一般編  Vol.276
シュルツ木原 麻紗葵さん
千葉県生まれ育ち。1996年ジョージア州ダーリントン高校へ単身留学、2002年ペンシルバニア州オルブライト大学心理学部卒業後、福島県にて父親の地ビール会社に勤務。その後再度渡米、2003年ミシガン州にて長瀬産業に入社、2008年サッポロUSAへ転職、現在北CA・WA・HI州担当営業責任者。
やる事も、やめる事も勇気
サッポロUSAで北カリフォルニア・ワシントン州・ハワイ州の営業責任者として働く傍ら、2児の母として忙しくも充実した日々を送るシュルツ木原さん。探究心とバイタリティに溢れるシュルツ木原さんにベイエリアの暮らしぶりを聞きました。
シュルツ木原 麻紗葵さん

(Masaki Kihara Schultz)BaySpo 1568号(2018/12/14)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 日本生まれですが、アメリカ人である父の学業の為、生後3月から3歳までシカゴに住んでいました。幼稚園入園に合わせて家族で日本へ移住しましたが、アメリカとイギリスに留学経験があった母に影響を受け、幼少の頃から外国での暮らしに憧れていました。数年掛けて両親を説得して、16歳の時にジョージア州の高校へ編入が決まり、1996年に単身渡米しました。そのままペンシルベニア州の大学へ進学し、卒業後は約2年間、日本で父の仕事のサポートをしていましたが、やはりアメリカに戻りたい気持ちが強くなり、2003年に再渡米しました。リュックとスーツ一着を持ってグレハンとアムトラックに揺られながらの無謀な就職活動でしたが、縁に恵まれミシガン州の日系商社に就職し、約5年勤務した後、現在の職と出会ったことがきっかけで、2008年にベイエリアに移住しました。

ベイエリアの印象
 山があり、海があり、適度に都会。そして、美味しい日本食がすぐ手に入る! ベイエリアに住むまでは、帰国の度にスーツケースにお米や調味料・大量のお菓子を詰め込んで持って来ていたので、今は夢の様な環境です。

自分の専門分野について
 ビールです。2008年にサッポロビールUSAに入社し、6年ほど北カリフォルニアの日系現地担当として、北カリフォルニア中のたくさんのお店で営業活動をしました。自分が明日どこで誰に会って何をするか、予定があるようで全くない仕事環境は、毎日本当に刺激的であっという間に日々が過ぎたように思います。2014年に北カリフォルニア・ワシントン州・ハワイ州の担当配属となりました。日本最古のビールブランドとして日本食はもちろんですが、世界各国のお料理と共に楽しめるブランドになれる事が目標です。近年サッポロビールのファミリーとなったUnibroue(カナダのモントリオールにあるクラフトビール)とAnchor Brewing(言わずと知れたサンフランシスコのクラフトビール)の営業活動も行っています。

その道に進むことになったきっかけ
 私が中学生の頃、当時証券会社に勤めていた父が仕事でビールを醸造する為の機械やタンクを取り扱うオレゴン州の会社のリサーチをしていて、その世界に惹かれ日本でクラフトビール会社を創業しました。小さな工場なので、醸造、ビール詰め、瓶のラベル貼り、箱詰め、配達、空樽や瓶の洗浄、イベントでの営業…あらゆる事を家族で手伝いました。当時の日本では、大手ビール会社の取扱いが主流でしたが、地道な活動を通してビール愛とビール作りの楽しさを発見しました。1ケース・樽1本のオーダーを頂く時の喜び、大手ビール会社から居酒屋チェーン店が自社ビールに切り替えてくれた時の感激が、きっと今の私の道しるべとなっていると思います。ビールは重たいですし汚れる仕事も多く、女性には簡単とはいえない活動もありますが、縁がありこの世界の面白さを体験させてくれた父に、今でこそ感謝しています。現在日本でもクラフトビールが流行っていますが、その中でも成功している外国人ブリューマスターの何人かは父の元で当時修行していたり、私の1つ下の妹は現在彼らの店でシェフをしていたりと、意外にも姉妹で父をきっかけに今のキャリアに繋がっています。

あなたにとって仕事とは?
 「日常を豊かにしてくれる手段」でしょうか。仕事を通して出会わせて頂ける方々、経験や知識・技術、すべてが貴重な人生の糧になると思って続けています。基本的にとても面倒臭がりな性格なので、「仕事」でなければ絶対に挑戦しないであろう苦手な事や厳しい経験が、少しずつ身に付いて、それで誰かに「ありがとう」と言って貰える事があるならば最高です。あとは、一日の終わりのビールを美味しくしてくれる、毎日乗越えるべき壁。

好きな場所
 フィルモアストリートとブロードウェイの角から見るゴールデンゲート・ブリッジの景色が大好きです。SF市内で一番好きな場所です。

最もお気に入りのレストラン
 SFフェリービルディング内にある、「Hog Island Oyster Co.」です。市場の様なガヤガヤとした雰囲気の中で、ベイブリッジを目の前に眺めながら食べる新鮮なオイスターが最高です。お料理も美味しく、その日の魚料理、イカのサラダ、チャウダーは必ずオーダーします。

日本に持って行くお土産
 ホールフーズやローカルスーパーのトートバッグ、アメリカンな派手柄のキッチンタオルやクロス、マグネット付きの冷蔵庫につけられるメモパッドを女性へのお土産に毎回持って帰ります。あとは、ミックスナッツやチョコレート、ローカルブランドのコーヒー豆、最近のヒット商品は「ソノマクリーマリー」というブランドのチーズスナックが日本の家族で取り合いになっていました。
現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 日本の家族や友人が体調を崩したり、出産をしたりしてすぐに駆けつけたい時に出来ない事、またその逆。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 ベイエリアに限りませんが、空港や大きなイベントに行く際はテロや銃の事件が頭を過ぎり不安に感じます。

日本に郷愁を感じるとき
 夏の花火大会やお祭りの写真・動画を家族や友人が送ってくれる時でしょうか。自分が幼かった頃の思い出が蘇り、私の子供たちにもいつか日本の夏を体験させてあげないな、と思います。とは言うものの、日本の夏の暑さにはもう耐えられないかもしれません。

お勧めの観光地
 温泉の町、カリストガです。年に一度、日本から母が渡米する時に休みを取って行っています。途中ナパを通りいくつかワイナリーに立ち寄りながら、温泉プールのあるホテルで子供も大人も楽しめます。とっても小さく古い田舎町ですが、自転車を借りて町を散策したり買い物をしたり、日常を忘れてのんびり過ごすのに気に入っている観光地です。

5年後の自分に期待すること
 母親として、子供に教えてあげられる事をもっと身につけていたいな、と思います。習い事や勉強に限らず、私が自分の母から影響を受けて進路を決めたように、私の背中を見て子供が何かきっかけや道しるべを見つけられたらと思い、日々コツコツ努力を重ねています。あとは、おいしくビールを飲み続けられるように健康でいたいです。

最近読んだ本
 『子供が育つ魔法の言葉』。友人から頂いたのですが、いわゆるノウハウ本ではなく、シンプルに優しい切り口で子供への接し方を再認識させられました。
最近観た映画
 『湯を沸かすほどの熱い愛』は、気持ちよく大泣きしました。シングルマザーで娘を育てながら余命短い病気に掛かってしまう悲しいストーリーなのですが、母親の強さと弱さ、関わる周りの人々の生活が、笑いと共に描かれていて、最近一番好きだった映画です。

座右の銘は?
 「やる事も、やめる事も勇気」。2度目に渡米して進路に思い悩んでいた時に、もっとも尊敬する叔父からの言葉です。今も悩む時には思い出して、あともうちょっと頑張ってみようと思い立たせてくれます。

(BaySpo 2018/12/14号 掲載)

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