インプラント治療をする前に、歯科医はまず全身の健康状態について聞きます。糖尿病、高血圧症、心臓疾患の有無と、特に50代以上の女性では骨密度が重要なポイントになってきます。高血圧の人は治療を受けて薬でコントロールできているかどうか、心臓疾患がある人はその疾患や治療の状態についても詳しく聞かれると思いますので、これらについて話して、相談する準備をされた方がいいでしょう。その他には、喫煙の習慣があるかどうかや、歯茎の問題があるか、口腔内の衛生状態についての話も出るはずです。
骨密度については、女性は閉経による女性ホルモン分泌の低下で骨の量が急激に減り、骨粗しょう症になる人が多くなります。骨粗しょう症の薬を飲んでいるような場合は、インプラントでも注意が必要とされています。インプラント体(フィクスチャー)を適切な深さ、幅に埋入するためには歯槽骨の幅や量が必要となるからです。骨密度検査で「非常に低い(severe low)」という場合はインプラントはお勧めできませんが、「とても低い(very low)」または、「正常値に近い(mild)」とされる程度でしたら、インプラントをするのにほぼ問題ないと思われます。これまで骨密度を測ったことがないという患者さんには、まず、かかりつけのファミリードクターに行って測定してもらうようお願いしています。
インプラントする前に、歯科医に歯茎の状態や歯周ポケット、歯槽骨の吸収状態などをチェックしてもらうことも大切です。歯槽膿漏などで歯槽骨が吸収されていても治療方法はあります。上顎の骨の幅が薄くなってしまっているケースは、口の中の別の場所から骨を採取して不足している部分に骨を足す、ボーングラフト(骨移植)の手術を行って、骨の質と量をインプラントができる十分な状態までもっていきます。
一人ひとりのケースで違うと思いますが、インプラントの相談をする時には、全身の健康状態と骨密度についての情報を歯科医とシェアすることが大切です。また、良い医師は必ずそれらのことについて詳しくたずねるはずです。