一般編  Vol.151
横瀬 美砂さん
 アジア・パシフィックコンクールジュニアの部第3位、神戸洋舞コンクールバレエシニア第1位。兵庫県知事賞、IBM賞、神戸新聞賞受賞。Royal Winnipeg Balletにて活躍後、帰国。文化庁在外派遣研修員として再び渡加、National Ballet of Canadaにて派遣研修員を務め、翌年契約。世界で著名な振付家の作品の多くを主役、ソリストとして踊り、日本国内でも数多くの舞台にゲストとして出演。2001年、カナダ、トロントにSOLO Ontario Limitedを設立。2007年独立。現在SOLO Dance Education & Consultingの代表を務めながら国内外でゲスト講師を務める。
プロバレエダンサーへの 夢をサポート
 プロのバレエダンサーとして輝かしい経歴を持ち、引退後はバレエダンサーとしてキャリアを積むことを望む子ども達やその家族をサポートする会社を設立。そんな横瀬さんに自身のお仕事とベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
横瀬 美砂さん

(Misa Yokose)BaySpo 1263号(2013/02/08)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 当時、婚約者であった現主人が2001年よりSan Francisco Balletで踊ることになり、私はそれまで居住していたカナダのトロントを離れ、2003年にこちらへ来ました。

ベイエリアの印象
 当初の印象は、ホームレスが多いということです(苦笑)。ベイエリアの生活に少し慣れてからは、海や空の青さや木々の緑に心が癒され、そして食材に恵まれているという印象ですね。余談ですが、こちらの冬の時期にダウンジャケットを着込んでビーチサンダルを履いている人々を見て不思議に思いました(笑)。これがカリフォルニアなのだ・・・と。

自分の専門分野について
 バレエダンサーとしてキャリアを積むことを望むお子さんに対し、可能性の有無を見極め、そのお子さんとご家族にコンサルティングを通じてプロへの道のりをサポートするのが私の仕事です。プロになるには、努力も勿論大切ですが、身体的条件や芸術的センス等生まれ持った才能を有することが絶対。条件を満たしていないお子さんには、正直に私の思いを伝え、進路を考え直していただくようお話しすることもあります。日本のバレエ人口は非常に多いのですが、給与を支払うカンパニーが存在しないため、スポーツ選手同様、ダンサーも活動する場を求め、若い頃から海外に行くことを望みます。可能な限りお子さんやご家族の夢を成功へと導けるよう、適切、かつ最善のサポートを提供し続けたいと思っています。

その道に進むことになったきっかけ
 私の勤めていたNational Ballet of Canadaでは、ダンサーに対しキャリアトランジッションサポートを一切提供していなかったため、引退後どのように生計を立てるかは個人で計画し取り組んでいかなければなりませんでした。引退後、一旦帰国し、外資系英会話学校のコンサルタントを務める傍ら両親の営んでいたバレエスタジオで子供達を指導する日々を送りましたが、高卒直後に渡加した私は日本の社会に馴染むことが出来ず、再び拠点をトロントに移しました。私が海外に出た80年代後半はまだ海外が遠く感じられる時代ですが、90年代に入り海外へ進出するダンサーも増え、その頃から「海外へ行きたい子供達の相談に乗って欲しい」との依頼を知人より受けるようになりました。私自身の人生の流れ、プロのバレエダンサーになりたいと願う子供達が増えて行く時代の到来、自身の経験や知識を生かし次世代を育成しなければとの私の思い、きっかけは、全てのタイミングが合ったことです。

英語で仕事をするということ
 日本語でクライアントの皆様と接する割合が多いので、英語を使うのは世界のバレエスクールやカンパニーのスタッフとコミュニケーションを取る時のみ。それぞれが育ってきた文化を背負って成長していますので、出身国が違うだけでお互いの理解にちょっとしたずれが生じることもあり、英語で仕事をする時は、極力事務的に話しを進めるよう心掛けています。

英語で失敗したエピソード
 渡加した当初は、私自身英語を片言も話すことが出来ず、携帯電話もFAXも、勿論コンピューター等もありませんでしたので、毎日が挫折と孤独の日々でした。ですので、失敗したエピソードは記憶に留めておけないくらい沢山あり、この場ではお話ししきれません(苦笑)。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 プロのダンサーとして日本を離れましたので、大学や大学院で勉強したわけではなく、英語は初めから全て独学です。英語がネイティブでしたら、言葉を巧みに使い色々な仕事ができたでしょうが、弁護士は自分に向いている仕事だと思うことは幾度もあります。

いまの仕事に就いていなかったら
 獣医、もしくは動物に携わる仕事です。幼少の頃から動物が大好きで、高校受験の時に獣医学校を受験する話まで出たほどです。ダンサー引退後も動物関係の仕事をしたくて就活しましたが、運には恵まれず今に至ります。

現在、住んでいる家
 Mill Valleyにある賃貸住宅です。

乗っている車
 MAZDA 5

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 世界中あちこちに居住しているクライアントや日本にいらっしゃるご家族のニーズに合せて仕事をしていますので、睡眠時間も就寝時間もあまりはっきりは決まってなく、平均6時間は寝るよう心掛けています。朝は、主人が息子の朝食を作ってくれるので7時半前後までは寝るようにしています。

休日の過ごし方
 時間があれば、仕事、家や学校のこと、もしくは家族に費やしてしまうので、自分のために費やす時間は基本的に全くありません。もし休日をいただけると想定してお話すれば、スパに行き、身体を休め、美味しいものをいただく・・・という1日を過ごしたいですね。

好きな場所
 落ち着いた雰囲気、環境で美味しいお食事をいただける場所であれば、こだわりはありません。

1億円当たったとして、その使い道
 私たち家族は人と過ごす時間が大好きですので、友人達を招待して楽しいひと時を過ごすために必要なスペースとキッチンのある家を建て、日本の実家を建て直し、息子の将来のために一部を貯金し、残りはかわいそうな動物達を助ける活動などに使いたいと思っています。

日本に戻る頻度
 子供が生まれる前は、仕事の関係で年に3回程戻っていましたが、今は年に1回帰国出来れば良い方です。

日本に持って行くお土産
 マリアージュフレール(Mariage Freres)のお茶。 マリアージュは日本でも購入出来るのですが、こちらで購入した方がお安く、私自身がお茶派ですので皆さんにもお勧めしています。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 梅干です。私は幼い頃から梅干なしでは生きていけないほど梅干好きでして、こちらで購入出来る梅干では、当然満足出来ず、日本から持って来ています。ちなみに、ここ数年頂いている梅干は、梅農家の方が、自らの農家で取れた梅を漬けて下さっているもので、とても美味しいです!

日本に郷愁を感じるとき
 年末年始です。寒い季節になると温泉や温かい食べ物が恋しくなります。

永住したい都市
 今はまだ向こう10年の予定がはっきりしていないので考えたことはありませんが、今住んでいるマリンカウンティーはとても好きです。日本半分、海外半分が理想的です。

5年後の自分に期待すること
 まずは健康でいることです。独立してからは私一人で運営していますので、サポートを提供出来るご家族の数が限られていて、サポートを必要とされていてもお断りしなければならない現状がここ数年続いています。5年後までには会社の運営体制を整え、少しでも多くの方をサポートできる環境を作りたいと考えています。あとは私自身が家族のために費やせる時間と自分自身に費やせる時間を確保出来るような生活へと変えて行きたいと思っています。今は育児と仕事の両立ですので時間が足りず、家の中で走ってしまうことがありますので(笑)。

座右の銘は?
 為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり。継続は力なり。

(BaySpo 2013/02/08号 掲載)

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