一般編  Vol.128
谷忠之さん
 ホテルニュー名古屋、東急ホテル、ホテルマウント富士でフレンチシェフとして活躍後、渡米。渡米後は自身のレストラン「Le Seson(サンフランシスコ)「Le Zest Bistro(キャンベル)」でのオーナーシェフを経て、2011年2月よりTani Cooking Classを開催。 Tani Cooking Class 5259 Stevens Creek Blvd. Santa Clara, CA 95051 Tel:408-823-5849 ウェブ:www.tani-cookingclass.com
培ってきたフレンチの調理技術を伝えたい
 1969年、当時勤務していたホテルから、日本では未知の外食産業であったフランチャイズビジネスの視察のためにアメリカに派遣された谷さん。ベイエリア一筋、フレンチ一筋の41年というアメリカ生活についてお話を伺った。
谷忠之さん

Tani Cooking Class主催(Tadayuki Tani)BaySpo 1176号(2011/06/10)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけは?
 フランチャイズビジネスの視察のためにアメリカに来ました。ハワイ、LA、ラスベガス、そして最後にSFに来たのですが、ディズニーランドに行ったり、実態は周遊旅行のようでした。こんなんじゃダメだ、もっと勉強したいと思い、その場でアメリカに残ることを決意しました。人類が初めて月に到着した年だったのでよく覚えています。

その場で決意しても滞在は不可能では?
 ハワイから入国した時、なぜか私のパスポートにだけ有効期限のスタンプが押されていませんでした。私にはどういう意味なのかさっぱりわかりませんでしたが、周りが騒いでいるので、そこではじめてパスポートの役割や意味を理解しました。若くて何も知らなかったからできたことだと思います。

アメリカ料理店の印象は?
 最初に仕事を見つけたのはフィッシャーマンズワーフの「フランシスカン」という二階建てのレストランでしたが、料理に味付けをしないのでビックリしました。テーブルにソルト&ペッパーあるから良いだろうという理由でした。もちろんすべてのアメリカ料理がそういうわけではないですが。

なぜフレンチの道に?
 私が四日市に住んでいたころは、大衆洋食店が全盛でフレンチなんて1軒くらいしかなかった。大衆食堂は給料は高かったが技術は身につかない。フレンチは給料は安いが技術は身につく。たとえば100円のカレーができても500円のカレーは作れない。500円のカレーが作れれば、100円のカレーも作れる。給料が安くても500円のカレーを作りたいと思ったんです。

現在は料理教室をされているそうですが
 SFでフレンチ料理店をやっていたころから料理教室をやっていました。Campbellに移ってからもSF時代のお客様がいらして、また教室を開いて欲しいと言われていました。今は、レストランは体力的な理由で止めてしまいましたが、自分の習ってきた料理を誰かに伝えたい、誰かに教えて残していきたいという気持ちが強くなり、料理教室をスタートしました。

どのような料理を教えていますか?
 家庭で簡単にできるアペタイザー類や本格的なもの、さらにはデザートなどの授業が多いですが、レシピは700~800ありますので、生徒さんのリクエストに応じていろいろ教えることができると思います。

英語で仕事をするということは?
 アメリカに来た時は英語の「え」の字も分からなくて、英語の才能はゼロと理解しています。でも、キッチンでは毎日同じことの繰り返しですから、それくらいは通じてましたよ。

英語で失敗したエピソード
 数え切れないです。一冊の本になるくらいあるので聞かないでください。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 クッキング以外にはないですね。ただ英語ができたら、もっと幅広くアメリカ人にも教えていきたいなぁと思います。

谷さんにとって仕事とは?
 う〜ん、食べるためかな。ただ仕事の姿勢としては、今日作っているものよりも明日はもっと良くしようという気持ちで臨んでいます。

いまの仕事に就いていなかったら
 絵が好きで、学校の先生からお前は絵描きになれと言われて連れていかれたのが映画の看板描きでした。結局、料理人になりましたが、盛付など、色彩感覚は活かされていると思います。

乗っている車
 スバルのレガシー。山へよく出かけるので4輪駆動。これで4台目です。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 朝6時には目が覚めます。平均睡眠時間は5時間くらい。6時間以上取ることはほとんどないです。

休日の過ごし方
 射撃か山歩き。射撃は、昔は試合のためにものすごい練習をしましたが、いまは試合が練習みたいなものです。一度、カルフォルニアの州大会に出たことがあり、321人出場中第98位。ほとんどミリタリー出身者だったので、そのなかでは良い成績かなと思います。

ベイエリアで好きな場所
 山と砂漠。特に砂漠は、大きな地平線が見えるので好き。自分の影が何にもさえぎられることなく、ずーっと先まで伸びている。こういう風景にあこがれて、アメリカに来たのかもしれないです。

最もお気に入りのレストラン
 いろいろなことに興味があるので、いつも新しいお店に行ってしまいます。それで失敗ばかり重ねていますが・・・。

1億円当たったとして、その使い道
 家族も子供もいないですし、残しても仕方ないので、どこかに寄付しましょうかね。

日本に戻る頻度
 ほとんど戻らないので、逆に兄弟が会いに来てくれます。

日本に郷愁を感じたとき
 兄が訪米してくれた時、子供の頃、犬を連れて駆け回っていた田んぼや原っぱがあった場所の写真を持ってきてくれました。すべて住宅地になっていて面影がひとつもない。兄にもうお前が思っているような世界はもうなくなったよと聞かされて悲しくなりました。都市計画をするにしても100%変えるのではなく、変えない部分も作って欲しいと思います。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 車がなければどうしようもないこと。代替になる交通機関がない。車がなければ一日60時間くらいはないと私の場合は足りないでしょう。

永住したい都市
 都会や街はあまり好きではないので、オレゴン。犬が犬らしく駆けまわれることができ、馬の背からゆっくりと景色を眺められるような場所で暮らしたいです。

最近読んだなかで最も印象に残っている本
 吉村昭の「回り灯籠」。彼の小説はドキュメンタリーのように淡々としていて好きなんです。

最近観たなかで印象に残っている映画
 ケビン・コスナー監督の『Open Range(邦題:ワイルド・レンジ)』。映画は頻繁に観ていて、昨晩はローマの休日。CGを使っていない映画が好きです。

座右の銘は?
 そんなに大層なものはなくて、いつも母親から言われていた「人に迷惑をかけるな」。それだけですね。

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■インタビューを終えて
 読書、映画、キャンプ、スキー、写真、乗馬、射撃など。本職である料理に加えて幅広い趣味を持ちながら、そのどれもに深く精通している谷さん。これだけ博学であれば、平均睡眠時間が5時間というのは納得。途中、狼の話になったときには「ぜひニューメキシコに行ってロボを見てください」と力説。教室に行けば、紙面では書ききれなかった面白いお話が、きっとたくさん聞けると思います。

(BaySpo 2011/06/10号 掲載)

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