままケンジントンに住めればいいなと思っています。
5年後の自分に期待すること 今現在の自分でも十分に忙しく厳しく楽しい日々を過ごすことが出来ていますが、5年後には、今のレベルでは到底満足出来ないような、更に高いレベルでの忙しく厳しく楽しい日々を過ごせたら理想だなと思います。
最も印象に残っている映画 非常にありきたりですが、『Star Wars』です。特にエピソード3を観終わって、1から6のすべての話が繋がった時の感動が未だに忘れられません。
最近観た映画 映画館でなく飛行機の中ですが、『The Theory of Everything』を観ました。飛行機の中での退屈な時間を短く感じさせてくれる、大変おもしろい映画でした。ホーキング博士を演じる俳優の演技にも感嘆しました。
座右の銘は? 「『わかる』と『出来る』は違う」。なんと言うことはない普通の言葉ですが、自分が学生時代にアルバイトをしていた塾の塾長が生徒に言い続けていた言葉です。子供に対しての話だけでなく、自分にも当てはまることがあり、以来、常に自分に言い聞かせながら、新たに学んだことは実践できるレベルに達せられるよう努力しています。