賀川 裕美先生
親身な漢方・丁寧な鍼灸をモットーに賀川漢方クリニックで診療。CA州鍼灸師で、米国東洋医学会認定の東洋医学師。家族の慢性疲労が針灸と漢方で治ったのを目の当たりにしたことをきっかけに東洋医学に魅了される以前には、東京工業大学で理学博士号取得後IL州アルゴン国立研究所に勤務、現在はCA州NASAエームス研究所にて宇宙での微生物利用の研究にも従事。
手足の冷え性に悩んでいます。日頃から日常生活で汗をかいたりと新陳代謝は良い方だと思うのですが、日中でも極端に手足だけ冷たくなってしまいます。男の冷え性に効果的な方法はありますか?
 手足が冷えるのには、@背中やお腹など体の中心も冷えていて手足も冷えている場合と、A体は温かいのに手足が冷たいという場合があります。@の体の中心も冷えていて手足も冷える場合は全身の陽が足りない陽虚と考えますので陽を補い体全体を温める漢方薬やお灸が有効かもしれません。女性では当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効くことが多いのですが、男性では桂枝加竜骨牡蛎湯や、年齢が上がってくると真武湯が有効なこともあります。
 でもご相談の方の場合、新陳代謝は良いほうだと思うとのことですので体は温かいのに手足が冷たいというAの方かもしれません。その場合、A-Ⓐ気の流れが途中どこかで滞っているために手足の血行が悪くなりが冷えてしまう、あるいはA-Ⓑ手足に汗をかいていつも湿っているせいで蒸発熱で冷えてしまう、などが考えられます。まずA-Ⓐの気の滞りの場合、気の流れが悪くなる原因の主なものにはストレスやなにか気の流れを邪魔しているもの(湿つまり余分な脂肪や、瘀血(おけつ)つまり傷や腫瘍)などが考えられます。その場合には鍼治療で気の流れを改善したり、四逆散などの気の流れを改善する漢方薬あるいは桂枝茯苓丸などの瘀血を除く漢方薬を用います。
 A-Ⓑの汗のせいで冷えてしまう場合には皮膚の表面の汗を早めに取り除く工夫が必要です。5本指のソックスや汗を溜め込みにくい素材でできたソックスなど色々なものが販売されているようですのでそれらを利用されるのもいいでしょう。それでももう少し汗の出る量そのものを減らしたいというときには、汗を減らす耳つぼを刺激したり、汗が出すぎてしまうのは体の表面を覆って保護している「衛気」という気が弱まっているためと考えるので衛気を補う作用のある黄耆を含んだ漢方薬、黄耆建中湯や防已黄耆湯、補中益気湯などが有効な場合もあります。

(BaySpo 2019/11/29号 掲載)
有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.