一般編  Vol.153
古本 竜太さん
 1974年、広島生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。サンマテオ仏教会駐在開教使およびセバストポール園満寺監督。浄土真宗英語通信教育インストラクターも務める。龍谷大学校友会北カリフォルニア支部事務局長、桑港広島県人会員。家族は妻と子供三人。
争いごとがない 平和な世の中に
 2009年よりサンマテオ仏教会にて浄土真宗の布教活動をおこなっている古本さん。日曜日の礼拝をはじめ、葬儀、法事、結婚式などの法要のほかにもさまざまな活動をしている古本さんに、ベイエリアでの暮らしぶりについて伺いました。
古本 竜太さん

(Ryuta Furumoto)BaySpo 1270号(2013/03/29)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 2001年9月にアリゾナ州のお寺に浄土真宗本願寺派開教使として赴任しました。アリゾナのお寺に7年駐在し、2009年1月にサンマテオ仏教会に転任になり今に至ります。

ベイエリアの印象
 海と山が近くて、自然に恵まれていると思います。アリゾナは岩とサボテンが多く乾いた気候でしたので、来た当初はベイエリアの緑の豊かさと海の青さに感動しました。サンマテオブリッジを渡るのがとても嬉しかったのを覚えています。また、サンマテオにはゴキブリがいないので、妻が喜んでいます。

自分の専門分野について
 浄土真宗本願寺派の開教使で、アメリカで仏教の教えを広めることが主な仕事です。アメリカでの開教は約110年の歴史があり、全米に60カ寺ほどあります。開教使はそのお寺を拠点として伝道活動をします。日曜日の礼拝をはじめ、葬儀、法事、結婚式などの法要を営むほかに、家庭訪問、病院訪問、カウンセリング、スタディークラスなども行います。また、キリスト教やイスラム教などの宗教者たちと対話、意見交換をするインターフェイス、市のイベントでのお祈り、小学校や高校、市民団体などでお話をすることもあります。

その道に進むことになったきっかけ
 龍谷大学で仏教学を学んだことです。高校生の時、日本の骨董品や美術品などを海外で売る仕事をしたいと思っていたのですが、仏像や古典作品など日本の芸術の根底にあるのは仏教ではないかと考えまして、龍谷大学の仏教学科に進学しました。龍谷大学は僧侶を養成するためのコースがあり、その中に「海外開教使過程」という主に海外で伝道を志す僧侶のためプログラムがありました。シラバスに「現在、欧米で仏教の教えが広まりつつあるので、海外でビジネスを志望する学生にもお勧めのプログラム」と書かれてあり、それを受講して仏教の教えを学ぶうちに面白くなってきて、開教使になろうと志すようになりました。

英語で仕事をするということ
 アメリカで伝道するのに英語は不可欠なので、常に語学力を高めるように努力していますが、教えが伝わるのは言葉だけでなく、その言葉が発せられる元にある心や生活にあるので、英語力だけにこだわらないようにしています。例えば、ダライラマ法王の英語はそんなに流暢ではないですが、お話や行動は多くの英語人の心を惹きつけます。最も大切なのは自分が教えを深く理解し、生活にそれが自然と出てくることです。・・・ということを考えているので、英語がなかなか上達しないのかもしれませんね。

英語で失敗したエピソード 
 英語で「浄土」のことを「ピュアランド」と言うのですが、初めて浄土真宗の教えを聞く人に説明する時に、私の発音が悪くて「プアランド(貧土)」かと思われたことです。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 仏教の経典や参考書の翻訳です。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 お恥ずかしい話ですが、小学校二年生のときの将来なりたいものに「偉人」と書いていました。リンカーンやキュリー夫人などの偉人伝が好きでよく読んでいたせいだと思いますが、何かを成し遂げたいということではなく、ただ単に人から偉いと言われたかっただけなのでしょう。子供ながらに大変浅ましい心です。

いまの仕事に就いていなかったら
 この道にすすんでからは別の仕事に就くことを考えた事がありません。

現在、住んでいる家 
 サンマテオの3ベッド2バスルームの家です。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 睡眠時間は7時間くらいです。子供を学校に送るので7時半頃に起きます。

休日の過ごし方
 平日の仕事がない時に休むのですが、子供の学校への送迎や仕事の準備をするので、あまり休んだ気がしません。ちょっとソファーに横になる時間が多いくらいでしょうか。

最もお気に入りのレストラン 
 陸奥、おいどん、居酒屋舞などお寺から近いレストランです。お店の方がみな親切です。

1億円当たったとして、その使い道
 まず黙っておきます(笑)。それから公共のために使うべきか、自分のために使うか葛藤します。

日本に戻る頻度
 お寺が忙しいのであまり帰れませんが、仕事関係で日本に行くことがあります。一昨年はこちらの高校生と大学生を京都の本願寺に連れて行って、去年は龍谷大学の同窓会支部会議に出席しました。

最近日本に戻って驚いたこと
 3年ぶりに実家の広島に行った時、以前と比べてあまり新しい建物が建ってなかったので景気が悪いのかなと思いました。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 仏教関係の本と機内食にいたるまで日本の食べ物がおいしかったという「思い出」を持ち帰ってきます。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 夏にプールに入っても風が吹いて寒いのであまり盛り上がらない事です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 カルトレイン沿いに高速鉄道をつくるプランがありますが、それができると鉄道がお寺のすぐ横を通る事になるそうなので、どうなるかが不安です。

日本に郷愁を感じるとき
 日本の桜並木が観たいな、と思うとき。

お勧めの観光地
 観光地ではありませんが、サンマテオ、サンフランシスコ、パロアルト、バークレーなどベイエリアのお寺の本堂です。パワースポットではありませんが、心が落ち着くカームスポットです。

永住したい都市
 日本行きの直行便がある都市です。

5年後の自分に期待すること
 世界の人びとが幸せになれるような活動をしていたい、と大きなことを言いたいところですが、まずは自分の周りの家族や友人、お寺の方々の幸せに貢献できていたいです。

最も印象に残っている本
 『歎異抄(たんにしょう)』です。「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや(善人でこそ救われるのだから、悪人が救われないはずはない)」に代表される逆説的、矛盾的表現によって自他、善悪の違いを超えた一如平等の世界へ引き込むような言葉がいくつか出てきて、味わい深い書物です。最初は全く理解できませんでしたが、学んでいくと少しずつわかるようになってくるのがおもしろいです。今の理解と10年後の理解ではまた味わいが違っていると思います。

最近読んだ本
 『ブッダとは何か?』下田正弘

最も印象に残っている映画
 『ニューシネマパラダイス』

最近観た映画
 『 Jiro Dreams of Sushi』

自分を動物にたとえると
 あまり動物を熱心に観察しないので思いつきませんが、よく子供たちに「牛や魚の気持ちになって、食べ物を残さないようにありがたくいただきましょう」というので、前世では牛や魚だったのかもしれません。

座右の銘は
 善人は暗い悪人は明るい

(BaySpo 2013/03/29号 掲載)

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