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| 一般編 Vol.123 |
堀江友紀さん |
熊本県天草市出身。九州学院高校野球部時代は、夏の県予選で準決勝敗退。大学卒業後、広告代理店に就職。その時のクライアントである大手引越会社に出向社員として、98年にニューヨークへ赴任。01年にベイエリアへ転勤。07年に中小企業経営者のための盛和塾シリコンバレー入塾。08年にフォスターシティ・ホークスの活動を開始。10年4月にクロス・ネイションズ設立。 |
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野球の指導を通して人格形成を |
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アメリカで10年以上暮らし、「コミュニティーに返す」というボランティア精神に感銘を受け、2年前に日本語を話す子供たちに野球の指導を始め、少年野球チーム「フォスターシティ•ホークス」を設立した堀江友紀さん。昨年は自ら運送事業を立ち上げ多忙な日々を送っている。堀江さんに少年野球への思い入れ、ベイエリアでの暮らしぶりを聞いた。 |
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「フォスターシティ•ホークス」ヘッドコーチ(Yuki Horie) | BaySpo 1163号(2011/03/11)掲載 |
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少年野球のコーチを始めたきっかけとこれまで 私が小さかったとき、特に田舎だからだと思いますが、剣道や野球の練習でボランティアの方々が、仕事が終わってから指導によく来てくれたんですよ。私はそんな環境で育ったので、自分が持っているものを使い何かに貢献できればと前々から思っていました。また、アメリカの「コミュニティーに返す」という考え方にも感銘をうけ「自分の好きな野球がいいな」と思い始めました。アメリカでは、練習時間が基本的に短く試合が多いんです。だから、子供たちは練習相手を探しているんです。地元のリトルリーグに入っている子ども達に活躍してほしいと思い、私が練習の相手となってやろうという軽い気持ちでスタートしました。練習をすると声をかけ、初日から10名を超える子供たちが集まってくれたのでびっくりでした。現在は30名位の子供と、8名のコーチ、2名の事務局で運営しています。九州出身のコーチが多いことから、福岡のソフトバンクホークスからとって「フォスターシティホークス」をいう名前になりました。
堀江さんのコーチとしての信条 野球を通してチームワークの大切さや、人間形成に役立てて欲しいですね。まずは野球が好きになり、自主的に練習し、自信がつき、結果が出る。こういう過程を少しでも身をもって体験して、少しでも後の人生に役立ててくれればと思っています。あとは返事をする、挨拶をする、道具を大切にするなどは口うるさく指導しています。本で読んだのですが、ある公立中学校の陸上部を7年間で13回、日本一に導いた先生の話が掲載されていました。この先生は、心を強化することから始められ、掃除や挨拶を徹底し、子供たちの心作りに力を入れられたようです。スポーツには心技体が必要ですが、日本一になるには技術•体力以上に心が大事だと説かれていました。
コーチとして達成感を感じたとき 子供たちの上達の早さを目の当たりにしたとき。ほんの1カ月前まではキャッチボールもできなかった子が、あっという間に上達する。また紅白戦でヒットを打って嬉しそうな表情をしている姿を見ると、自分のことのように嬉しいですね。まだよそのチームと対抗試合をしたことがないので、試合が組めればもっと練習にも気合いが入ると思います。現在、対戦チーム募集中です。
コーチとして、将来への期待 一人でも多くの子が地元のリトルリーグに入って活躍してほしいです。いつの日か、ホークスからメジャーリーガーが誕生することを期待しています。そのためにも、アスレチックスの松井選手には是非、ホークスに来て頂き、異国の地で夢を追いかけて練習している子供たちに激を入れて欲しいですね。私たちがそうだったように、子どもたちも私たちの背中を見てくれていると思うんです。子供たちにも、私たちから学んだことを次の世代に返していってもらいたいなと思ってます。残念ながらメジャーに行けなかった選手は、私の所属している軟式野球チームのシリコンバレー・ベンチャーズに加入してもらいます(笑)。
開業されたと聞きました 昨年春より独立し、引越し・商業貨物を中心とする株式会社クロス・ネイションズを設立しました。妻を始め、従業員みんなで協力し合って毎日、奮闘しています。野球と一緒で、日本の心をもっとアメリカにも広げようという気持ちからスタートしました。日本的な高品質のキメ細かいサービスを、アメリカ在住の日本人ばかりでなく、現地の人たちにも受け入れて頂けるような、ローカルで愛される会社を目指しています。
ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年 2001年9月に、大手引越し会社のベイエリア支店開設のため赴任しました。ベイエリア在住9年、その前にニューヨークに3年ほどいたので、米国在住歴合計で12年目になります。
ベイエリアの印象 ベイエリアに移動する前にニューヨークにいたので、第一印象は意外とのどかという感じ。9時には飲食店が閉まるのでびっくりしました。自然と気候に恵まれているので、いつも明るく前向きに生活できる最高の場所だと思います。
英語で仕事をするということ 今でも苦労しています。でも、コミュニケーションに一番大切なのは伝えようとする心だと思っているので、何とかなっています。
英語で失敗したエピソード 日常茶飯事なので覚えていません。ただ、LとRの発音は今でも難しいです。自宅の住所でもあるThird Ave.が電話で通じずに、最後はスペルで言っています。
いまの仕事に就いていなかったら 故郷熊本県天草に戻って町会議員かな?一人でも多くの方のお役に立つ存在でありたいと願っていますので。余談ですが、私の父は町会議員に立候補し、他に立候補者がいなく、無投票で当選しました。
睡眠時間・起床時間・就寝時間 12時過ぎに寝て、6時半には起きます。
休日の過ごし方 今は仕事と野球が趣味なのでどちらかですね。気分転換に買い物に行ったり、食事に行ったりですね。
好きな場所 車の中。サービス業をやっていますので、仕事が本当に忙しいときは、一人だけの空間になる車の中が好きです。
よく利用する日本食レストラン サンノゼ日本町にある「久保田」です。オーナーのサービス精神とマネジャーのケーコさんの笑顔がとっても好きです。
1億円当たったとして、その使い道 オークランドアスレチックスのスポンサーになって、同じ世代の松井選手に野球教室を開いてもらいたいです。高校時代は、左の松井、右の堀江としてライバル意識がありました(笑)。
最近日本に戻って驚いたこと ユニクロなど、質の良い衣料品の物価の安さ。実家のある天草の物価が変わっていないこと。観光地に行くとよく見かける、コインを入れて見る望遠鏡は、いまだに1回20円です。
日本に持って行くお土産 Blue Bottle Coffeeのコーヒー豆やトレーダージョーズのお菓子。
日本からベイエリアに持って帰ってくるもの 海藻などの天草特産品、熊本銘菓の陣太鼓、書籍、その他和菓子。
現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき ガソリンの高騰、住宅価格の高さ。
お勧めの観光地 地元の熊本県天草市。自然がたくさん残っていることから「宝島」と呼ばれています。山あり海ありでまさに九州のリゾート地。美味しい魚、温泉に恵まれたすばらしかところです。顔に似合いませんが、パリもお気に入りです。
5年後の自分に期待すること 自分の周囲にいる、一人でも多くの方に仕事や野球を通して喜んで頂く存在になることです。仕事では、今いる9人ほどの従業員を幸せにしたいです。
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■インタビューを終えて アメリカに長く暮らすと、さまざまなところでボランティアをする機会に遭遇します。自分の持っている技術を通して、次世代の野球少年たちに野球だけでなく人間としての成長も考えた指導をボランティアで行っている堀江さんに感銘を受けました。
(BaySpo 2011/03/11号 掲載) |
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