小池 通輝(こいけ・みちてる)DC, DACNB, ATC
 パーマーウエスト大学卒。ベイエリアの日本人で唯一、また世界でも少ない「カイロ機能神経学専門医」に認定されているカイロプラクター。NATA公認のアスレチックトレーナーでもあり、機能神経学と共にスポーツ医療にも力を入れている。臨床栄養学に基づいた食事療法、デトックス(解毒)やプロバイオティックなどのサプリメントの推奨、最先端の生化学検査を用いた隠れアレルギー検査、ホルモンバランス検査なども行っている。
歩く時、また階段の上り下り(特に下り)で膝が痛みます。 検査では異常なし。何が原因でしょう。(70代女性)
 この情報から察するに「変形性膝関節炎」の初期段階ではないかと思います。変形性膝関節炎は加齢と共に軟骨が磨り減ったり傷ついたりして、関節で炎症が起きて痛みが出る病気です。特に女性はこの病気になりやすく、統計によると70歳代の女性では約70%の方が患っています。
 どのような検査を受けられたのか分からないのですが、検査では異常なしということなのでおそらくまだ軟骨も大きく磨り減っておらず、膝の曲げ伸ばしにも大きな支障はない程度の進行具合なのだと思われます。この病気が進行していくと軟骨がさらに磨り減って、場所によって軟骨に覆われていない骨が露出するようになってきます。剥がれ落ちた軟骨などが膝の関節の中で異物として認識されるために免疫反応が起こりひどい炎症がおこり、痛みが出ます。膝の関節の変形が進むと膝の曲げ伸ばしが制限されるようになり、この制限が強くなればもちろん日常生活にも影響が出てくるようになります。
 変形性膝関節症が恐いのは、膝が痛くなる→動きたくなくなる→筋力の低下→関節への負担が増大→膝が悪化するという負のサイクルに簡単に陥ってしまいやすい点にあります。この病気は変形がかなり進行してしまった状態では手術以外手段がなくなることもありますが、まだ初期の段階であればきちんとした対処を行うことで痛みをコントロールして進行を遅らせることができます。ですのでできるだけ早くきちんと診てくれる医療機関に相談されることをお勧めします。
 変形性膝関節症の要因としては、加齢、筋力の低下、O脚(もしくはX脚)、姿勢の悪さ、肥満、運動不足、性別などが挙げられます。歩くときは体重の3倍ほどの負荷が膝にかかりますので、仮に体重が標準よりも重い場合は体重をコントロールすることが重要です。体重だけでなく、姿勢が悪くても歩くときに膝にかかる負荷は大きくなります。また膝が痛いからといって動くことをやめてしまうと筋力の低下を招くので、痛みがあまり出ない範囲で積極的に運動することをお勧めします。特に太ももの前面の筋肉は歩行の際に膝にかかる衝撃を受け止めてくれる筋肉なので意識して鍛える必要があります。
 膝の痛みは放っておくとロコモティブ症候群につながります。これは運動器の障害により、「要介護になるリスク」の高い状態になることです。できるだけ長く自分の足で歩いて、自立した生活ができるように加齢に伴う身体の変化とうまく付き合っていくことが大切です。

(BaySpo 2016/03/25号 掲載)
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