一般編  Vol.142
辻グラントさん
 1970年オークランド生まれ。1992年UC Davis校を日本語生化学を二重専攻で卒業。1996年UC San Francisco大学院歯学部卒業。その後、同校の準教授、Alta Bates-Summitt Medical Centerのデンタルディレクター兼コンサルタントとして活動中。また、大阪大学のSan Franciscoでの Distance Learningを通じ講義を行っている。仕事の他にも数々の日系コミュニティー関係のイベントにボランティアで参加している。
日系コミュニティーに貢献したい
 ベイエリアで歯科医として働く辻グラントさん。開業医としてだけでなく、University of California, San Francisco(UCSF)で准教授として学生達を指導したり、大阪大学の学生にサテライト授業をしたりしている。また、プライベートでは日系コミュニティーに関わるボランティア活動を行うなど、忙しい毎日を送っている。
辻グラントさん

(Grant Tsuji)BaySpo 1235号(2012/07/27)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 オークランド生まれですが、サンディエゴ、カーソンシティー、コンコードと引っ越しを繰り返し、大学はUCデービスに通いました。それからUCSFの歯学部を卒業し、今はアラメダに住んでいます。

ベイエリアの印象
 世界で一番住みやすくて全てが揃っている所です。気候がよく、スキーをしたければレイクタホに行けるし、キャンプに行きたければヨセミテに行けるし、ドライブに行きたければ南にはモントレー、北にはアワビとウニが採れるソノマとメンドシーノがあります。スポーツ観戦でしたらCal、Stanford、Raider’s、49er’s、A’s、Giant’s、Warrior’s、Shark’sと応援したいチームがありすぎるぐらいです。美味しいレストランも揃っていて、ワールドクラスのお酒、ワイン、ビールもたくさん選べます。

自分の専門分野について
 アラメダで歯科医をしながらUCSFで准教授として歯学部の学生を教えています。その他には、オークランドのAlta Bates-Summitt Medical Centerのデンタルディレクターとコンサルタントをしています。そして、大阪大学、また同校のサンフランシスコセンターからサテライト授業にて講義を行ったりもしています。

その道に進むことになったきっかけ
 小さい頃からかわいがってくれ、尊敬していた両親の親しい友人が歯医者だったことはかなり大きな影響がありました。また、高校卒業後にあごを骨折したときの治療がひどかったので、もっと良い治療をしてあげられるようになりたいと思い、歯科医になりました。

英語で仕事をするということ
 英語が母国語なので自然ですけれども、いまの世の中で成功するには英語は必ず必要でしょうね。

日本語が上手ですね
 実は私は子どもの頃に引っ越しが多く、またアジア人の少ない土地だったこともありよくいじめに遭いました。ですから、高校生くらいまで自分が日本人、日系人であることが嫌だったんです。でも、高校2年生あたりから自分のルーツを知りたいと思うようになり、大学から日本語の勉強をはじめました。妻は日系2世で日本語を話せるので、結婚してから日本語がもっとうまくなりました。

日本語で失敗したエピソード
 多くて全部は語りきれませんが、なるべく失敗から学ぶ努力をしてます。色々なことを学ぶことができたと思います。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 海軍パイロットになってその後、民間航空会社のパイロットになりたいと思っていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 飲食業に携わっていたと思います。(シェフかレストランオーナーなど)

現在、住んでいる家
 アラメダのSpanish-Mediterraneanの家に住んでいます。

乗っている車
 ホンダ S2000

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 睡眠時間はだいたい4〜6時間くらいです。朝は6〜7時に起き、寝るのは朝の1〜2時です。

休日の過ごし方
 子供と過ごしたり(自転車に乗ったり、泳いだり、一緒に庭掃除をしたり)、北カリフォルニアの桜祭り、Asian Pacific Islander Legal Outreach(APILO)のボランティアをしたりしています。

さまざまなボランティア活動をしていますね
 Asian Pacific Islander Legal Outreach(APILO)は以前はNihonmachi Legal Outreach(NLO)と呼ばれていました。ここではドメスティックバイオレンスや、高齢者虐待の被害にあっている方を助けるボランティア活動をしています。また他にも「Kimochi会」や「桜祭り」でもボランティア活動をしていて、桜祭りでは毎年フードスタンドなどをとりまとめたりしています。

好きな場所
 私の裏庭にはenotecaと言うイタリアン風ワインバー&BBQスペースがあり、ここで家族と友人と一緒にゆっくりすることが大好きです。

最もお気に入りのレストラン
 オークランドのZachary’s Pizza

よく利用する日本食レストラン
 アラメダの鎌倉、Angel Fish、それからKai’s。

1億円当たったとして、その使い道
 半分は子供の教育費のために貯金して、残りは多く関わっているボランティア団体と教育機関へ寄付します。

日本に戻る頻度
 年に一回。

最近日本に戻って驚いたこと
 放射能問題もあり、あらゆる方法で節電をしていることに驚きました。学校の廊下の電気なども全部つけるのではなく、2、3本しかつけていなかったりしているのを見ました。

日本に持って行くお土産
 ナッツ、ワイン、ビーフジャーキーとワイン。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 和菓子と子供のおもちゃや日本語の教材

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 公共交通機関の充実していないところ

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 現在の公立学校の教育制度の状態に不安を感じています。自分はずっと公立学校で学んできましたが、子供たちの教育や成長を一番に考え、私の子供たちはバークレーにあるAmerican International MontessoriというPrivate Schoolに通わせています。 あとは、日系コミュニティーの絆が薄れてきていること。先輩達が守ってきた大切な日本の文化や伝統を絶やさないためには、これからももっと皆さんの協力が不可欠だと思います。 

日本に郷愁を感じるとき
 日本で食べた素晴らしいごちそうを思い出すとき

お勧めの観光地
 セント・ヘレナ、ヨセミテ、レイクタホ。

永住したい都市
 アラメダ、ホノルル、東京を年に3、4か月ずつ住みたいです。春と秋は東京、夏はアラメダ、冬はホノルルに住みたいです。

5年後の自分に期待すること
 もう少し一日の時間を効率的に利用して家族で過ごす時間を増やしたいです。

最も印象に残っている本
 『こころ』夏目漱石

最近読んだ本
 『And Justice for All』John Tateichi、『ぐりとぐら』(なかがわりえこ/おおむらゆりこ)

最も印象に残っている映画
 『Shawshank Redemption(ショーシャンクの空に)』

最近観た映画
 子供たちと一緒に観たStar Wars

自分を動物にたとえると?なぜ?
 犬。忠実で勤勉。

座右の銘は?
 「人生はマラソン」です。ペースと効率性を重視することが大事だと思います。

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取材を終えて
 歯科医として、大学教授として日々走り回る辻さん。それに加えて休日はボランティア活動もされているなんて、本当に忙しい毎日を送っていらっしゃるのだと思います。忙しい合間を縫って取材に協力いただきありがとうございました。

(BaySpo 2012/07/27号 掲載)

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