一般編  Vol.273
吉川 亜紀さん
子供時代をニューヨークで過ごし、小学校4年生で日本帰国。東京の公立小・中・高校を経て、上智大学に進学する。在学中に米国ジョージタウン大学に交換留学。卒業後はワシントンD.C.で仕事をし、その後スタンフォード・ロースクールに入学する。JD(法学博士号)取得、カリフォルニア州弁護士。法律事務所でシリコンバレーと東京で勤務経験を経て、グーグル本社の社内法務弁護士に転職。その後も社内法務部での仕事を続け、現在は日系企業で勤務。
勝ち負けより、 共にハッピーになる形を見つけたい
東京、ニューヨーク、ワシントンD.C.を経て、1991年にベイエリアに移住。JD(法学博士号)取得後、カリフォルニア州弁護士となる。現在、日系企業で社内法務部弁護士を務める吉川亜紀さんにベイエリアの暮らしぶりを聞きました。
吉川 亜紀さん

(Aki Yoshikawa)BaySpo 1562号(2018/11/02)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 スタンフォード大学ロースクールへの入学で1991年にベイエリアに来ました。

ベイエリアの印象
 ベイエリアは大好きです。こんなに長く住んでるのに一度も「ベイエリアに暮らす」コーナーへのお声がかからなかったので寂しい気持ちでいました(笑)。東京、ニューヨーク、ワシントンD・C・とずっと大都市で暮らしたあとだったので、ベイエリアに来たときは降り立った瞬間から天国のように感じました。入学前のキャンパス訪問のために4月に新緑に囲まれたスタンフォード大学キャンパスに来て、「神々の国(Gods’ land)」と言われる通りだなと思いました。でも実際に入学する8月にはどこもかしかも茶色で、ちょっとだけ騙された気もしました。今でも夏の間の茶色い山々の風景を見ると当時の気持ちを思い出します。

自分の専門分野について
 カリフォルニア州弁護士です。現在は日系企業で社内法務部弁護士をしています。コンテンツのライセンスやテクノロジー・トランズアクションがメインです。ユーザーに提供するプロダクトを法務の面から支えるプロダクトカウンセリング的なことも担当していますが、自分が関わったものが世の中で使われているのを見るのはとても嬉しく感じます。

その道に進むことになったきっかけ
 日米企業間の紛争解決や訴訟に関わりたくて弁護士を目指したのですが、実際にこの道に入ってみると争いごとに対する自分の適正が非常に低いことに気づきました。争いごとは「すでに起こった事実」を材料に議論する場ですが、コーポレート業務は逆に前向きに「これからやりたい事」をサポートし、ビジネス推進に携われるところにやり甲斐を感じます。また勝ち負けを争うより、両者にメリットを見出す「Win Win」の状況を見る方が好きです。

英語で仕事をするということ
 ニューヨークで育ち、その後の在米期間も長いので英語は第一言語に近しいです。逆に日本語はどんどん怪しくなっています。法律に関しては英語で習得しているので、専門用語も英語だとすぐ分かるのですが日本語は調べながらやっている感じです。一方、日本で中・高校生で学んだ科目(数学とか物理)は日本語の方が楽です。

英語で失敗したエピソード
 あまりないですが、いまだに「How are you?」と聞かれて「Fine」で流す通常の社交礼儀がぎこちなく、まじめに「今日はこんな気分」と具体的な返事をしないといけない気持ちが抜けません。単に真面目すぎるんだと思います。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 小さいときはバレリーナに憧れた時期がちょっこっとだけありました。その後一瞬だけ日本初の女性総理大臣になりたいと思ったこともありました。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 完全な夜更かし型です。「やらないといけないこと」を一通り終えないと寝につけないタイプです。その延長線上で好きなテレビがあるといつまでも見てしまいます。どんなに遅く寝ても朝は普通に起きるので、睡眠時間は3〜4時間の時もあります。週末ゆっくりできる日がごくごくたまーにあるとお昼頃まで寝ています。

休日の過ごし方
 子供達のスポーツや用事に付き合って運転手をして、家事・用事をしているうちに休日が終わることが多いです。本当は主人とサンフランシスコに出かけたり、大人だけで遊びに行く時間欲しいですが、なかなか思うようにはいきません。楽しみとしては、幸い我が家に来て下さるお客様が多いので、「餃子会」や「唐揚げとシャンパンの会」など、テーマをつくってワイワイ飲み食いする週末です。美味しいワインと食べ物が大好きなのでそういう会は嬉しい限りです。

好きな場所
 ベイエリアのいろいろなハイキングコースを楽しむのが好きです。最近はSweeney Ridgeがお気に入りです。左手に太平洋、右手にサンフランシスコ湾を同時に一望でき、視点も気持も開けた感じがします。

最もお気に入りのレストラン
 新しいお店も次々できるので答え難いです…。最近で一番思い出に残ったのはお誕生日特別ディナーで行ったヘルズバーグの「Single Thread」です。一生に一度限りの特別ディナーでした。

よく利用する日本食レストラン
 バーリンゲームの「Ramen Saryo Hachi」と、サンマテオの「Ginji」、サンブルーノの「Gintei」、ミルブレーの「馬車道」です。

1億円当たったとして、
その使い道
 シリコンバレーでは残念ながら「1億円」は大金ではないので、まずは優良ベンチャー企業に投資して10億くらいに増やしたいです。

日本に戻る頻度
 年1回くらいですが、まちまちです。3年近く帰っていないこともありました。

最近日本に戻って驚いたこと
 物の値段が基本的に大学時代と変わってないこと、行く度に食べ物が美味しくなってること、消費税が高いこと、SUICAが便利すぎることです。

日本に持って行くお土産
 いつも悩みます。最近持っていたのはカリフォルニアやサンフランシスコの可愛いロゴ入りのタオル、ナパのオリーブオイルやトレジョで仕入れた食材やスパイスです。「自分が使ってよかったもの」とかストーリー性のあるもの(例えば、TCHOチョコ)とかが面白いかなと思ってます。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 食材がメインです。実家から少しずつお皿や調理器具、昔の面白いものを持って帰ってきます。主人がほぼ月1で仕事で日本に行くので、日本からの美味しいもののお土産は事欠かないです。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 生活コストの高騰と交通渋滞です。コスト高が原因だとも思いますが新参者への間口が狭くなってきて、ベイエリアらしいオープンさが少なくなったり、経済格差の広がりがどのような社会影響になるのか不安を覚えます。テック中心の産業でアーティスト・クリエイターが暮らしにくいコミュニティーになっているのも気になります。

日本に郷愁を感じるとき
 お風呂、温泉でしょうか。日本はどこに行っても美味しいものがあります。

お勧めの観光地
 アメリカの国立公園は世界に誇れる素晴らしいところと思います。アメリカの歴史を読み解きながら訪れると面白さ満載です。
最も印象に残っている本
 John Irvingの本が大好きです。

最近観た映画
 映画もテレビもよく見ます。映画『Crazy Rich Asians』は最高でした。最高裁判所のRuth Bader Ginsburg判事のドキュメンタリー『RBG』も感動しました。

座右の銘は?
 「人のふり見て我がふり直せ」、「Everything Will Be OK」。


最近読んだ本
 New Yorker掲載の短編小説をよく読んでいます。読書に費やせる時間がなかなかないので短編物が好きです。知人が書いた『九州バカ』も面白かったです。

最も印象に残っている映画
 『The Godfather』は永遠の名作だと思います。

永住したい都市
 理想はベイエリア、ハワイ、日本の3拠点をグルグルしたいです。

(BaySpo 2018/11/02号 掲載)

▲Topに戻る

有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers
Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
2695 Moorpark Ave, Ste 101, San Jose, CA, 95128
http://www.arisawaagency.com

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.