柴田 路子(しばた・みちこ) しばた小児クリニック
 奈良県立医科大学卒業。学生時代から数々の国際交流活動を経験し、医学を通して国際的な仕事がしたいと考え横須賀米海軍病院インターン卒業。その後ロータリー財団奨学生としてUCSFに留学。その後UCSFにて小児科インターン、ハワイ大学で小児科レジデント終了、Acedemic Excellenceを受ける。米小児科学会会員。3児の母。現在サンフランシスコにてしばた小児クリニック開業。
授乳中に私が風邪をひいてしまいました。 薬は飲まないほうがいいですか? 飲めるお薬はありますか? (30代女性)
 妊娠中、出産直後、授乳中はやはり体力/免疫力が多少落ちているせいか、体の調子を壊す方が多いようです。風邪、つまりウイルス性の上気道炎は、そのウイルスに効くお薬はなく、自分の体の中でそのウイルスに対する十分な抗体がつくられると回復に向かいます。風邪の引き始めから、回復に向かうまでは、そのウイルスの種類や患者さんの普段の体調にもよりますが、通常は3日から10日ほどかかる事が多いようです。その間にウイルスによって引き起こされる、発熱、咳、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなど、不快な症状を抑えるためのお薬がいわゆる「風邪ぐすり」です。
 私は普段、患者さんには本当に必要なお薬以外はお勧めしません。風邪を引いたからといって、必ずお薬を飲まなければ行けない訳では、全くありません。なぜならば、先ほどもお話したように、本来の風邪の治療は、自分の体が抗体を一生懸命に作って、すでに進んでいるのです。しかし、症状がひどく、それによって、水分がとり難い、休息がとり難いなど、普段の生活に変化が出てしまい、どうしてもその症状を抑えたいという場合には、お薬を使ってみてもよいでしょう。
 授乳中のお母さんの飲んだお薬は多少は母乳にも分泌されます。一般にアメリカで市販されている風邪ぐすりは、決められた分量を守って飲む限りは、赤ちゃんに悪い影響が起こる事はほぼありません。風邪ぐすりと言っても多くの種類がありますが、その中でも授乳中のお母さんにお勧めのお薬をいくつか紹介します。
 解熱剤ではイブプロフェン(Ibuprofen)、アセトアミノフェン(Acetaminophen)は両方とも安全で大変有効です。又この両者の解熱剤は鎮痛剤でもあるので、喉の痛みにも有効です。咳にはお勧めをする市販のお薬はありません。
 鼻水/鼻づまりには、抗ヒスタミン剤のジルテック(Zyrtec)は特に安全です。それ以外は経口のお薬よりは点鼻薬の方が母乳への分泌量が断然少ないので、お勧めです。(Afrin Nasal spray)
 最後に、お母さんが風邪を引いてしまった場合には、手洗いをよりしっかりとして、鼻水や咳が出ている場合にはマスクをかける事もお勧めです。症状がひどい場合、10日以上長引く場合、他にも心配な事がある場合には速やかにかかりつけの先生に相談することをお勧めします。

(BaySpo 2015/10/23号 掲載)
有澤保険事務所

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