手足が冷えるのには、@背中やお腹など体の中心も冷えていて手足も冷えている場合と、A体は温かいのに手足が冷たいという場合があります。@の体の中心も冷えていて手足も冷える場合は全身の陽が足りない陽虚と考えますので陽を補い体全体を温める漢方薬やお灸が有効かもしれません。女性では当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効くことが多いのですが、男性では桂枝加竜骨牡蛎湯や、年齢が上がってくると真武湯が有効なこともあります。
でもご相談の方の場合、新陳代謝は良いほうだと思うとのことですので体は温かいのに手足が冷たいというAの方かもしれません。その場合、A-Ⓐ気の流れが途中どこかで滞っているために手足の血行が悪くなりが冷えてしまう、あるいはA-Ⓑ手足に汗をかいていつも湿っているせいで蒸発熱で冷えてしまう、などが考えられます。まずA-Ⓐの気の滞りの場合、気の流れが悪くなる原因の主なものにはストレスやなにか気の流れを邪魔しているもの(湿つまり余分な脂肪や、瘀血(おけつ)つまり傷や腫瘍)などが考えられます。その場合には鍼治療で気の流れを改善したり、四逆散などの気の流れを改善する漢方薬あるいは桂枝茯苓丸などの瘀血を除く漢方薬を用います。
A-Ⓑの汗のせいで冷えてしまう場合には皮膚の表面の汗を早めに取り除く工夫が必要です。5本指のソックスや汗を溜め込みにくい素材でできたソックスなど色々なものが販売されているようですのでそれらを利用されるのもいいでしょう。それでももう少し汗の出る量そのものを減らしたいというときには、汗を減らす耳つぼを刺激したり、汗が出すぎてしまうのは体の表面を覆って保護している「衛気」という気が弱まっているためと考えるので衛気を補う作用のある黄耆を含んだ漢方薬、黄耆建中湯や防已黄耆湯、補中益気湯などが有効な場合もあります。