一般編  Vol.250
アンダーソン 陽子さん
1942年、朝鮮京城府生まれ。静岡県育ち。終戦の年、3歳の時に日本に引き揚げ、20歳で上京し、仕事をしながら英語を勉強する。24歳の時にアメリカでホームステイをしながらナニーとして働く。その間、ロサンゼルスからシカゴ間往復のロードトリップをし、アメリカの国立公園の虜になる。1974年に再渡米し、10年勤めたBorders Books退職後は姉妹都市協会のボランティア役員を務める。現在漢検の勉強に励むほか、歌舞伎、詩吟、書道、映画、ジャズなどに親しむ。
自分で未来を 切り開いてほしい
サンマテオ市と大阪・豊中市の姉妹都市協会でボランティア役員を9年務め​、​​​市内の小学校で紙芝居や習字、折り紙などの日本文化を紹介しているアンダーソンさんにベイエリアの暮らしぶりを伺いました。
アンダーソン  陽子さん

(Yoko Anderson)BaySpo 1528号(2018/03/09)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 結婚をきっかけに1974年に渡米してきました。在米40年を超えました。

ベイエリアの印象
 渡米してきて最初に住んだ町がサンフランシスコです。東京に比べると田舎だなと思いましたが、海に囲まれたベイエリアは風光明媚なコスモポリタン都市という印象でした。

現在、住んでいる家
 離婚を機に2002年にイーストベイからサンマテオに引っ越してきました。友人の紹介でとても親切で有能なエージェントのお世話になり、もともとは貸家だったコンドミニアムを購入することができました。今思えばあの時に購入していなければ今頃は高騰するレントに追いつけずホームレスになっていたかもしれません。当時お世話になったエージェントには、今でもお歳暮を持って挨拶に行っています。

乗っている車
 中古のトヨタカローラに乗っています。日本ではカローラといえばお手頃な価格の車の代名詞です。特別かっこいいわけではないですし、これといった取り柄もないですが、故障が少ないので裏を返せば「丈夫で長持ちする優れもの」ということです。今では永遠のベストセラーのカローラを生んだトヨタ、そして日本の技術に感謝しています。

睡眠時間
 睡眠時間は平均5〜6時間です。午前6時半〜7時に起床して、午前0時か午前1時に就寝しています。

休日の過ごし方
 10年勤めたBorders Booksを退職後は「毎日が日曜日」というような生活で、比較的に時間は自由に取れますが、趣味の歌舞伎会、詩吟会、漢詩会、日本映画の会や、姉妹都市協会のボランティア活動などで日々忙しくしています。

一億円当たったら
 私はSGI(創価学会インターナショナル)の会員なので勉強会、会合などのために利用できる会館を建てたいです。もしお金が余れば、私の夢の一つである、全米の国立公園を訪れてみたいです。全米には50カ所余りの国立公園が存在しており、私はまだそのうちの10カ所しか訪れたことがありません。アメリカの自然は荒削りで雄大です。自然の力強さに触れるときは、畏敬の念と謙虚な気持ちになります。

日本に戻る頻度
 2〜3年に1度です。主にサンマテオ姉妹都市協会と日本の大阪豊中市との各種文化交流の世話役として日本に戻ったりしています。

最近日本に戻って驚いたこと
 人口の減少と街が綺麗なことです。今日本では個人のゴミは自分で処理するのが当然とされ、豊中市では市中にゴミ箱は置かないそうです。

日本に持って行くお土産
 翌年のサンフランシスコのカレンダー、チョコレート、文房具などをお土産に持って帰ったりします。日本には歴史と伝統に溢れた銘菓、特産品がたくさんありますが、アメリカにはこの広大な土地があるのにも関わらず、特産品が少ないのがとても残念です。

日本から持ってくるもの
 頂き物のお土産と本です。日本から戻ってくる度に持ちきれないほどたくさんの物を頂きます。日本における何百年と続く老舗の底力と、絶え間ない新参者との競争にはいつも感心しています。狭い国内で、熾烈な競争に勝つからこそ「メイドインジャパン」としての品質が磨かれ、ものづくりのノウハウが海外でも評価されるのだと思います。

現在のベイエリア生活で、不便を感じる時
 日米の商業習慣の違いから、消費者が求めているものを作り、提供する精神に欠けていると感じます。日用品雑貨を例えにとると、袋類、ビン類が開けにくいことなどです。他には、車の数が増えたことによる交通渋滞と駐車場の確保の難しさです。

日本に郷愁を感じる時
 年末年始の時期です。大晦日まではどんなに忙しくしていても、元旦には家族、友人、知人たちと共にゆったりと新年を祝って過ごすので、そんな時に郷愁を感じます。

永住したい都市
 気候も良く、交通の便も良いサンマテオ市です。日系コミュニティにおいても盤石で、文化を大切にしている街だと思います。サンマテオ市に移り住んでから16年ですが、本当に良かったと思います。「終の棲家」になるでしょう。

サンマテオ姉妹都市協会について
 戦後1956年にアイゼンハワー大統領の提唱により設立された非営利公益法人は、全米で500以上の州、郡、市と、また全国では145カ国、2000以上の都市と提携をしています。サンマテオ姉妹都市協会は日本の大阪豊中市と1963年から姉妹都市提携を締結以来、高校生の親善大使交流、小学校の姉妹校交流などを通じて親善を深めています。そして1979年から始まった少年野球の親善交流試合は2019年に40年の佳節を迎えます。

5年後の自分に期待すること
 その頃までには終活も目鼻が付き、身辺の風通しも良くなり始めていることを願います。「老後のプロジェクト」が手付かずになっているので、できれば「晴耕雨読」の生活から始められれば嬉しいです。しかし雨の少ないカリフォルニア州では「雨読」は限られそうですね。またしても「積読」の山は高くなる一方かもしれません。この他にも、各種あるシニア向けの行事にも顔を出してみたり、図書館や書店で半日ぐらいゆっくりしてみたりしたいです。そんな日が来るのを楽しみにしています。

もっとも印象に残っている本
 藤原てい著『流れる星は生きている』。幼子3人を連れ旧満州からの壮絶な引き揚げを記した本書は涙を誘います。私自身、朝鮮の京城府からの引き揚げで過酷な経験をしましたが、この家族の経験に比べれば足元にも及びません。戦争をしてはならないと改めて認識させられた一冊です。

最近読んだ本
 司馬遼太郎著『この国のかたち(全6巻)』。島国であるという視点から始まり、地理、歴史、外交、日本人の物の考え方など、著者の自由な発想に魅せられました。

印象に残っている映画
 仲代達矢主演作の『切腹』です。封建制度の非人間性を痛烈に批判した作品が印象的でした。

最近観た映画
  毎月2本ずつ日本の映画を観て感想を共有する「jーmovieの会」に参加しています。そこで最近観た『花戦さ』、『3月のライオン』が印象に残っていますが、もう1本意外と印象に残った映画が『ちょっと今から仕事やめてきます』です。ブラック企業で働く新入社員がパワハラや妬みに耐えきれず自殺寸前まで追い込まれる…という内容ですが、いい作品でした。ぜひ観てください。

座右の銘
 一つ目は「一期一会」。生きている間に会える人は限られています。出会いを大切にしたいですね。二つ目は「共存共栄 相互扶助」。人間は一人では生きられません。他に助けられていることに感謝し、他を助け、共に前進できるように努力したいと思います。

(BaySpo 2018/03/09号 掲載)

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