「不通則痛・通則不痛(通じざれば則ち痛み、通ずれば則ち痛まず)」とは、身体の不調に対する、東洋医学の基本的考え方です。
通じないというのは、体内を循環している気・血・水の流れに渋滞や停滞があるということで、それにより痛み、痒み、その他の不調が引き起こされるという考えです。気と呼ばれるエネルギーの停滞が起これば、胸が詰まったり、お腹が脹ったり、気持ちが沈んだりします。血行不良が起これば、低体温、肩こりや高血圧などが現れます。体液が停滞すれば、むくみや排尿異常、排便異常などを起こします。
鍼灸治療では、ツボを刺激して気の流れを改善することにより、血や体液の流れも促進し、通じなくなった部分を通すことで、機能を正常化・活性化し、不調をもとから取り除きます。しかし、身体が停滞した状態から、活性化され順調に流れた状態に変わることにより、人によっては、一時的にだるさや眠さ、気分の悪さを感じることがあります。これは、症状が快方に向かうための必要な好転反応で、鍼灸で言うところの「毒」や「邪気」が体外に排出され、身体に備わっている自然治癒力を呼び起こして、不調を解消し始めた証拠/反応だと言えます。
実際によくある 好転反応としては、
・血行が促され、新陳代謝が活発となっているため治療後に眠くなる、身体がだるくなる、のぼせたような状態になる
・長年持病として慢性腰痛や慢性肩こりを抱えていた人の場合、凝り固まった(麻痺)状態が緩むことで、治療後に痛みが増したと感じる
・最も痛みの強かった箇所が弱まることで、次に痛みを感じていた箇所が現れてくる
治療中に痛みの箇所が動くように感じられる方もいらっしゃいます。あるいは、初めての治療で緊張していたり、体力がとても落ちていたり、空腹であったりする場合には刺激が強すぎる場合もあります。通常は治療当日や翌日、長くて翌々日にはスッキリ無くなるため心配はいりませんが、お辛さを感じられるようだと、少し刺激が強すぎる場合もありますので、是非治療を受けている先生に、そのことを相談されることをお薦めします。