一般編  Vol.307
永井 淳子さん
神奈川県横浜市出身。Academy of Art UniversityのInterior Design学科(BFA)を卒業後、サンフランシスコのデザインショップのバイヤーとして働き始める。在職中は買い付けのほか、イベントの企画・運営も担当。18年間勤務した後に、2016年に北欧家具の販売会社KONCEPT 22をビジネスパートナーと設立。その他コミュニティグループ日本町町内会の実行委員として、イベントや大阪祭りの企画・運営をボランティアで行っている。趣味は料理と新しいお店の食べ歩き。
常にワクワクするものを 探すのが自分の仕事
インテリアデザイン留学を機に渡米後、インテリアバイヤーとしてアメリカ国内のみならず世界を飛び回る永井さん。現在は北欧家具を専門に輸入販売する会社のオーナーとして活躍する傍ら、日本町町内会の実行員として大阪祭りなどコミュニティの活性化にも尽力している。
永井 淳子さん

(Junko Nagai)BaySpo 1614号(2019/11/01)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 インテリアデザインを学ぶために、1994年に2年間の留学の予定で渡米しました。

ベイエリアの印象
 引っ越してきたのが6月でして、その時期のサンフランシスコはレインボーフラッグが街中に掲げられていて、当時はその意味も知らずに、なんて楽しそうなハッピーな街なのだろうと思いました。サンフランシスコは小さな町ですが、豊かな歴史、食文化、芸術、そして自然に恵まれた、とても住みやすい場所だと思います。年間を通して涼しく雨が少ない気候も最高ですね。

自分の専門分野について
 インテリアデザインの知識を生かし、モダンな家具、照明器具、デザイン雑貨等を買い付けるバイヤーとして20年以上働いてきました。2016年には北欧家具を専門的に輸入販売する会社をビジネスパートナーと設立し、スモールビジネスオーナーとして日々奮闘しています。

その道に進むことになったきっかけ
 子供のころから、思い立ったらすぐに家具の配置やディスプレイを替えたりして満足しているような子供でした。10代の頃に実家を新築する機会があり、その時に経験した各部屋の内装や家具を選んだりする家造りの過程が楽しくて、インテリアデザイナーの道を目指しました。結局デザイナーではなく、家具のバイヤーになりましたが、今まで本当に沢山の商品を見たり、第一線で活躍するデザイナーの方々とお話しする機会にも多々恵まれてきましたので、バイヤーという仕事が出来て本当に良かったと思います。私というフィルターを介して、沢山の才能あるデザイナー達の作品を少しでも多くの人達に使って貰って、誰かの生活を豊かにするお手伝いが出来ていれば嬉しいです。

英語で仕事をするということ
 性格に合っているのでしょうか、英語以外で仕事をすることは考えられません。英語だと、単刀直入なコミュニケーションを取ることが可能ですし、お互いの意見を尊重しオープンに意見交換をするなど、誰もが平等に働ける環境には最適な言語ではないでしょうか。同僚や上司、さらには取引先とも同じ目線で会話が出来る仕事環境があるのは、英語ならではだと思います。

英語で失敗したエピソード
 たくさんあると思うのですが、楽天的な性格なので、ほぼ覚えてないですね(笑)そういえば、働き出した頃は聞き取りが苦手で、留守番電話に吹き込まれた名前や会社名が聞き取れず、何回もリピートボタンを押し続けて解読しているうちに間違って、デリートボ タンを押してしまったなんてこともありました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 きっと同じ様な仕事をしている気がします。でも、もしネイティブであれば、英語でデザインブログとか書いたりしていたかもしれません。

あなたにとって仕事とは?
 楽しいことですね。もちろん思い通りにいかないことや、人間関係が上手く行かない時もあるし、失敗をして落ち込む時もありますが、新しいプロダクトや、素晴らしいデザインに出会えた時の高揚感は他では得られないような気がします。常にワクワクするものを探すのが自分の仕事だと思っています。

今の仕事に就いていなかったら
 小料理屋の女将でしょうか。美味しい料理とお酒が大好きなので。

休日の過ごし方
 ファーマーズマーケットに買物に行って、お料理を作って、お友達とワイワイ騒ぎながら美味しいワインが飲めたら最高の休日ですね。

好きな場所
 ハーフムーンベイの秘密のビーチと呼んでいるGrey Whale beach。HWY1をひとりでドライブして、ここのビーチでボーっとしてると癒されて元気が出てきます。

お気に入りのレストラン
 Izakaya Rintaroは特別な時でも、ふらっと寄っても良いお気に入りの場所のひとつです。日本家屋のインテリアも素敵ですし、お料理もカリフォルニア・ジャパニーズと個人的に呼んでいるのですが、シンプルさの中に素材の旨味を感じることが出来るので大好きです。

よく利用する日本食レストラン
 山昌ですね。カラオケで利用することもありますが、日本町町内会というミートアップグループを一緒にやっているメンバー達や、大阪祭りの実行委員のミーティングなどで沢山お邪魔しています。オーナーの山田さんには本当にいつもお世話になっています。

1億円当たったとして、その使い道は?
 半分は日本に居る家族に渡して、残りの半分は(足りるかわからないけど)サンフランシスコで不動産購入のための頭金にでも当てられたらいいですね。

最近日本に戻って驚いたこと
 海外からの観光客が多いためなのでしょうが、外国人の方々が色々なお店で働いていたことです。 アメリカ人の友人と入った青山のカフェでは、バイリンガルの外国人の方が働いていて、英語でオーダーが出来たのにはびっくりしました。

日本に持って行くお土産
 ローカルのオリーブオイルやコーヒー、そしてハーブ入りのお塩など。そして叔母の好物のSee’s CandyのPeanut brittleもいつも大量に買うお土産の一つです。

日本からベイエリアに
持って帰ってくるもの
 食材、漢方薬、化粧品など。乾物が多いのですが、昆布や海苔、日本茶は日本から持ってきた物の方がやはり美味しいです。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 UberやLyftがあるので最近はそれほど感じませんが、パブリックトランスポテーションが発達していないことでしょうか。

現在のベイエリア生活で
不安に感じること
 家賃や物価の高沸がどこまで続くのかということでしょうか。

日本に郷愁を感じるとき
 桜の季節の写真を見た時ですね。もう20年以上日本の桜並木を見ていない気がします。

お勧めの観光地
 ベイエリアならSea RanchとBig Surですね。自然と建造物が融合するように設計されたSea Ranchのミッドセンチュリースタイルの建物群はデザイン好きには是非一度訪れてほしい場所です。

永住したい都市
 コペンハーゲン。仕事で訪れるのですが、私の大好きなデザインのモノ達が日常的に存在している素敵な街です。安全で、綺麗な街並みと充実した社会福祉、そして親切で英語も堪能なデンマーク人は素敵な人が多く、この街に住むことは憧れですね。

5年後の自分に期待すること
 仕事もプライベートも充実して、毎日健康に笑って暮らせていると良いですね。

最も印象に残っている本
 『海辺のカフカ』。学生時代、なんとなく村上春樹を避けて生きていたのですが、2006年ごろに、その時家にあった英語版の『Kafka On the Shore』を読んでみたら、一気に村上ワールドに引き込まれてしまい、急いで日本語で村上春樹の全集を買っては読み漁る始まりになった思い出の一冊です。

自分を動物にたとえると?
 猫。基本的に一人で家で居るのが好きだし、気を許した人にしか甘えないので。

座右の銘は?
 Good Design is Good Business

(BaySpo 2019/11/01号 掲載)

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