有子Gower, LA.C.
Golden Gate University 会計学学士。明治鍼灸大学バークレー校にて伝統中医学修士。日本にて東レ(株)、Du Pont Japanに勤務。渡米後CA州の公認会計士として大手監査法人にて監査、税務業務。2002年CA州の鍼灸師資格を取得、SF日本町にJapan Town Acupunctureを開業。鍼灸、漢方薬師。気功、霊気なども治療に取り入れている。表千家茶道講師の顔も持つ。
雨の日や冷えると腰が痛みます。 鍼は効果的でしょうか?(40代女性)
 腰痛の原因にはいろいろありますが、大きく3つあります。ひとつは瘀血といって筋肉などの過度の消耗によって老廃物などの流れおよび血液の流れが滞って、痛みを起こすもの。これはどちらかというと一定の場所が深くうずくといったものです。運動のしすぎ、重たいものをもっての過労などもこの血液の滞りをおこします。
 次は外からの影響によるもの、例えば寒であり、熱といったものが、湿と一緒になって痛みを起こす場合です。まず、寒(つまりは冷え)と湿(外からのしめりけ、体内にある液)の両方からくるものがあります。冷えは血流を悪くしますし、関節のまわりにある循環液の流れも停滞して、にぶい、重いといった痛みを与えます。
 熱もそうです。これも節々に痛みをあたえますし、これと湿があいまって、関節炎、リューマチ熱のような症状をおこします。どちらかというとシャープな局所的な痛みです。最後に内臓、とくに腎臓疾患、または東洋医学的な腎虚からくるものがあります。この場合はたとえば耳鳴り、めまい、ひざ痛、頻尿、手足のほてり感といったものと並行しておこることがあります。
 雨の日とか寒い日にとくに腰が痛むとなると、外からの影響の2番目の寒湿からくるものと考えられますが、寒は血液の流れをわるくして血の滞りをもおこしますから、時としてシャープな痛みになる場合もあります。鍼治療はこれらの原因を同時に治療することができます。鍼治療のよいところは気血の流れをよくしますので、まずは瘀血を改善、たとえば関節あたりの腱や筋肉にたっぷりの血流を送ることにより筋骨組織を強くすることができます。そして衛気を強くすることにより外からの寒であったり風邪といったものに対しての抵抗力を強めます。また、鍼治療と並行して漢方薬を服することにより腎臓その他の内臓疾患を改善していくことができます。漢方薬のなかにあるそれぞれの葉なり根はその特性、たとえば熱をとるもの、体を温めるもの、血流を促すもの、気の巡りを助けるものなどが長い歴史の上に実証され調合されてきた安心なものです。ゆっくりじっくりと体のバランスをよくしていきますので、予防医学の観点からもおすすめしたいものです。
 アメリカの鍼灸師は、鍼治療だけでなく、漢方薬の調合を専門的に学んで資格をとっています。長い歴史の裏付けもありますので、ぜひともお近くの鍼灸師にご相談ください。

(BaySpo 2017/11/03号 掲載)
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