漢方では主に、@その人が風邪のどの段階いるのか? A風邪にかかった人が虚弱なのか丈夫なのか? Bどんな症状があるか? によって異なる方剤を選択します。風邪のひきはじめでちょっとのどがいがらっぽく、なんとなく寒気がするという段階では、虚弱なほうから丈夫なほうへの順で香蘇散、麻黄附子細辛湯、葛根湯が使われます。風邪が本格的になってきた段階では、おもな症状によって漢方薬を使い分けます。発熱・頭痛・ふしぶしが痛いという場合には麻黄湯、微熱や食欲低下には小柴胡湯、鼻水・鼻づまり・くしゃみには小青竜湯をと使い分けます。風邪の後期で咳が長引く時は麦門冬湯、咳が出て眠れないかたには竹筎温胆湯、だるさが取れない場合には補中益気湯を使います。
虚弱なのかそうでないのかは、ふだんから胃腸が丈夫かどうか、筋肉量の多い体か、高齢者かどうか、などを総合的に考えて決めるわけですが、最終的には飲んでみないとその漢方薬が体に合っているのかいないのかはわかりません。合わない場合は胃腸の具合が悪くなったり、疲れたり、症状が悪化したりする場合があります。合う場合には特に風邪の初期などでは「あれ、昨日風邪をひいたかなと思ったのは気のせいだったのかな? 」と思ってしまうくらいすぐに治ってしまう場合もあります。ですので風邪には早め早めに漢方薬を飲まれることをおすすめします。何かおかしなことが起こったらすぐにやめる、用量を守る、不必要に長期連用しない、ということを守っていれば、漢方薬をご家庭に常備しておいて、どの漢方薬が自分に合うのかいろいろ飲んでためしてみるのもいいかもしれません。
アメリカで漢方薬を買うには漢字で書いたメモを持ってChinese herb storesに行くか、オンラインで購入することもできます。オンラインの場合には漢字のアルファベット表記である中国語PinYin表記が必要な場合が多いので、賀川漢方クリニックウェブサイトの「漢方薬名日本語PinYin対応表」を参考になさってもいいでしょう。それでもやっぱりどの漢方薬をのんだらいいのかわからないという時にはぜひご相談下さい。