胃腸だけに限らず、内臓の不調が肩こりや腰痛などの症状となって現れることは確かにあります。関連痛(英語でReferred Pain)などと呼ばれており、100年以上前から存在は知られているのですが、未だに仮説は多く存在するもののなぜそのような現象が起きるのかきちんとしたメカニズムは解明されていません。関連痛の中でもっとも有名なのは心臓に問題がある場合に左肩や左腕に痛みやしびれになって症状が出るというものです。この場合原因としては心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患などを患っている可能性もあるので、場合によってはただの肩こりと思わずに医療機関できちんとした検査を受けることが必要になります。他に内臓の不調が体の痛みとして現れる関連痛でよく言われているものとしては、胆のうや肝臓の不調が右の肩甲骨周りの背中や前面では右の肋骨のあたりに痛みとして出たり、腎臓の不調が腰痛の原因になるといったものがあります。肺に問題がある場合に首、肩周りに痛みが起こる場合もあります。
とはいえ左の肩こりが胃腸や心臓といった内臓の不調が原因ではなく、単純に普段の生活習慣や姿勢の癖のために引き起こされている場合が圧倒的に多いといえます。そのような場合であればストレッチを含めた家でできるエクササイズや、普段の生活の中で左の首、肩周辺に負担がかかりやすいような動きや癖がないかを見直して、それを改善することで症状は緩和されると思います。一口に肩こりといっても人によって原因もその人の身体の状態も異なってくるので、きちんと診察せずに、これが原因です、もしくはこうすれば良くなりますということは言えないのですが、一般的に肩こりがひどいという人は僧帽筋という筋肉の上部の部分がずっと伸ばされた状態になっていて、血液の流れが阻害されて酸欠状態になって固くなったり痛みを感じやすくなっている人が多いです。そのような場合は肩甲骨周りの筋肉を大きく動かすエクササイズであったり、肩甲骨を後ろに寄せる筋肉を意識することで改善がみられるかもしれません。他にも食いしばりの癖があって咀嚼に関する筋肉が固くなるのに伴って首、肩周りの筋肉が緊張している場合や、肩こりに限らず慢性的な痛みがある場合は脳がその場所に問題はなくても常に痛みがあるように感じてしまっているような場合もあるので、それぞれのケースにあった治療が必要になると言えます。