ビジネス編  Vol.82
保田 隆明さん
神戸大学大学院経営学研究科准教授。スタンフォード大学および一橋大学経済学研究科客員研究員。外資系投資銀行、起業、売却、VC、金融庁金融研究センターなどを経てアカデミックの世界に。上場企業含め、複数社の社外取締役も兼務。現在はソーシャルファイナンスや次の資本主義のあり方を研究中。博士(商学)早稲田大学。
世の中のゲームチェンジャーに 貢献したい
研究を機に渡米、現在はスタンフォード大学で研究する傍ら、複数企業の社外取締役としてコンサルティング、経営に携わる保田さん。「誰もやらないことをやる」と日々活躍する彼に、ここでの暮らしについて伺いました。
保田 隆明さん

(Hoda Takaaki)BaySpo 1677号(2021/01/15)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 スタンフォード大学で在外研究を行うために、2019年8月に渡米しました。

ベイエリアの印象
 基本的に毎日天気が良くゴキゲンですが、朝晩が意外と寒いのと、秋〜冬は予想以上に毎日曇り空で、思ったより冬っぽいなあと少し凹みました(笑)。

自分の専門分野について
 専門はコーポレートファイナンス、M&A、ソーシャルファイナンス、ベンチャービジネスで、大学での教育、研究、そして、専門知識を生かして複数社の社外取締役を兼務しています。

その道に進むことになったきっかけ
 もともと外資系投資銀行でそれら分野の仕事をしていたのですが、体系的に学び直そうと思い、大学院に進学し、アカデミック(中立)の立場から日本企業にアドバイスしたいと思うようになったためです。あとは、20代にNYのウォール街で働いていたのですが、その時に日米のコーポレートファイナンス分野の知識&スキルの差に愕然とし、日本企業のファイナンスリテラシーをなんとかしたいと思うようになったことです。そのためには大学の教員になって、大学生にみっちりと学んでもらうことが重要だなと思いました。

英語で仕事をするということ
 得られる情報量が100倍に増えるのと、簡潔なコミュニケーションが求められるので、いい意味で仕事上のコミュニケーションにおける取捨選択能力の進化が求められると思います。

英語で失敗したエピソード
 毎日失敗しているので、失敗と思うことがなくなっています(笑)。先日もサンドイッチを頼む時に、「チーズ何?」って聞かれているのに、「何入れる?」って聞かれていると思い、「野菜全部」と答えていました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 YouTuberをやってみたいかも。

あなたにとって仕事とは?
 生き甲斐。仕事していると毎日楽しいです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 海外で活躍するビジネスパーソン。

いまの仕事に就いていなかったら
 ベンチャー企業を経営していると思います。

現在、住んでいる家
 Menlo Parkの2ベッドルームのアパートメント。ベランダが広くて、気に入っています。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 6時間程度。深夜1時に寝て午前7時に起きます。

休日の過ごし方
 子どもの習い事の送迎、家族でお出かけ(ロックダウン前はSFMOMAやPier39に行ってきました)、時間があればハンモックで本を読みます。一昨年は子どものサッカーの試合を毎週末見ていましたが、こういう過ごし方もいいな、と思いました。

好きな場所
 スタンフォード大学のキャンパス。キャンパス内のどこにいても気持ちよく、開放的です。ここで学生時代を過ごせる学生たちがとにかく羨ましいです。早くキャンパスに戻れる日が来ることを願っています。

最もお気に入りのレストラン
 Coupa Caféですかね。実は、ここ! というお気に入りのレストランがまだ見つけられていないのが悩みです。

よく利用する日本食レストラン
 Mitsunobuのテイクアウトをパンデミック以降利用しています。おいしいです。

1億円当たったとして、その使い道
 1000万円ずつ子どもに渡して、株式投資をさせたいです。残りで、ベンチャー投資のミニファンドを作りたいですね。

日本に戻る頻度
 以前は2〜3カ月に一度でしたが、次はいつになるでしょうね。

最近日本に戻って驚いたこと
 昨年の3月末〜7月中旬まで家族で一時帰国していました。在米暦7カ月の子ども達(当時2ndと7th grade)がオンラインで学校の授業についていくのは大変かなと思い、1学期の間は日本の学校に戻しました。が、日本の公立学校では、全くオンライン対応をしようとしないことに愕然としました。

日本に持って行くお土産
 GHIRARDELLIのチョコレート。職場に持っていくと、必ず喜ばれます。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 主に子どものお菓子と、ふりかけなどの食べ物

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 コンビニがないことですね。あとは、どこにいくにもやはり車なのと、子ども達の送迎がとにかく大変です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 特にないです。

日本に郷愁を感じるとき
 外食の会計時。「あー、日本だとこの半額程度だよなあ」と思ってしまう瞬間ですね。
5年後の自分に期待すること
 世の中のゲームチェンジャーに何らかの形で貢献したいです。それはアカデミック(教育または研究)を通じてなのか、企業へのコンサルティング業務や取締役という立場でなのか、あるいは、自分が起業するなのか、何かは分かりませんが、もっとOut of the Boxが褒められるような楽しい日本にしたいな、と思います。

最も印象に残っている本
 『深夜特急』沢木耕太郎著。学生時代に読んだものですが、なんとなくその後の人生はその影響を受けているように思います。人生、アドベンチャラスである方が楽しいよね、という側面と、レジリエンスで前に進めるんだよ、という教えみたいな感じです。

最近読んだ本
 『売れる力』松田憲幸著。ソースネクストの松田社長の本で、ベイエリアでお目にかかる機会があったので、サインをもらいました。渡米直後はポケトークをお守りのように持っていた子ども達は、「ポケトークの社長!」と興奮していました。ベイエリアにいる日本人は、みなさんご活躍されている方々ばかりなので、日本ではなかなかお目にかかれない方と普通に会えるのがいいところだなと思います。

最も印象に残っている映画
 『Forest Gump』はアメリカを感じるいい映画だなあ、と思います。あとは、『ウォール街』ですね。今となっては、古い映画ですが、投資銀行業界に入る人間は、今でも必ずこの映画を見て、なんらかの憧れを持つんだと思います。主人公のモノ言う株主のゴードンゲッコーに日本企業に喝を入れてほしいです。「もっとリスクを取れー! リスク取れないならクビだー!」ってね(笑)。

最近観た映画
 『Maze Runner』は長男の英語の授業で扱うため一緒に見ました。あとは次男が日本から戻ってくる機内で見て気に入ったとのことで、一緒に見た『Baby Boss』。自分で見たい映画を選んだのは…記憶にないです。

自分を動物にたとえると?なぜ?
 ライオン。動物占いでそう出てきましたが、合っていると思います。仕切りたがり屋なもので…。

座右の銘は?
 みんなと一緒はつまらない、誰もやらないことをやる、です。子どもにも学生にも常に、Be Differentと言っています。

(BaySpo 2021/01/15号 掲載)

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