一般編  Vol.147
斎藤 直樹さん
 1958年千葉県生まれ。東京大学工学部計数工学科、同大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程を経て、1984年日本シュルンベルジェ(株)に入社。1986年〜1997年、米国コネチカット州にあるシュルンベルジェ•ドル研究所研究員。1994年、イェール大学大学院数学科で初の応用数学博士号取得。1997年よりカリフォルニア大学デイヴィス校数学科准教授、2001年より同校正教授。2007年〜2012年、同校大学院応用数学専門課程主任。2000年10月、ホワイトハウスにて、Presidential Early Career Award for Scientists and Engineers (PECASE) 受賞。
留学して視野を広げよう
 カリフォルニア大学デイヴィス校で応用数学を専門に教鞭をとっていらっしゃる斎藤直樹先生。一時はミュージシャンを志したこともあるという先生は、現在もさまざまな楽器を演奏していらっしゃるそうです。そんな斎藤先生にベイエリアでの暮らしぶりについて伺いました。
斎藤 直樹さん

(Naoki Saito)BaySpo 1244号(2012/09/28)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1997年8月に、カリフォルニア大学デイヴィス校に赴任するため、コネチカット州から参りました。コネチカット州には、日本から1986年9月に、石油資源探査のシュルンベルジェ社の社内トランスファーで研究員として参りました。

ベイエリアの印象
 私は東海岸で11年程暮らしたのですが、ベイエリアは東海岸に比べて、気候が穏やかなこと、人々がフレンドリーなこと、そしてアジア系の人々が多い、といったことが挙げられると思います。

専門分野・現在のお仕事について
 応用数学の研究および教育、特に応用調和解析という分野が専門です。与えられたデータを数学的な「原子」や「分子」に分解して、そのデータの性質を調べたり、効率よく圧縮したり、重要な特徴を抽出したりするのが主な仕事です。データとしては、いろいろな音や画像を主に対象にしています。静岡大学との共同研究(山谷克博士、現名城大学)を通して、アメリカと日本の両方で、画像圧縮の特許を取得し、そのアルゴリズムは、パチンコ台の真ん中にあるディスプレイに使われています。また、大学低学年から大学院までのいろいろな数学の授業を担当しております。

その道に進むことになったきっかけ
 シュルンベルジェ社での研究(地下資源探査)を通して、この分野が現実的な問題の解決に役に立つことを実感したのがきっかけです。また、この分野の先駆者であるイェール大学のコイフマン教授の指導の下で、会社で働きながら博士号を取得したのですが、自分の会社の経営までする先生のこの分野における圧倒的な能力に感銘を受け、先生のようになりたいと思ったからです。

英語で仕事をするということ
 論文や研究資金申請書は、殆どすべて英語で書きますし、授業も大学院学生の指導も勿論英語ですので、仕事面では英語の方が日本語よりも慣れています。日本での講演•講義の方が、専門用語の日本語訳がなかったり、またあってもあまり知られていなかったりすることも多いので、かえって英語でするよりも難しいです。とは言え、本、特に文学作品などを読むときは、まだまだ日本語の方が速いです。

英語で失敗したエピソード
 何か電話でオーダーする時、自分の名前の綴りを言わなければならないことが多いですが、こちらが丁寧に説明しても、「直樹(Naoki)」のはずが、「寝起き(Neoki)」、「間置き(Maoki)」、「名恋(Nakoi)」、「婦負子(Neiko)」などになっていることがよくあり、悔しい思いをします。また「斎藤(Saito)」の方も「し後(Siato)」などになることがありますが、最近は、ヒット映画「インセプション」で渡辺謙の役が「Saito」だったので、以前より間違われなくなったように思います。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 天文学者です。天体が好きで、宇宙がどうなっているのか不思議に思いました。(今でも不思議に思っておりますが。)しかしながら、天文学者としての職場があまりないのではないかという現実的な思いもあり、天文学の中で使われている数学の方に次第に引きつけられて行きました。

いまの仕事に就いていなかったら
 企業での研究員かミュージシャンでしょう。大学生の時、一時真剣にミュージシャンになることを考えましたが、不安定な生活を強いられそうだし、自分の才能に限界を感じたので諦めました。今でも、ギター、ダブルベース、エレクトリックベース、ドラム、そしてテナー•サックスを演奏•練習しています。

休日の過ごし方
 ニューヨーク•タイムズ(日曜版)を読む、音楽•映画鑑賞、読書といったところでしょうか。また月に一度程、音楽仲間とジャム•セッションを楽しんでおります。

現在、住んでいる家
 デイヴィスにある自宅に14年住んでいます。

乗っている車
 トヨタのプリウスです。燃費がいいこと、またGPSをはじめ細かいところに気をつけた機能•デザインが気に入っています。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 6〜7時間でしょうか。朝は7時起床、深夜0時頃就寝が普通の生活パターンです。

好きな場所
 水族館と美術館です。水族館だと、モントレー水族館、美術館だと、サンフランシスコのMoMaのリピーターです。

最もお気に入りのレストラン
 バークレーのChez Panisseです。何回行っても期待を裏切られません。コンシステンシィの高いレストランだと思います。

よく利用する日本食レストラン
 デイヴィスにある「膳とろ」です。また、一度しか行っていませんが、サンフランシスコのジャパン•タウンにある「かっぱ」という店に感動しました。

1億円当たったとして、その使い道
 これから習いたい楽器(バス•クラリネット、ソプラノ•サックス、フルート、トランペット、など)をまず購入します。そして出張•休暇にかかわらず飛行機を使うときには、ファースト•クラスの座席を購入したいですね。あとは、老後のための資金運用に使うといったところでしょうか。

日本に戻る頻度
 年に一度か二度程、仕事もかねて帰省します。

最近日本に戻って驚いたこと
 昔に比べ、日本人学生が内向き傾向になっているのを強く感じます。将来の就職などいろいろ考えてのことだとは思いますが、このところアメリカへ長期留学(例えば、修士号•博士号取得などのため)する日本人学生が減少しています。私のところの応用数学専門課程でも、博士課程への応募が毎年100人強あるのですが、そのうちの約半数は外国人、そのうちの大多数は中国本土からの学生の応募です(次いで、韓国、台湾、ベトナム、インドなどが続きます)。私のところだけではなく、他の多くのアメリカの理工学系大学院でも同じような状況だと聞いています。アメリカでの学生生活は、チャレンジングだとは思いますが、視野が広がり、その後の人生にもきっと役に立つと思うので、もっとたくさんの日本人学生の方々にアメリカ留学に挑戦して欲しいと思います。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 病気になった時に、英語で大丈夫かという不安が多少あります。アメリカへ来てから大きな病気をしたこともないので、たまに調子が悪くなったときに、医者に病気の名前や症状を説明するのに苦労します。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 公共交通手段が不十分なことでしょうか。

日本に郷愁を感じるとき
 アメリカにある日本庭園を訪れたときと、おいしい和食を食べたとき。

お勧めの観光地
 ベイエリアから比較的近いところでは、カーメルとレイク•タホです。

永住したい都市
 以前は、ハワイのどこかの町(例えばホノルルなど)が丁度日本とアメリカの中間でいいのではとか 、東京とカリフォルニアに半々に住んだりするのがいいのではとか考えていましたが、結局今のデイヴィスが、気候、文化的側面、経済面のバランスを考えると一番いいのではないかと思うようになってきました。とは言うものの、これからも日本には出来るだけ頻繁に帰省するようにしたいです。

5年後の自分に期待すること
 いろいろ頼まれる仕事のうち、自分にしかできないこと、自分の方が他の人よりもよく貢献できること、そして他の人でもできることを峻別し、プライオリティをつけ、研究•読書•音楽のために使える時間をもっと増やすことです。

自分を動物にたとえると?なぜ?
熊(大柄な方なので、以前人から言われました)あるいは、犬(戌年ですので)でしょうか。

座右の銘は?
 “The best is yet to come!” と唱えて、ポジティブに生きて行くことです。


取材を終えて
 学生の頃はミュージシャンを志したこともあったという斎藤先生。今でも趣味で演奏活動を続けていらっしゃるそうですが、いつかその演奏を聴いてみたいです!

(BaySpo 2012/09/28号 掲載)

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