お辛い思いをされたこととお察しします。鍼灸の作用は簡潔に言うと「体内の気(体を動かすエネルギー)の流れを正すことで不調を改善する」というものです。これは気の流れの悪さが、血流、リンパなど体液の流れも妨げることでかゆみ、痛み、だるさ、こりなどの不調を起こすという、東洋医学の基本的な考えによります。ですから、治療前後では体内の気の流れが変わっているはずで、それにより鍼灸治療の後、身体がだるい、眠い、気分が悪いなど、一時的に症状が悪化したように感じることがあります。これは「瞑眩(めんげん)反応」といい、決して患者さん全員が体験するわけではありませんが、鍼灸の刺激によって自然治癒力が活性化する結果として現れる好転反応(症状が良くなっていく過程の反応)で、治療当日や翌日に残ることはあっても、翌々日にはすっきりしますのでこれ自体はご心配はいりません。
貧血のようになられたのは、きっと何らかの理由でその時の鍼灸の刺激が強すぎたのだと思われます。人により、また同じ人でも体調によって反応は違いますので、細い鍼による小さな刺激でも、弱った体にとっては強すぎるということもあります。特に首へ鍼をすることで血圧が下がり、脳への血が少なくなって貧血状態になり、気分が悪くなったりすることがあります。これも静かに横になっていれば良くなりますが、次回は担当の治療師にその体験と懸念を先に話しておくことでお互いの理解を深めて、よりあなたの体調に合わせた治療となることが期待できます。
そのほか、治療後に不調を感じやすい要因としては、過労、睡眠不足、空腹時の治療、初診時に患者さん側に緊張感がある時、貧血傾向、自律神経の不安定時などありますので、とにかくまずは治療師にそのような事情をお話ししてみて下さい。
鍼を好まない人やお子さんでもお受けいただける、鍼によらない治療法を用意しているクリニックもありますので、相談してみてはいかがでしょうか。