賀川 裕美先生
親身な漢方・丁寧な鍼灸をモットーに賀川漢方クリニックで診療。CA州鍼灸師で、米国東洋医学会認定の東洋医学師。家族の慢性疲労が針灸と漢方で治ったのを目の当たりにしたことをきっかけに東洋医学に魅了される以前には、東京工業大学で理学博士号取得後IL州アルゴン国立研究所に勤務、現在はCA州NASAエームス研究所にて宇宙での微生物利用の研究にも従事。
高血圧で漢方を飲み始めたので、 西洋の降圧剤は服用をやめてもいいですか?
 血圧は1日の間にからだの活動状況や感情の変化などに対応してダイナミックに上下します。運動すれば高くなり安静にしている時は低くなり、ストレスや緊張で高まりリラックスすると低くなります。120/80というように血圧には上と下の値があり、上は心臓が全身に血液を押しだすのに必要となる圧力、下は全身の血管がそれを押し返すときの圧力を表します。血管がしなやかで弾力性に富んでいれば、心臓から押し出された血液をゴム管のように広がって受け止めることができるので、下の血圧は上がらずに済みます。年齢を重ねてだんだん血管がしなやかさを失って鉄パイプのように固くなってくると広がることができないため、下の血圧が上がってしまいます。下の血圧が上がるとちょっとやそっとでは全身に血液が行き渡らないことになるので、心臓はもっと頑張って強い圧力で血液を押し出そうとします。すると上の血圧も上がります。
 血圧が高いのがなぜいけないのでしょうか? 心臓がいつもいつも強い圧力で血液を押し出しつづけると、それを受け止める血管がダメージを受け、動脈硬化や心臓病、脳卒中などのリスクが高まるからです。ですので漢方を飲み始めても血圧は今までどおりチェックし、高いときには西洋の降圧剤も服用したほうが血管へのダメージを少なく抑えられます。血管のダメージが少ないほど動脈硬化や心臓病、脳卒中にかかりにくいので健康に長生きできる可能性が高まります。漢方薬の中には末梢血管の血行を良くして、下の血圧を下げると言われているものもあります。漢方薬と西洋薬をうまく使って血管にやさしく健康でありたいものです。ちなみに脳卒中や心筋梗塞の予防のためにワルファリン(クマディン)を服用している方は、安易に漢方薬を併用するとワルファリンが効きすぎたり効かなすぎたりして危険なので、漢方薬はお薦めできません。

(BaySpo 2017/02/10号 掲載)
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