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| 一般編 Vol.132 |
トム・インタウォンさん |
タイ・アーントーン出身。高校卒業後、東京外国語大学に留学し、日本語を学ぶ。日本留学後ベイエリアに渡り、知り合いの働く自動車修理工場で業務を積んだ後、1982年独立。「NIPPON EURO MOTERS」を設立。メカニックとして働く一方、趣味のゴルフでは第9回ベイスポカップ・ゴルフトーナメントで総合優勝を勝ち取るなど、輝かしい成績を修めている。 |
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第9回ベイスポ杯ゴルフトーナメント総合優勝 |
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去る8月21日(日)、サッポロビール・ANA協賛で行われた第9回ベイスポカップ・ゴルフトーナメントで総合優勝を勝ち取ったトム・インタウォンさん。ゴルフの練習に勤しむ一方、普段は自動車修理工場でメカニックとして働くトムさんは、タイの高校卒業後すぐ日本の大学に留学したという異色の経歴の持ち主。そんなトムさんに、ベイエリアでの生活ぶりを伺った。 |
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(Tom Inthawong) | BaySpo 1195号(2011/10/21)掲載 |
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日本語がお上手ですが 1973年、高校を卒業してすぐに精米工場を経営する親の商売の都合もあって、日本の大学に行くことに決めました。タイでも日本語を少し勉強していましたが、留学先の東京外国語大学で日本語はみっちり勉強しました。勉強は忙しかったですが、授業が終わってからはコンピューターの専門学校にも通ったりしていました。
ベイエリアに来たきっかけ 大学を卒業してからは日本に残ろうかタイに戻ろうか、どんな仕事をしようか、など将来の進路について迷っていました。ちょうどその頃、タイ人の知り合いのおじさんでサンフランシスコに住んでいた方がタイに遊びに帰ってきました。サンフランシスコでの暮らしぶりなどについていろいろな話を聞いているうちに、「この人はタイの人なのに、タイ人とは何か考え方が違うな」と感じて、アメリカへの興味がわいてきたんです。その影響もあって、アメリカに行くことになり、1979年、アメリカに来ました。
ベイエリアでの仕事は 最初英語を学び、サンフランシスコのリンカーン大学院でビジネスを専攻していた頃、知り合いのタイ人が経営していたエルサリートにある自動車修理工場でアルバイトとして働きはじめました。そこでいろいろと技術的なことや経営的なことを学びました。彼は私の大切な師匠です。とても感謝しております。その後1982年に独立し、「NIPPON EUROPEAN MOTERS」を設立しました。プライベートでは、日本人の妻とはこちらで知り合い結婚し、男の子・女の子の2人の子どもにも恵まれました。
車への想い 小さい頃からバイクや車が大好きで、よくおもちゃの車で遊んでいました。実は日本で大学に通っていたときも、授業の後に車の工場でアルバイトをしていました。幼い頃から電気に関するものが大好きで、生まれてはじめてなりたいと思った職業も電気エンジニアなんです。だから、今、自動車修理工場でメカニックとして働いていてとても楽しいです。自分が修理している車が「なぜ壊れているのか、どこが悪いのか」と頭をひねって最後まで原因を突き詰めます。そして、その車を元通りに直してお客様を喜ばせたいといつも思いながら働いています。
仕事への想い お客様から信頼を得るまではとても大変です。日本のビジネスのように、「お客様は神様」だと思いながら、常により良いサービスを皆様に提供できるようにがんばらないといけませんね。日本的なサービスを常に心がけております。
現在住んでいる家は? イーストベイのエルソブランテにある一軒屋です。25年くらい前から住んでいるんですよ。4ベッドルーム・2バスルームの家です。
乗っている車は? 古いBMWです。2001年の528です。私は車の修理をしていますけれど、あんまり自慢するような車は乗っていません。車はちゃんと機能してさえすればどんな車でもいいと考えています。
睡眠時間・起床時間・就寝時間 睡眠時間はだいたい5〜6時間ですね。朝はだいたい6時半から7時には起きて、8時には仕事に行きます。仕事が終わったら7時半には家に帰ります。妻が夕飯を作って待っていますからね(笑)夜は12時から1時には寝るようにしています。
休日の過ごし方 基本的にはのんびりすごしていますね。家の庭にトマトやタイのチリや唐辛子などを育てているので、その手入れをしたり、あとは食料品などの買い物に行ったりします。
お気に入りのレストラン 日本食レストランだったら「BANZAI」 ですね。寿司がおいしいです。それから「きらら」や「Angel Fish」もよく行きます。あとは、「Sabuy Sabuy II」というタイ料理のレストランも好きです。おいしいタイの家庭料理が食べれるんですよ。
一億円あたったら? やっぱりタイに持って帰って、貧しい人たちを助けてあげたいですね。タイにはまだまだ貧しい人たちがたくさんいますから。
最近日本に戻って驚いたこと 日本には一年に一度か二年に一度は行くのですが、最近の日本人は変わってしまいましたね。僕が日本に住んでいたときよりも、日本人は優しさがなくなったと思います。昔は日本人はいつでも他人を気遣って「すみません、すみません」と言っていた気がしますけど、今の日本人は他人を気にせず自分の事ばかり考えている人が多くなったように感じます。これはちょっと悲しいことですね。
日本からベイエリアに持って帰ってくるもの 機械類ですね。日本に行ったら必ず秋葉原に行って、アメリカでは買うことができない電気機器を買います。今の秋葉原は昔とは違った意味で栄えていますけど、電気機器が大好きな僕にとって秋葉原は本当にとても楽しい所です。家の中は電気類でいっぱいなので、妻にいやがられています。
ベイエリアから日本に持っていくもの ナパのワインとかですかね。
現在のベイエリア生活で不便を感じるとき 特にないと思いますよ。ベイエリアは便利だと思いますよ。タイと比べたら不便なものなんて何もないですよ。でも、アメリカのサービスは全然日本的じゃないですよね。日本はどこに行ってもサービスがいいですが、ここでのサービスはそれと比べると全然良くないですよね。 日本に郷愁を感じるとき やはり、秋の紅葉ですね。もみじが大好きです。
おすすめの観光地 京都や鎌倉など、日本的なところがいいですね。
永住したい都市 理想では、タイと日本とアメリカを行ったり来たりする生活がしたいですね。私はタイの首都バンコクから北に2時間ほど行ったところにあるアーントーンという町で生まれ育ったのですが、そこに家族がいるので、タイにも一年に一度は帰っています。7人兄弟(男5人・女2人)なので、親戚がたくさんいるんです。
5年後の自分に期待すること ゴルフで80を切りたい!
好きな本 やはり機械系の本ばかりですね(笑)
好きな映画 アクション映画が子どもの頃から大好きです。ホラー映画は逆にあまり好きじゃありません。
好きな言葉 「大丈夫!」「できる!」この二つの言葉は大好きです。ギブアップしなければ、何でもできます。
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取材を終えて タイから日本、そしてベイエリアへと生活拠点を変えてきたトムさん。それぞれの土地でさまざまな苦労があったと思いますが、常に諦めず、まじめに努力をしてきたからこそ今の成功があるのだなと感じました。勤勉なトムさん、来年のゴルフトーナメントでは80を切れるようにがんばってください!
(BaySpo 2011/10/21号 掲載) |
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