心療内科、精神科、カウンセリングとなんだか似通っているようで迷いやすいですね。
心療内科は文字どおり内科に属し診察は病院内の医師がします。一般に心療内科では心理的な理由で身体の不具合が現れる心身症やストレスからくる身体症を主な治療対象としています。
日本心身医学会によりますと、心身症は「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的、ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する」と定義されています。解かりやすく言うと器質的障害は炎症(胃炎、気管支炎など)や腫瘍(癌など)といったレントゲン検査や血液検査で物理的な異常が捉えられるものです。一方、機能的障害は検査をしても異常が見つからないが身体の働きが悪くなっている状態を指します。たとえば炎症や腫瘍はないけれど腸の調子が悪くそのために腹痛、下痢などの症状が出るものです。一般に心療内科医は患者の病気の発症や進行状態に合わせて投薬治療をすることもあります。
精神科は心療内科同様、診察は病院で医師が行います。精神科医は薬物療法や患者との面談を通して助言、指示をして患者の人間関係向上、社会適応能力向上を目指していくものです。また精神科では心理療法(カウンセリング)を行うのが一般的です。その際、精神科医が薬を処方し心理療法は専門のカウンセラーが担当することもあります。さきほど心療内科で診察除外とされた「神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状」は精神科の領域となります。
カウンセリングとは依頼者の対人関係やストレスも含めたこころの悩み全般を専門的な知識や技術を用いて傾聴することです。心理療法に造詣の深い医師もいますが、実際には臨床心理士(カウンセラー)がこころの問題の相談にのるものです。その際、依頼者は患者ではなくクライアントとなります。アドバイスとは異なり、カウンセラーにクライアントが話すことにより今まで意識的または無意識的に避けていた問題に気づき、試行錯誤して、自主的にこころの悩みの解消を目指していくものです。自分のこころの状態を十分に分かってもらうのには焦らずにじっくりとという心構えが回復の近道となります。