ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年 カナダで大学院を終えようとしている時、10年間住んでいたバンクーバーが急に小さく見えてきて、もう少し違った世界を経験したいと思いました。27年前のことです。たまたまカリフォルニア大学デイビス校(UC Davis)で日本語教師の募集があり、縁あってここに住むことになりました。
ベイエリアの印象 ベイエリアは躍動感があり、何か新しいことが始まりそうな、海からのパワーを感じる場所だと思います。今住んでいるのはサクラメントの近くのウッドランドという小さな町で、住みやすく趣のある町ですが、時々海が恋しくなってベイエリアに足を運びます。
自分の専門分野について 日本語言語学の特にシンタックス文法が専門です。
その道に進むことになったきっかけ 大学時代に恩師のおかげで、バーモント州の大学で夏の日本語集中コースを2年間教えました。そこで心の繋がりと教育の素晴らしさを体感しました。また、UC Davisの就職面接試験に行く直前、バンクーバーで住んでいたアパートが全焼し、航空券やパスポートも全て失くしてしまったのですが、周りの協力で無事面接を受けられ、採用も決まりました。自分の進む道が見えたような気がしました。
英語で仕事をするということ 英語で仕事をしていても、つい日本人の控えめなところが出てしまう時もあります。英語圏の文化を持ってコミュニケーションをとる、これが英語を使うということだと自分に言い聞かせています。
英語で失敗したエピソード カナダに来たばかりのころ、バス停でバスを待っていると年配の女性に「How long have you been here?」と聞かれ、「I have been here for about one month.」と答えびっくりされたことがありました。その後、その女性とお友達関係が始まりました。何がきっかけになるか分かりませんね。
英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に? 考えたことがありません。私は日本語や日本文化を教えることで一人ひとりの学生と向き合い、心の教育ができる立場にいるので、日本語が100%ネイティブでよかったと思っています。英語が100%ネイティブだったら、英語で人の心を豊かにする映画や舞台劇の脚本を書いていると思います。
あなたにとって仕事とは? 自分が今、世の中のため人のためにできる一番のこと。
生まれて初めてなりたいと思った職業 人形劇師です。19歳の時でした。子供のころに観たNHKの『里見八犬伝』が忘れられず、また、セサミストリートに魅了され、大阪での短大時代に人形劇のサークルに入りました。他にも地域の人形劇に関わる人と交流を持ち、台本や人形の制作に取り組んでいました。その時私はプロの人形劇師になるんだと決め、真剣に川崎にある「ひとみ座」のことを調べていました。
いまの仕事に就いていなかったら アルゼンチンに移住して、タンゴを極めていたと思います。小学校の時バレエを習いたかったのですが親に言い出せず、結局近所の子供たちが皆行くそろばん塾に通い始めました。あの時バレエを習いたいと言えていれば、プロのダンサーになっていたかもしれません。今でも踊ることは私の大切な生活の一部です。
乗っている車 トヨタのTACOMAです。以前ゴールデンレトリーバーを飼っていたので、一緒に乗れるようにこれにしました。ガレージにはBMWのオープンカーが1年ほど日の目を見ずに眠っています。
休日の過ごし方 モダンダンスやバレエのレッスンを取ったり、映画を観に行ったりします。将来は自分の映画を撮るのが夢です。
好きな場所 自然がたくさんあって広くて風を感じられる所ならどこでも好きです。
最もお気に入りのレストラン バークレーの「Jupiter」 です。ピザとクラフトビールのセレクションが気に入っています。晴れた日に屋外の席に座って友達と時間を過ごすのが好きです。
よく利用する日本食レストラン デイビスの「焼き鳥 裕ちゃん」です。おしゃれな居酒屋さんでオムソバが気に入ってます。
1億円当たったとして、その使い道 まず、一人で頑張っている父に自動ブレーキ付きの新しい車を買ってあげたいです。残りは実際に手にしてから考えます。
日本に戻る頻度 ここ10年は仕事関係や闘病生活を続けていた母を元気づけるため年に3度戻っていました。これからも夏とお正月は戻ろうと思っています。
最近日本に戻って驚いたこと 日本語の中に外来語や和製英語などカタカナの言葉が非常に増えてきたこと。
日本からベイエリアに持って帰ってくるもの 春雨スープ。私はあまり料理をしないので、日本の春雨スープは味も良く、カロリーも低いので忙しい時の強い見方です。日本の文房具もよく買ってきます。最近は0・9mmのシャープペンや万年筆にはまっています。
お勧めの観光地 モントレー。カヌーに乗ってラッコを間近で見たり、ビーチで乗馬したり、舟に乗って鯨を見に行ったりするなど、海のアクティビティをお勧めします。
現在のベイエリア生活で不安に感じること どこにいてもあまり不安を感じないように生きているので特にありません。心身共に健康であることを願って生活しています。
日本に郷愁を感じるとき クリスマスが終わって日本のような大晦日やお正月のにぎわいがない時、日本が恋しくなります。
永住したい都市 実家の愛知県岡崎市とカナダのバンクーバー、バークレーの三つの都市を拠点にしたいです。
5年後の自分に期待すること 心の教育と世界平和のために三つのことを自分に期待しています。@今まで築いてきた「踊りを通して文化・人を知る海外夏期講習」を色々な国で開催する A世界の人に楽しんで観てもらえる映画を作る B英明大学の日本語文化学部を盛り上げる
最も印象に残っている本 ブリティッシュコロンビア大学2年生の時、英文学の授業で読んだメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』。科学者と怪物の生命に対する想いや心模様に大変感動しました。
最近読んだ本 鎌田實の『いいかげんがいい』。本屋で他の本を探している時に偶然見つけました。最近家族に「いいかげんだ」と言われている父のために買ったのですが、読み出すと面白くて自分が先に読んでしまいました。「いい加減」って大切なんですね。
最も印象に残っている映画 ディズニーの『ジャングル・ブック』。人生初の映画館で見た映画です。まだ小さいから分からないだろうと言われながらも、祖母に頼んで連れて行ってもらいました。熊のバルーの能天気なキャラクターと歌が大好きになったことを覚えています。
最近観た映画 松本太洋作、マイケル・アリアス監督の『鉄コン筋クリート』です。2007年公開の古い作品なのですが、毎年必ず一度は観る映画です。宝島に住む少年クロとシロ、彼らの周りとの関わり方など、観るたびに新たな発見があってとても面白いです。
自分を動物にたとえると? なぜ? ちょっと近眼な白頭鷲。大空を自由に飛ぶのが好き。でも、ちょっと近眼なのでなかなか獲物が捕れず、周りの協力を得て仲間とともに生きるユニークな白頭鷲。
座右の銘 「人の世のかかしとなって朽ちる」。これは英明大学の学長先生から聞いた言葉の一部です。人のために役に立ち、それに満足する人生を過ごしていきたいです。